表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/69

3 天使

「な……なんだ!?」


俺が慌てていると少女はため息をついて立ち上がった。


「どうやら珍客のようですね」


そう言いながら部屋の外へ出ていこうとする。


「あなたの体はまだ完全には回復してはいません。ですので大人しくしてて下さい」


少女は俺を置き去りにして部屋の外へと出ていった。


「お、おい!一体どういうことなんだよ!」


俺も慌てて立ち上がり少女を追いかけようと部屋を出る。

部屋から出ると既に少女の姿はなく、ここが二階で階段を下りていく少女の足音が聞こえた。

あわてて廊下の奥の階段を降り一階にたどり着く。

一階の廊下を見回すと、遠くに玄関らしきものがあり、その前に少女が立っているのが見えた。


「おい!まてよ!」


俺はそう叫び少女のもとに駆け寄る。

少女は振り向き、少し驚いた表情で俺に話かけた。


「あなたはゴブリン程度に怯えて失禁するぐらい臆病な人なのに、好奇心は旺盛なんですね?」

「いや!漏らしてはないよ!?」


おれは必死に弁解したが少女は興味なさそうに玄関のほうを見た。


「噂をすればなんとやら……。どうやらあなたのお目当ての方々が来たみたいですよ?」


そういうと玄関を開けた。


外に出ると以外にも、前ほど寒くはなかった。

見れば先ほどと同じように雪景色なのだが、この周りはなぜそこまで寒くはないのだろうか?

そんなことを考えていると、ボトルと呼ばれた熊みたいな化け物が二人の人間を追いかけ回していたのが目に入った。


いや、よく見るとその二人は人間ではなく背中にまるで天使のような白い羽が生えている。

だというのにその二人は空中に羽ばたくことはせず走って逃げ回っている。


「ひぇぇぇぇぇ!た……助けて……たすけてくださぁぁい!」

「く……!この怪物め!!この私を誰だと思っている!!

ここで私が剣を抜けば貴様は……ああ!やめろ!その棍棒を振り回すな!!」


二人の天使?はなにやら叫びながらボトルに追いかけ回されている。

すると一人の天使?がこちらに気づき叫んできた。


「そこな転移人よ!はやく私を助けたまえ!このままではこの怪物にぃ……!」


必死の叫びが言い終わるか終わらないかの瀬戸際、こちらに気を取られたせいでその天使?が躓いて盛大に転んでしまった。


終わった………。


転んだ天使?と俺がそう思ったとき少女が俺に話しかけた。


「助けなくていいのですか?」

「助けれるか!!」


俺は思わず怒鳴るように答える。


「だいたいあの怪物はお前のペットかなんかだろ!?だったらぼーっとしてないで止めてやれよ!」

「はぁ……。仕方がありませんね……」


ため息をつくと少女は天使?に問いかけた。


「いくら払えますか?」

「は?」


俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。

しかし少女はそのまま話を続けた。


「ボトルを止めるのにいくら払えるかと聞いているんです」


俺の質問に、さも当然のように答える少女。そして言われた天使?のほうは───


「うぐ!?うう……。ううう……」


何やら顔を青くして口ごもった後、少女が要求した金額を口にした。


「………15万バルでどうだ!」

「ボトル……ステイ」


すぐさま少女はボトルを静止させる。

するとボトルは先ほどまでの暴れ具合が嘘のようにピタリと止まり、そしてその場に座りこんだ。


「いい子ですね」


そう言いながらボトルを優しくなでると少女は俺に向かってこう言った。


「さて、これでようやく話が進められますね?」


俺は深いため息をつき少女に言った。


「いや、今回は多分お前のせいだよ……?」

「おい!貴様!」


かぶせ気味に転んだ天使?が少女に怒鳴った。


「先ほどは助けてもらったと思ったが、その怪物は貴様の使い魔か!?」

立ち上がり埃を払いながら天使?は続ける。


「ならば貴様のせいで我々は追い回されていたのではないか!!大体この周りに結界を貼って私たちの天使の機能を封じたのも貴様だな!?」

「えぇぇ?そうなんですかぁ!?」


もう一人の天使?も驚いたように続けた。

怒り心頭の天使?は更に言葉を続ける。


「それに貴様……魔族だな……!?」


魔族?魔族というとファンタジーとかでよくあるあの魔族だろうか?

俺が混乱していると少女は興味無さそうに答えた。


「そうですが、なにか?」


ここは魔界なのだから、あたり前でしょう。

と答える少女に天使?は更に怒り出した。


「やはり魔族か!!我々の崇高な行いを妨害するばかりか、天使の羽に傷をつけた罪、万死に値する!!」


そういうと腰に刺した剣を抜く。そしてそのまま少女に向かって斬りかかった。


「覚悟!!」


俺は慌てて少女を助けようとするが、間に合わない。

しかし少女はまるで動じることもなく、ただ一言、独り言のように呟いた。


「はぁ。折角の金づるだったのですが……」


そう少女が呟いた瞬間、世界が止まった気がした。


一瞬。


そう一瞬だった。


斬りかかった天使?は恐らくなにが起きたのかわかっていない。

かくいう俺も何が起きたのかわからない。

分かるのは只ひとつ。


気が付けば斬りかかっていた天使?はバラバラになって、その場に残っているのは天使?だったものの肉片だけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ