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35 感動の再開?

後ろに立っていたのはシアンだった。


俺達はシアンを助けるためにこの王都へやってきた。

だからシアンがこうして元気そうに立っているのは喜ばしいことだし、目的は達成できたのだ。


なのだが……


「なんでシアンがここにいるんだ?!」

「なんでとはどういうことですか?ちゃんと伝言を頼んだはずですが……」

「いやいやいや!シアンは今捕まってて!それで俺たちが……」

「はぁ・・・。そう言われましても、只抜け出してきただけですよ?」

「抜け出したって……」


そうだった。

殺人の容疑者として捕まったというインパクトで忘れかけていたが、彼女は規格外の存在なのだ。


恐らく聖女であろうが、それを取り囲む騎士達であろうが、彼女を捕らえておくことは不可能だったのだろう。

そこまで考えて俺は嫌な予感がした。


「シアン……。まさか逃げるために周りの人たちを〇したんじゃぁ……」

「ふふ。そんなことしませんよ?そんなことしたら、王都(ここ)でショーリさんと遊べないでしょ?」


そう言って微笑むシアンを見て俺は安堵のため息と、心臓の鼓動が早くなり始めるのを感じた。

正直言って、殺人の容疑者のまま脱走した時点で王都で遊ぶというのは少し難しい気もするが、こうして俺に合うためにシアンは脱走してきたのだろう。

自惚れかもしれないが、やはりシアンも俺の事を憎からずと思ってくれているはずだ。


アーシュリに俺は、シアンに魅了を掛けられていると言われた。


だがこうしてシアンと出会えて改めて思う。

俺はシアンが好きなのだ。

これは魅了に掛けられているからじゃない。


彼女の微笑む姿に心を奪われているのだ。


それを自覚すると同時やはり襲ってくる自己嫌悪。

俺はやはりクリムにも惹かれているのだろう。

まさか俺が二股になるとは思ってなかった。


だが、今は頭の隅に追いやろう。

バラバさんが言ってくれた様に、今はあまり気にしないでおこう。

それよりせっかくこうして無事にシアンに合えたのだ。


「とにかくシアンが無事でよかった!」

「ふふ。心配してくれてたんですか?」

「当たり前だろ!いきなり捕まったって聞いたときはどうなるかと思ったよ!」


「勝利君。シアン殿」


俺達が再会を喜んでいると、アルデンさんが話しかけてきた。


「あ……アルデンさん。ありがとうございました!おかげでシアンと再会出来ました!」

「……?誰ですか?」

「ブルリカの警備隊長のアルデンさんだよ!」


「ははは。シアン殿は覚えていないかもしれないが改めて、ブルリカ警備隊の隊長のアルデンだ」

「アルデンさんのおかげで俺は王都に入ることが出来たんだよ」


俺は改めてもう一度アルデンさんに頭を下げる。


「ほんとにありがとうございます」

「いや。私は大したことはしていないよ」

「そんなこと……」


謙遜するアルデンさんだが、俺がこうやって王都に入れたのも、シアンと再会出来たのもアルデンさんのお陰なのは間違いない。

するとシアンもアルデンさんに頭を下げた。


「そうだったんですか。それはありがとうございました」

「!!……頭を上げてくれシアン殿。私は君に返しきれないほどの恩があるのだ。これぐらいの協力は当然のことだよ」


シアンが頭を下げるとアルデンさんは慌ててシアンを止める。


「うむ……。ともかくシアン殿と再会出来てよかった」

「はい!」

「バラバ殿。スワンナ殿達に連絡をお願い出来ますかな?」

「……あ」


そうだった。

今スワンナさんたちはシアンを探す為に『王の壁』の中に入って調査してくれているのだ。


バラバさんは頷くと軽く目を閉じた。

恐らくだがテレパシーみたいなのでスワンナさん達に連絡をしているのだろうか?


この世界の文明レベルはケタロスさん曰く、第二次世界大戦時代ぐらい(神術や魔術の進歩を除いて)らしいから、携帯電話もまだ普及していないのだろう。


「しかし以前シアン殿は、殺人の容疑者のままか・・・」


確かにその通りだ。

このままではまた王国筆頭軍にシアンは捕まってしまうかもしれない。

正直シアンが簡単に捕まるとは思えないが、前回の事もある。


「そういえばシアン。なんで簡単に捕まったんだ?」


シアンの実力をもってすれば、簡単に捕まるなどあり得ないはずだが。


「ごちゃごちゃうるさかったので、取り合えず王都に連れて行ってもらうことにしました」

「まじか……」


まあシアン的にも事を穏便に済ますつもりだったのだろう。

シアンとはまだ長い付き合いではないが、彼女は好んで暴力を振るう事が無いのは分かっている。


「シアン殿。申し訳ないが少し変装してもらえるかね?」

「変装ですか?」

「うむ。シアン殿の無実は私が知っているし、それはもう筆頭軍には伝えてある。シアン殿の容疑が解かれるのは時間の問題だろうが、それでも容疑者のままで脱走したのは少々まずかった」

「……わかりました」


以外にもシアンはアルデンさんの提案にあっさり頷いた。


その後、バラバさんにスワンナさん達への連絡と合流するために『王の壁』の前で待ってもらって俺達はアルデンさんと少し場所を移動する。


『王の壁』から少し離れた先の商店街で、アルデンさんが俺たちを少し待たせ何かを買いにいった。

俺とシアンは商店街の端にあった人気の少ない公園のベンチに腰掛け、アルデンさんを待つ。

二人で大人しく座っていると、思い出したようにシアンが俺に問いかけた。


「そういえばクリムに合ったんですね?」

「ゔ……!!まぁ……さっきも言ったけど助けてくれたんだよ……」

「へぇ?それでわざわざクリムはショーリさんに匂いを残していったんですか?」

「匂い??は分からないけど……」


なんだが浮気を問い詰められてるみたいだ。

シアンの顔をまともに見れない。


「……ショーリさんは私に綺麗だと言ってくれたのに、クリムにも惹かれてるんですね?」

「ゔゔ!!……ごめん……」


そこで咄嗟に誤魔化しの効く性格じゃないので、うまく誤魔化せない。

居たたまれない。

折角シアンと再会出来たのに、やっぱり俺は二股の屑野郎なのだろう。


「ふふ……。あははは」

「シ……シアン?」

「ごめんなさい。すこしからかってみました」

「え?」


シアンを見ると彼女は楽しそうに笑っていた。

どうやら怒ってはいないみたいだが、どういう事だろうか?


「別にクリムならいいですよ?ショーリさんは私のものというわけでもありませんし」

「シアン……」

「でもそうですね……」


そう言うとシアンは俺に顔を近づける。

そして……


俺の頬に口づけをした。


「やられっぱなしというのは性に合いませんから……」


私は意外と負けず嫌いなんですよ?と言って悪戯が成功したように笑うシアンに、俺は全身まで赤くして見惚れてしまっていた。


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