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44 革命軍打倒会議

その後、二人を撫でるのから解放された俺は着替えを済ませ、スワンナさん達に案内されてホテルの会議室に向かう。


因みにシアンは昨日買ったウィッグと眼鏡を装着していた。


「おお!シアってば似合ってるねー」

「ふふ。でしょう?」


楽しそうに会話する二人をスワンナさんは微笑ましく見ていた。

アーシュリはちょっと二人から離れて歩いている。

どうやらまだシアン達が怖いのだろう。


会場に着くと、既にアルデンさんとジャランカさんが着席している。

テーブルに近づくと人数分の椅子と食事が用意されていた。


だが人数分ということはクリムの椅子と朝食がない。


スワンナさんがホテルの従業員に指示を出し、すぐに用意するように伝えていた。


するとアルデンさんが立ち上がりクリムに言った。


「君はスライムから街を守ってくれた()だね?」

「んー?あのスライムのことならそうだと思うよ?」


するとアルデンさんはクリムに頭を下げる。

それに続くようにスワンナさんも頭を下げた。


「街を代表して礼を言うよ。本当にありがとう」

「私からもお礼を言わせてね?本当にありがとうございました」


二人に頭を下げられたクリムはあはは、と笑うと二人に言った。


「別にあれぐらい気にしないで?ぼくもご主人様のためにやっただけだし」

「ご主人様?」


アルデンさんがクリムの言葉に驚くが、俺は慌てて話を変える。


「アルデンさん!!取り合えずお礼とかはここまでにして!!自己紹介とかしませんか?!!」

「あ……ああ」


無理やり話を変えてご主人様と言う言葉を有耶無耶にする。

これからクリムが俺を呼ぶときにバレる可能性は大なのだが、俺が皆にご主人様ですと紹介されるのはさすがに嫌だ。


その後、アルデンさんはクリムに自己紹介をしそれに続くように他の人たちも自己紹介をする。


「ぼくはクリム。よろしくね?」


クリムも自己紹介を終えた頃には、テーブルに新しくクリム用の食事と椅子も用意されていた。


改めて皆が着席し、これからの事について話し合う。


「革命軍の連中はかなり王都の内部までいやがる。聖女一派を始めとして王族の中にも革命軍派の連中がいる」

「断言するな?ジャランカよ」

「アルデンの旦那。大きな声じゃあ言えねぇが、王族内部にも俺の密偵はいる。そいつらの情報だから間違いはねぇと思うぜ」

「ふむ。ブルリカからの連絡を絶っていたのは革命軍だろうが、やはり筆頭軍の多くは聖女派なのか?」

「ああ。俺が知ってるだけでも大勢の隊長たちが聖女派だ」


その言葉にアルデンさんは腕を組みながら顔を顰めて言った。


「だとすると革命軍に対抗するための仲間たちを集めても、ごく僅かしか集まらんかもしれんな……」

「では王都にいるアークエンジェルズ達に声をかけてみましょう」

「スワンナちゃん。残念ながら王都のアークエンジェルズ達は聖女派だ」

「!!!」


ジャランカさんの言葉にスワンナさんは驚愕して言った。


「そ……そんな!!あり得ないわ!!聖女とたとえ交友があったとしても、それで聖女派として彼らに組するなんて……!!」

「残念ながら事実だぜ。それに聖女と交友があるだけでまじぃんだ」

「どういうことだ?」


アルデンさんが疑問を口にすると、ジャランカさんが苦い顔をして言った。


「これは俺の憶測でしかねぇが、恐らく聖女は何かしら相手を魅了する術をもっている」

「魅了……!!」

「筆頭軍の殆どの連中だって初めから聖女派ってわけじゃなかった。だがいつの間にかどいつもこいつも聖女に骨抜きにされちまってた」

「分からんな。ではなぜお前は大丈夫なのだ?」

「俺の様に始めっから聖女を疑ってかかってる連中は聖女派にはなってねぇ。だからかもしれねぇが国王陛下も聖女派じゃねぇ」


この国の国王は、どうやら疑り深い性格らしい。


「たまに例外もいるけどな?オスマンの阿呆とか。でもありゃめちゃくちゃレジスト能力が高いからだし、大抵はあんなに抵抗力をもっちゃいねぇ」


そういえばシアンは聖女と話をしたのだろうか?

どのタイミングで抜け出して来たかは分からないが、もし聖女と話をしているのならばまずいのではないだろうか?


「シアンは……大丈夫なのか?」

「??……何がですか?」


話を完全に聞かずに朝食を食べていたシアンは、俺に突然話しかけられて驚いたように聞き返してきた。


「聖女と話したんだろ?なんか……聖女の事をよく思ったりとか……」

「………?よく分かりませんが、性女って誰でしたっけ?」

「え?」


「あー、ご主人様?シアってどうでもいいことは秒で忘れるから、多分その聖女って人のこともう覚えてないんじゃないかな?」


まじか!

話の中心であった聖女を完全に忘れているらしいシアンは、首を傾げて俺に言った。


「その性女とやらは覚えていませんが、私は特に変わりはないですよ?」

「みたいだな……」


ホッと俺が安堵のため息をつくと、シアンは益々分からないといった風に首を傾げる。

まあともかくシアンは聖女の魅力にはやられてはいない様だ。


「ねぇねぇシア。人間界の食事って美味しいの?」

「意外といけますよ?クリムも食べてみたらいいですよ」

「へー!じゃあ食べてみよっかな!」


二人で楽しそうに食事をするシアン達を見ながら、俺は会ったことのない聖女に戦々恐々としていた。

聖女と会うと魅了にかけられる。


果たして俺はその魅了に抵抗出来るのだろうか?


「ともかく革命軍と戦うには今このメンバーでどうにかするしかねぇ!」

「うむ……人数は心もとないが、幸いシアン殿とクリム殿がいる。彼女たちがいれば何とかなるかもしれん」


そうだ!

クリムは俺達に協力してくれるのだろうか?


シアンは協力してくれると言っていたが、クリムにはまだ確認をとっていない。

そう思いクリムを見ると彼女は俺の視線と思惑に気が付いたのか、ニコっと笑って言った。


「いいよ?ご主人様が望むなら、ぼくがんばっちゃう!」


まかせて!と可愛らしく力こぶを作るポーズをするクリム。


そんなクリムに安堵のため息をつきつつ、俺は既に彼女が俺の事を何度もご主人様と呼んでいる事に気付いたが、それはもはや後の祭りなのである。

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