20 疑問
「死の大地……」
俺はごくりと唾を飲み込んだ。
そうするとケタロスさんあははっと笑い言った。
「って!預言者が言うものだから天界も大慌てさ!」
実際爆発したことないからわかんないけどね!と言ってケタロスさんが続ける。
「てなわけで、地上がだめになったら天界も魔界も困るんだよね!」
「その毒素はいずれ魔界にも到達するみたいだし、ほっとけば俺たちも天界から一歩も出れなくなっちゃう!」
そりゃ困る!と笑ってケタロスさんは続ける。
「てなわけで!佐藤勝利くんには邪神、ボムバ・ヌクリアをね、再封印してほしいんだよ!」
なんかそろそろ封印が緩くなってやばいみたいだしね!と言うケタロスさんに俺はさっきからの疑問を投げかける。
「その再封印をするのに何で俺が必要なんですか?」
「そこだよ勝利くん!!」
待ってました!と言わんばかりにケタロスさんは声を上げる。
「実は邪神が封印されている祠はかなり厳重に隠されていて、それでいていランダムに移転しちまう」
「移転するんですか?!」
「そう。とある条件を満たすと祠が移転するんだよ」
「とある条件?」
俺が首を傾げるとケタロスさんは大きく頷いて答えた。
「神力ないし魔力を少しでも感知したら、移転するようになってるんだ」
「……!」
「気がついたと思うけど、この三界の者たちは例外なく、神力か魔力を持っている」
「そして俺達転移人には……」
「そう!君たちは神力も魔力も通っていない!」
「この世界の普通の人間にも全く魔力とかない人はいないんですか?」
「いない。ほぼ大半8割は魔力を残りは神力を少なからず持っている」
稀に両方もっているやつもいるけどね?っと付け加えてケタロスさんは話を続ける。
「それらを隠す神術とか装置とかも開発してみたんだけど、どうしても微弱に力が残っちゃうんだよね……」
「だから俺達みたいな移転人にその封印をって、そんな能力俺たちもってないですよ?!」
「そこは大丈夫!封印する道具は魔力も神力も通っていないすんごい代物があるから!」
はい!っとテーブルの上に置かれたのは、ピンポン玉ぐらいの黒いボールだった。
「これを邪神に向かって投げつければあら不思議、再封印は完了ってわけ!」
簡単でしょ?というケタロスさんに俺は内心ため息をついた。
まぁ正直な話、これを邪神とやらに投げつければ封印終了ならば確かに簡単だ。
だが、核爆弾のような存在の邪神に近づくこと自体めちゃくちゃ危険なことだ。
「と、ここまで言っといてなんだけど。正直勝利君は無理にやってくれなくていいんだよね」
「ケタロス様?!」
とんでもないことを言うケタロスさんに護衛であろう天使が声を上げる。
それを手で制してケタロスさんは続ける。
「邪神を再封印したいのは俺たちの都合。勝手に勝利君を呼び出して、かなり危ないことをさせるってのは正直こっちとしても心苦しいわけよ」
「……でも」
言い淀む俺に苦笑いをしてケタロスさんは続ける。
「言ってなかったけど勝利君。今回の再封印には大きな障害がある」
「障害?」
「うん。実は邪神復活、つまり地上を吹き飛ばしてやろうとしてる連中がいるんだ」
「……え?!」
「革命軍『ル・ルシエ』って組織でね。まぁ連中にとっても邪神は最終手段だろうけど、正直いかれた連中だから最終的になにしでかすか分かんない」
「でも……そいつらは邪神の所にはたどり着けないんじゃ……」
「なんだけど、連中もどうやら君みたいな移転人を呼び出したみたいなんだよね……」
「ええ?!」
俺が驚愕すると、ケタロスさんは苦笑いを深めながら続けた。
「なんか連中のやらかしのせいで、天界のポータルまでおかしくなったみたいでね。そのせいで君が魔界に召喚されちゃったんだけど」
「それで俺が……」
「うん。実は邪神の再封印は定期的に行ってて、その度に転移人に頑張ってもらってたんだけど、今回はいつもとは訳が違う」
「……」
「もちろん俺達も全力で君のバックアップをするけど、実際に君が命を狙われることになると思う」
君が移転人とばれるのも時間の問題だろうしね?とケタロスさんが続ける。
「正直調べりゃ簡単にわかることだけど、わざわざ公衆の面前で君を移転人ってばらしちゃったおまぬけさんもいたみたいだし……」
「……うう!!」
その言葉にスワンナさんが胸を押さえてうずくまった。
「あ!一応これも言っとくけど、今までの人たちも完全な善意だけでやってくれたわけじゃないからね!」
そう言ってケタロスさんケタロスさんは両手を叩く。
瞬間テーブルには大量の金塊が現れた。
「もし邪神を再封印してくれれば、元の世界に帰るときにこの金塊を全部プレゼントしてたんだよ!」
君たちの世界でも金は価値があるっしょ?と言ってケタロスさんは続けた。
「もちろん全部本物だからね!そこは安心してくれていい。試しに手に入れた人を覗いてみたんだけど、そっちの世界でも間違えなく本物だったみたいだしね!」
でもねっとケタロスさんは言う。
「さっきも言ったけど、今回は今までとは訳が違う。今までは邪神を復活させようなんて阿呆はいなかったし、当然移転人の命も狙われてなかった。だから祠さえ見つければ割と簡単に再封印は出来てたんだよ」
「だけど今回は……」
「うん。間違えなく奴らは君の命を狙う。どうやって自分たちが呼んだ移転人に邪神の封印を解かせるかまではわからないけど、どうあっても君は邪魔な存在だ」
だからっと言ってケタロスさんは続けた。
「君は無理にこのことを受ける必要はないんだよ。ここで君が元の世界に帰ると言っても誰も・・・少なくとも俺は君を責めたりはしない。」
むしろ!っと指を立ててケタロスさんは言う。
「迷惑料で気持ち的には全部上げたいけど、そうしたら俺が怒られるから、せめて金塊を両手に持てるだけ持って帰っていいよ!」
そう言って笑いかけるケタロスさんを見て、俺は思考する。
とはいえ思考すると言っても俺の中の答えはもう決まっていた。
決まっている答えを出す前に、俺は疑問に思っていることをケタロスさんに聞いてみた。
「もし俺がここで帰ったら、次の移転人はすぐに呼べるんですか?」




