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26 召喚

「俺は神人だが、実は戦闘能力はゼロだ!!」


そう言って机の下に隠れているケタロスさんに若干呆れながら、俺はスワンナさんに話かける。


「スワンナさん!街に行ってあの化け物をどうにかしないと!!」

「ええ!アーシュリ!バラバ!!行くわよ!!」


残った天使たちにケタロスさんの護衛を頼んだスワンナさんは、アーシュリと厳つい男性の天使のバラバさんを率いて街に飛び出した。

俺もすぐに後を追う。


「スー!!」

「ジーク!!」


街に出るとすぐにジークさんとエルフ?の少女に出会った。

彼女は確か、ギルドにいた冒険者のはずだ。

慰労会の時にシアンにお礼を言っていた冒険者のエルフ?の少女、レコアさんとジークさんはいままであの化け物スライムと戦っていたらしい。


「あの怪物!魔術砲をものともしねぇ!!」


忌々し気にスライムを睨みつけるジークさん。


「いやーーもう打つ手なしですねぇ……」


するとジークさんの後ろから眼鏡をかけた一人の男性が現れる。

彼もたしか昨日の慰労会に居たはずだ。


「おお!少年初めまして。私はギルド「オーバ」所属Aランク冒険者にして魔術の天才。スレッタ・ディスマンです!」


そう言って思いっきり手を握って上下してくるスレッタさん。


「おい!スレッタ!!今それどころじゃねぇだろ!!」


そしてジークさんに諫められ渋々俺の手を離した。


「でもジーク。もう打つ手なしでしょ。私の魔術すら飲み込んでしまうスライムですから、もはやどんな攻撃も効きませんよ」


そう言って肩を竦めるスレッタさんにジークさんが拳骨をかます。


「だからと言ってあきらめるわけにゃいかねぇだろ!!」

「その通りだわ!!」


そう言ってスワンナさんはスライムへと飛び立っていった。


「バラバは私の援護を!アーシュリは勝利様の護衛をお願い!!」

「承知」

「はいはい、りょーかい!!」


そう言って飛び出したスワンナさんは、今戦っているアークエンジェルズ達に合流する。


「俺達も行くぞ!!」

「うん!!」

「えー」


冒険者の三人もそれに続いてスライムへと向かっていった。


「佐藤勝利!あんたは私とここで隠れとくのよ!」


戦場に行っても足手まといだからね!と言うアーシュリであるが、俺にもなにか出来ることはないのか?

確かに今のままスライムに向かって行っても何の役にも立たないだろう。

だが……


「あんた!妙なこと考えてんじゃないでしょうね?!」


アーシュリに諫められるが、ここでイチかバチかの賭けに出ないでどうする。


見ればアークエンジェルズ達は何人かスライムの触手に捕まり、捕食されていた。

スワンナさんたちは縦横無尽に空を駆け巡りスライムに攻撃しているが、その攻撃は意味を成していない。

ショットガンを片手に果敢にスライムに攻撃をするジークさんに、弓を連射して攻撃するレコアさん。

多彩な魔術でスライムを攻撃するスレッタさん、そして果敢に銃でスライムを撃ち、市民たちを避難させている警備隊の人たち。

轟音と共に警備隊宿舎の方角から砲撃が飛んでくる。


だがどの攻撃も全て無意味と化すのは、時間の問題だろう。

スライムは全ての攻撃を全く物ともしていないどころか、全てを吸収してさらに巨大になっていく。

このままじゃ本当に……全滅だ。


なら今これを使う!


それはつい先ほどケタロスさんからもらった三つの薬だ。

赤、青、黄色の三色の飴玉サイズの薬がケースの中に入っている。


俺は少し迷うと青い薬を飲み込んだ。

若干の緊張ののち待つと、頭の中に説明文が思い浮かんできた。


───青の玉の能力は───

───召喚です───

───自身が想い描いたものを5~10分間召喚できる能力です───

───ただし想い描いたものが召喚される確率は70%───

───のこり30%の確率でその思い描いたものの関係者などが召喚されます───

───以上───


この能力は……!!

今一番欲しいと言っても過言ではない能力だ!!


若干興奮しつつ考える。


───今王都に連れていかれてるシアンを呼び出せれば!シアンの無事も確認できる!それにあのスライムもシアンに倒してもらえるかもしれない!


5~10分ほどしかないが、シアンにこれからの事とか話も出来るかもしれない!!

もし最悪シアンを呼べなかったしたら……恐らくボトルが召喚されるだろう。

ボトルが俺の言うことを聞いてくれるか微妙な所だが、この状況を打破する手立てにはなるだろう。


そんな思考の海に気を取られていたせいか、俺は迫りくる脅威に気が付いていなかった。


「佐藤勝利!なにしてんの?!!上を見なさい!!」

「……え?」


そうして見上げた先には俺に向かって振り下ろされた巨大な建屋が降ってきていた。

スライムが縦横無尽に振り下ろしている体の一部の建屋がどうやらこっちにきたようだ。


「勝利様!!」

「勝利殿!」

「少年!!」

「きゃああ!!」


スワンナさん、バラバさん、ジークさん、レコアさんが口々に俺に叫ぶが、もう間に合わない。

走馬灯のようにゆっくり迫ってくる建屋を見て俺は決心した。


───頼む!!シアン!!来てくれ!!


極限の想いを込めてシアンを呼び出す。


その瞬間俺の前に魔法陣のようなものが現れ眩い光が立ち込める。

俺は眩い光に目を細めながら、シアンの召喚を願う。


そして……


スライムの建屋が俺に振り下ろされた。



俺が硬く目を瞑っていると、軽い浮遊感を感じる。

そして浮遊感から解放され目を開けると一人の少女がいた。

彼女が俺をさっきの場所から移動させてくれたようだ。


「………シアン?」


土煙で前が良く見えない中、俺は少女に呼び掛ける。

すると


───のこり30%の確率でその思い描いたものの関係者などが召喚されます───



「えっと……ぼくを召喚したのはキミってことでいいんだよね……?」


土煙が晴れるとそこに立っていたのはシアンではなかった。


淡いピンク色の髪をツインテールで纏め、美しいルビー色の大きな瞳。

可愛らしい容姿の少女は、ゴシックロリータ風の衣装を身にまとい、背中には小悪魔のような翼、そして小悪魔のような尻尾を持っていた。


(おおよ)そ、この戦場にそぐわない印象の可憐な少女は小首を傾げて俺に聞いていた。


「ねぇねぇ?キミがぼくを召喚したんでしょ?」


そう言って微笑んだ少女に、俺の心臓は大きく音を立てるだった。

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