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45 意外な訪問者

そうして作戦会議は進む。


今回の作戦会議で決まったのは、まずは国王に謁見しにいくことになった。

先ほども言っていたが国王は聖女を信じてはおらず、聖女とは不仲らしい。


そんな国王に聖女が実は革命軍だったと知らせ、打倒革命軍として俺たちに参列してもらうという。

国王がこちら側につけば多くの手先を持つ革命軍といえども、簡単には手出しが出来なくなるし、何よりもしもの時の為に連合国と連携がとれるそうだ。


国王には筆頭軍の隊長であるジャランカさんや、アークエンジェルズのスワンナさんでも簡単に会うことは出来ないが、何でもアルデンさんは国王と旧知の仲らしく上手くいけば直ぐにでも会うことは可能らしい。


『王の壁』の中に俺達がどうやって入るのかという問題があるが、どうやら『王の壁』には秘密の抜け道があるらしい。

前回シアンを探していたときは必要がなかった為使わなかったが、緊急を要するため今回はその抜け道から『王の壁』の中に入るそうだ。


国王にもパイプがあるアルデンさんを改めてすごい人だなと思っていると、アルデンさんが俺達に話しかけてきた。


「勝利君、シアン殿。それにクリム殿。我々と共に着いてきてくれるかな?」


「はい!!」

「わかりました」

「おっけー!」


それぞれが答えると、アルデンさんは満足したように大きく頷いた。


「では行こう。私の勝手な憶測だが、あまり時間は無い気がする」


「どちらに行かれるのですか?」


その時、会議室の扉が大きく開かれた。

そして一人の女性とそれを取り囲むように多くの兵士と天使達が会場に入ってくる。


中心の女性が聖女なのだろうか?

始めは身構えていた俺だが、その女性を視た瞬間電撃が走った。


光り輝く美しいロングのブロンドヘヤー。

青い瞳は視ているものを吸い込んでいってしまいそうなほど美しく、顔のパーツはどれをとっても一級品。

視ているものを安心させる柔和な笑みを視ているだけで、俺の心は安らぎと安心感を得ていた。


こんな女性が革命軍のはずが無い、いやもし彼女が革命軍ならばその革命軍が悪のはずがない。

彼女たちこそが正義なのだろう。


───俺が本当に追い求めていた正義とは彼女のことだったんだ!


俺の中で一つの答えと、確信を得た。


「ショーリさん?……ああ、そういうことですか」

「ありゃりゃ、ご主人様ってばやられちゃった?」


シアンとクリムが口々に何か言っているが、彼女たちが全く気にならない。

二人も美少女だと思うし、彼女たちに惹かれていたがどうやらそれは勘違いのようだ。


「あら。貴女が佐藤勝利さんですわね?」

「は……はい!!」


聖女様が俺に話しかけてくれた。

それだけで俺の心は緊張と感動でいっぱいになる。


「俺を……知ってるんですか?!」

「うふふ。もちろんですわ。貴女こそ(わたくし)達の救世主」

「救世主……」

「貴方の力が必要なのです。(わたくし)達と共に世界を寄り良く導いて下さいませんか?」

「は……はい!もち「待ってください」……!!」


シアンに口を挟まれた。

聖女様が俺を必要としてくれているのになぜ邪魔をするのか?


そう思いシアンを糾弾しようと彼女に向きなおった時、シアンは俺の頬をがっしりと両手でつかんだ。


何をする気なのだろうか?

シアンの力を持ってすれば、俺の頭を潰すなど容易な事だろう。


シアンの顔が俺に近づいてくる。

思わず俺は目を閉じた。



次の瞬間、俺の唇に柔らかいものが触れた。


それがシアンの唇だと気づくのに数秒かかった。


「………!!!」


俺は目を見開き混乱する。

だが、なぜか俺の頭は靄が晴れるようにクリアになっていった。


なぜさっきまで俺はあんなにも初対面の女性に恋焦がれていたのだろうか?


そしてゆっくりとシアンが離れていく。

長いのか短いのか、混乱した俺には分からなかったが、紛れもなく俺にとってのファーストキスだった。


「魔力は体から発しますが、最も魔力の通りがいいのは口からです」


淡々と話すシアンだが、見れば頬を少し朱く染まっていた。


「どうです?すっきりしましたか?」

「……あ……ああ」

「それは良かった。私の魔力を貴方に流したので、あの女の神力を中和出来たのでしょう」

「あ……ありがとう……」

「いえ」


にこりと笑ってシアンは言葉を続ける。


「ではテストです」

「テスト?」

「あの女と私。どっちが好きですか?」

「シアンだ」

「ふふ。上出来です」


俺の答えに満足したようにシアンは頷いた。


即答だった。

つい咄嗟に答えてしまった。


「あー!シアずるーい!」


隣でクリムが文句を言っている。


「でもよかったね?ご主人様。あのまま聖女?の魅力にかかってたら、頭ボーンで二度と戻ってこれなかったかもよ?」


口を膨らませながら言うクリムの言葉に、今更ながら俺は聖女の恐ろしさを身に染みていた。


改めて聖女を見る。

さっきのような衝撃はもうなく、しっかりと彼女が見れる。


聖女は手で口を覆ってふるふると震えていた。


「うふふ。ふふ……あははははは!!」

「せ……聖女様?!」


そして突然大笑いをする。

突然の行動に周りの騎士たちが困惑する仲、聖女は口を開いた。


「うふふふふ!ああ、やっぱり(わたくし)貴女の事が大好きだわ!!シアンさん!!」

「聖女様……!」

「どうしても貴女が欲しい!!どんな手を使っても……!!」


高揚した瞳でシアンを見つめ、シアンを求める聖女。

そんな聖女に痺れを切らしたのか、ジャランカさんが口を開いた。


「おいてめぇら!!こりゃ一体絶対どういうつもりだ!!」

「どういうつもりも何も、貴様たちが脱走者を匿っているのだろうが」


その問いに銀髪の騎士が口を開く。

そう言えばさっき、聖女もシアンが変装しているのに普通に彼女をシアンだと断定してたな。


せっかくの変装が秒でばれてしまったのだが、なぜすぐに気が付いたのだろうか?

というか聖女たち一派はシアンの再逮捕という名目で、ここに押し込んできたということか?


「っは!!ここにいるのは脱走者じゃあねぇ!!」

「見苦しい言い訳を。貴様ら全員脱走者の手引きをした罪で逮捕だ。最も抵抗するなら武力行使はやむを得ないがな……」


「くだらないな……」


そんな中、今まで口を噤んでいたアルデンさんが口を開く。


「聖女クラシーよ。そちらこそ見え透いた嘘はよせ」

「あらあら。何のことでしょうか?(わたくし)達がシアンさんを逮捕(迎え)に来たのは本当の事ですわよ?ご老体……」


先ほどまでの大笑いを潜め、柔和な笑みを浮かべて聖女が言う。


「彼女は一応凶悪犯ですもの。これだけ人数は必要でしょう?」

「そのついでに我々も消すというのか?」

「抵抗されるのならば止む無し、ですわね?でも(わたくし)は無益な殺生は好みません。出来れば皆さん抵抗なさらずに頂けるのならばいいのですが……」

「そうか……。ならば……」


その言葉と共にアルデンさんはジャランカさんに目配せをする。

っと次の瞬間ジャランカさんが聖女に向かって槍を突いていた。

その槍を銀髪の騎士がいなし、槍は床に激突する。


先制攻撃に周りの騎士たちと天使たちが臨戦態勢に入る仲、ジャランカさんが大きな声を上げた。


「アルデンの旦那!!ここは俺達に任せろ!!」

「すまんな。任せた」


アルデンさんはジャランカさんに短く礼を言うと、俺達に言った。


「すまないが勝利君たちは私と来てくれるかね?」

「……!!はい……分かりました」


ここはジャランカさんで大丈夫なのだろうか?

だが任せるしかないのだろう、そう思った次の瞬間、凄まじい轟音と共にホテルが揺れた。


「な……なんだ?!」


何事かと轟音の方角を見れば、ホテルの壁をぶち破って何者かがそこにいた。


土煙が晴れるとそこにいたのは浅黒い三つ目の、スキンヘッドの男だった。


「くくくく。だから言っただろうクラシー!!!大魔王の娘の勧誘は不可能だと!!!」


轟音と共に放たれる言葉の衝撃波。

それに気絶しそうになっていると、スキンヘッドの男は更に言葉を続けた。


「大魔王の娘よ!!!俺の名は魔王マッハブージ!!!貴様に引導を渡しに来た!!!!」


ビリビリと辺りを揺らす轟音で俺達だけではなく騎士たちも動けない仲、魔王と名乗る男マッハブージは満足そうに笑った。



こうして後の歴史に刻まれることになる「ファルデア王国最悪の日」の幕は切って落とされたのである。

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