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51 邪神の実力

バラバは未だに目の前で起こった出来事が信じられなかった。


自分は佐藤勝利を確実に殺した。

心臓を貫き、首を刎ねたのだ。


だが佐藤勝利は今、目の前に立っている。

奇妙な黒い鎧を全身に身に纏い、圧倒的な威圧感をもって自分と対峙しているのだ。


だが何よりこれだけの威圧感を発していながら信じられないのは


───神力も魔力も発していない?!!


目の前の黒い鎧からは神力も魔力も全く発されていないのだ。


「バラバさん……」

「!!!」

「行きます」


思考の渦に気を取られていたバラバは、佐藤勝利の言葉で我に返る。


黒い鎧が目の前で構える。

未だに混乱しているバラバであったが、咄嗟に剣を構える。


次の瞬間、黒い鎧が爆ぜた。

正確には黒い鎧の背中部分の装甲が開いて、そこから爆発が起きたのだ。


───速い!!!


爆風に乗り黒い鎧が一瞬で間合いを詰める。

その勢いのまま黒い鎧は右の拳を振りぬいた。


「ぐは!!!」

「ぐう?!!」


バラバと黒い鎧は同時に苦悶の声を上げる。

鳩尾に拳を叩き込まれたバラバは、堪らず腹を抑えながら黒い鎧から距離をとる。


追撃を恐れて緊張の面持ちで黒い鎧を見れば、黒い鎧は右腕を抑え震えていた。

まさか……


───今の一撃で右腕が折れたのか?!



痛い!!


バラバさんに一撃をかませたのはいいが、その一撃で俺の右腕は折れてしまっていた。


───当たり前だ相棒ォ!!やつァ体を神力で強化してやがる!!そこにあの勢いで拳叩き込みャ相棒の弱っちィ腕が折れちまうのは当たり前だゼ!!───


そう言うことは先に言って欲しかった!!


───わりィわりィ!!だが安心しろィ!!一発で十分だぜ!!───


こいつは一体何を言ってるのだろうか?

現に今の一撃では、バラバさんを気絶させるには至っていない。


───まァ見てな?───


その言葉と共にバラバさんが突然苦悶の声を上げる。


「ぐう!?こ……これは!?」


何だ?

一体何が起ってるんだ?!


───神力病さ!!───


神力病?!

ケタロスさんから説明があった魔力病の神力バージョンということか?!


───そうだ!!なんで奴ら(神人)が俺の力の事知ってんのかはわかんねェが、これこそ俺の力の一つ!!奴の神力を体で暴走させてんのさ!!───


でもその病気は魔力が毒素をもって体を蝕んでいく筈。

それが神力も同じならバラバさんはそのまま最悪死に至るんじゃ……!!


───相棒はあめェなァ!!テメェを殺した奴の心配するなんて。だが安心しなァ?!相棒が嫌がると思って毒は入れちゃいねェ!!精々数分苦しんでそのまま気絶するだけだァ!!───


その話が本当なら、なんて相棒想いの邪神なんだろうか。


───ギギギギギ!!俺を信じろよ!!俺ァ相棒と世界を壊す(救う)って言ったろ?!俺たちゃ最早運命共同体!!相棒が嫌がることァ俺ァしねぇよ!!───


こいつには聞きたいことが山ほどあるが、今はとりあえず信じよう。

俺の命を救ってくれた恩人でもあるし、何よりこいつからは本当に俺に対する親愛を感じる。


つい先ほど信じていたバラバさんに裏切られたばかりではあるが、なぜかこいつを信じても大丈夫な気がしていた。


「勝利……どの……」


あれこれ考えているうちに、バラバさんは苦悶の声を上げながら倒れてしまった。

倒れても生き絶え絶えに呼吸はしているので、取り合えずは大丈夫な筈。


「バラバさん……」


俺は痛む右腕を抑えながら、取り合えずバラバさんを此処に放置して城へ急ぐことにした。


なぜバラバさんが急に俺を殺そうとしたのかは分からない。

だが今はとにかく城へ急がないと。


しかしこの鎧のまま城へ行っても大丈夫だろうか?


───おっと!!相棒!!今変身を解くなよ??おれァ壊すのは得意だが治すのはてんでダメでな??今変身解いちまうと、俺が繋ぎ止めてる心臓やら首やらの修復が続けられなくなっちまう───


なん……だと?


───最初首くっつけた時も実は大変だったんだゼ?!まぁこうやって完全に俺達が繋がってる状態だったらちょっとずつ修復は出来るけどナ!!あ!!それと相棒!!バッドニュースだ!!───


まだ何かあるのだろうか……


───これ以上修復にキャパ割れねぇから腕は治せねぇ!!わりィ!!───


ため息が出てしまう。


だが仕方がない。

殺されたのに復活出来た。

これ以上を望むのは贅沢というものだろう。


変身をしているとこの鎧の使い方は少しだけ分かる。

俺は背中の装甲と足の裏から爆発をジェットの様に発する。


イメージはアイア〇マンだ。


俺が思った通り爆発は推進力となり少しずつ体が浮いていく。


───おお!!いいじゃねぇか相棒!!───


よし!いい感じだ!


俺はそのまま勢いを上げ、城へ向かって飛んで行く。

取り合えず王様にアルデンさんからの伝言を伝えるため、俺は城へ急ぐのであった。



「バラバ!!?」


スワンナ達は聖女を追って空から『王の門』を渡る。


本来『王の門』を上空から渡ろうとすると門に設置されている無数の砲弾の餌食となるため、正規のルートを通らざるを得ないのだが、今は非常事態のためどうやら『王の門』は機能していないようだ。


『王の門』を渡り少し飛ぶと、裏路地で横たわっているバラバを見つめた。


急いでバラバに近づくと、どうやらバラバは気絶しているようだ。

近くに佐藤勝利やアルデン達の姿はない。


「ちょっと!!大丈夫なの?!」

「待って。今回復を……!!」


アーシュリに急かされて、急いでスワンナは回復の神術をかける。

しかし神術が全くバラバへ巡らない。


「これは……!!」


スワンナはバラバの上着を剥ぎ、体を確認した。


「う……!!」


バラバの体中をひび割れた様なあざが浮き出ている。

これは……


「神力病……!!」


なぜ神力病が?

だがどちらにせよ神力病は外からの神力も弾いてしまう為、このままではバラバを回復させることは出来ない。


「どうして!?」

「ちょっとスワンナ?!」


神力病が発病する条件は一つしかない。

それは邪神・ボムバ・ヌクリアによる被爆。


つまりバラバは邪神・ボムバ・ヌクリアと対峙したという事になる。


この国に邪神が降り立った………!!


革命軍達がもう一人の移転人を使って邪神を復活させてしまったのだろうか?

どちらにせよ恐らく邪神は既にこの国に存在している。


スワンナは隣で叫ぶアーシュリを声を遠く感じながら、このままでは滅んでしまう世界を想って目の前が真っ暗になった。

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