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48 報酬は前払い

突如空中に現れた巨大な瞳の化け物に戦慄しつつも、王国筆頭軍5番隊隊長ジャランカは瓦礫と化したホテルから抜け出し、王国筆頭軍2番隊隊長パルアキと刃を重ねていた。


「てめぇあれ見てもまだ聖女が正しいと言えるのかよ!!」

「黙れ!!魔族などに組した貴様の言葉など何の意味もない!!」


ジャランカの槍とパルアキの刀が激しく火花を散らす中、彼らの部下たちもまた瓦礫から抜け出し戦闘を開始する。


近くで戦っている魔王と魔族の少女の戦闘に巻き込まれない様にしながらも激しく戦う両軍。


「魔族に組したってんならてぇもだろ!!あの魔王とやらだって聖女のお仲間みたいじゃねぇか!!」

「んだまれぇ!!!」


痛い所を突かれたパルアキはこれ以上の問答は無駄というように、さらに激しく刀を振るった。

その刃を受け止めながらジャランカは、空であの化け物と対峙している想い人を心配する。


───無事でいてくれよ!!アーシュリちゃん!!


激しい戦闘の最中ジャランカは、可愛らしい天使を想って心の中で祈るのであった。



クリムによって助け出されたアルデンと佐藤勝利は、天使であるバラバを加えて急いで『王の門』へと走っていた。


しかしそんな最中空中に現れた巨大な瞳の怪物。


───あれは確か座天使(ソロネ)!!


三界大戦中、神々の決戦兵器として投入された天界の最強兵器の登場にアルデンは戦々恐々とする。

あれが相手では例えスワンナ達であっても荷が重い。


というよりも絶対に勝てない。

天使達には上位、中位、下位と階級が分かれており、それぞれ上の階級には絶対に勝てない様になっているのだ。

アークエンジェルズ達は下位に位置する階級であり、逆に座天使(ソロネ)は上位に位置する階級である。

故にアークエンジェルズであるスワンナ達では座天使(ソロネ)に勝つことが出来ず、このまま戦闘を行ったとしても確実に敗北する。


だが自分たちが戦闘に参加した所で何の意味もない。

この中にいるたった一人を除いては。


「クリム殿……。申し訳ないがスワンナ殿達の援護へ行ってはくれないか?」

「え?やだけど?」

「頼む……。このままではスワンナ殿達の命が危ない」

「えー……」


嫌そうに顔を歪めるクリム。

佐藤勝利がアルデンに問いかけた。


「スワンナさん達じゃあの目の怪物には勝てないんですか?」

「うむ。絶対に勝てない。あれは座天使(ソロネ)といって天使たちの中で最上位に位置する天使だ」

「え!!?あれが天使!?」

「ああ。そしてあれは天界の決戦兵器だ。聖女達がなぜあれ召喚出来たのかは分からないが、あれが現れたからにはこのままではデポカは終わりだ」


走りながら顔を歪めて言うアルデン。


「あれはブルリカに現れたディオスパイダーやスライムよりも凶悪な怪物兵器だ」

「!!!」

「故に我々がスワンナ殿の助力に行ったところで何の意味もない。クリム殿を除いてな」

「クリム……」


懇願するようにクリムを見る佐藤勝利に、クリムは一瞬たじろぐ。

しばらくしてクリムはため息をつくとアルデン達に言った。


「おじさんと天使のおじさん。ちょっと向こう行ってて」

「……うむ」

「相分かった」


そして二人を余所にやると、改めて佐藤勝利に向きなおってクリムは言った。


「ねぇご主人様。ぼくのこと……好き?」



「ねぇご主人様。ぼくのこと……好き?」


クリムが俺の目を見て、真剣な表情をして言った。


正直今この場に話す内容としてはそぐわない気がするが、クリムはとても真剣だ。

ならば俺も真剣に彼女に答えよう。


「ああ……。好きだよ。出会ってまだ二日だし、俺はクリムの事をよく知らないけど……。俺はクリムが好きだ」


俺はクリムの目を見ては答えた。


「俺はクリムにもシアンにも惹かれている」


さっき聖女に魅了を掛けられてはっきりと分かった。

俺が彼女たちに惹かれている感覚と聖女に掛けられて魅了とでは全く違っていた。


だから彼女達への想いは本物なのだと俺の中で分かったんだ。


俺の堂々とした二股宣言にクリムは一瞬驚くと、その後花が咲いたように笑顔になった。


「あー、よかったぁ!さっきご主人様がシアの方が聖女より好きって言ってたから、ぼくも言って欲しかったんだ」


にっこりと笑ってクリムは俺に言った。


「いいよ?ご主人様が望むなら。でも大丈夫?正直残りのおじさん達じゃ心もとない気がするんだけど……」


心配そうに言うクリムに俺は安心するように笑いかける。


「大丈夫だよ!アルデンさんはすごい人だし、バラバさんだって頼りになる。そもそも俺に出来る事なんて高が知れているし、無理して周りに迷惑かける気もないよ!」

「そっちじゃなくてさー。あのおじさん達だけでご主人様守り切れるのかなって」

「それこそ大丈夫だよ!危なくなったらどっかに隠れとくからさ!」

「ほんとかなー」


ジト目で俺を疑っているクリムに俺は更に言葉を続ける。


「なによりあの目玉の化け物どうにかしないと、それこそ危ないんだろ?だからお願いだクリム!!あいつを倒してくれないか?」

「はぁ……。いいよ?でも報酬は前払いだよ?」

「ああ!!なんでも払うよ!……前払い?」


前払いと言う言葉を疑問に思っているとクリムは両手で俺の頬を優しく包む。


そしてゆっくりと唇を重ねた。


「!!!」

「えへへ。報酬はこれでいいよ?」


頬を朱く染めてクリムははにかみながら言った。


「じゃ!!行ってくるね!!さっさと片してくるから!!ご主人様も無理しないでね!!」


恥ずかしかったのか、クリムは慌てて空に舞い上がって行ってしまった。

俺は一瞬フリーズしたが、すぐに頭を切り替える。


クリムとキスしたこと、シアンともキスしたこと、それを今思い出すと悶えてしまってそれ所ではなくなってしまうからだ。


俺は何度も頭を振ると、急いでアルデンさん達の元へ走る。


───ギギギギ!!モテル男はつれェな!!相棒!!───


頭の片隅に響く謎の声。

どこかで聞いたことがあるような、そんな事を思いながらも俺はアルデンさん達と合流した。


空を見ればクリムが目玉の天使と戦闘を開始している。

それを遠目に見ながら俺達は急いで『王の門』へと向かうのであった。

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