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19 神人

───やっぱり緊張するな……


あの後顔を洗って着替えを受け取り、佐藤勝利はスワンナさん促されるまま会場の前に立っていた。

此処にいるのはスワンナさんと自分だけだ。


シアンは一緒ではないのかとスワンナさんに尋ねたが、どうやら神人と魔族が直接会うのはあまりよろしいものではないらいし。

今朝お金は支払ったらしいので、シアン自身神人に合う気はないという。

今シアンはアーシュリと共に街を散策しているらしい。

まあシアン自身来る気がないなら仕方がないが、なんだかちょっと心細い。


「大丈夫ですか?勝利様」


スワンナさんが心配して俺に話しかけた。


「大丈夫です……。行きましょうか!スワンナさん」


ええい、ままよ!

気合を入れて会場のドアを開ける。


煌びやかな会場の真ん中に、大きなテーブルがありテーブルを囲むように天使たちが立っている。

そしてテーブルには一人の男性が座っていた。

その男性を見ただけで、その人が神人だと分かった。


見ただけで人を魅了するような整った顔立ちに、煌めく金の長髪。

男の俺が見ても目を引かれるイケメンに少したじろいでしまう。


「お!きたね!」


男性は笑顔で俺を招き入れた。


「待っていたよ!さぁ座って座って」


笑顔で催促され、促されるまま俺も席につく。

俺が席に着くと男性は満足そうに頷いて話した。


「始めまして。俺はルゴット家の次男、ケタロスだ!」

「あ……初めまして。佐藤勝利です」

「うんうん。本来なら当主自らが来るのが道理なんだが、ちょっとこっちもゴタゴタしていてね」

「え…と」

「それでいつも暇してる俺に白羽の矢が立ったわけだ!」


そう言って笑うケタロスさんだが、笑いを抑え、真面目な顔をして言った。


「佐藤勝利くん。説明の前に謝らせてくれ」

「え……?」

「君を勝手にこの世界に招き入れただけではなく、なんの説明もないまま君を危険な目に合わせてしまった」


そしてケタロスさんは立ち上がって頭を下げた。


「本当に申し訳なかった」

「いやいや大丈夫です!謝罪ならもうスワンナさんから受け取ってますし!」


俺は慌ててケタロスさんに言う。

見れば周りの天使たちも皆、頭を下げている。

俺は居たたまれなくなりケタロスさんに懇願した。

というより使いの人って言ってたけど、めっちゃ偉い人(神)がきてるじゃんか!


「ほんとに大丈夫です!確かに大変な目にはあったけど、シアンのお陰でなんとかなりましたし!」


こうやって無事ですから!と続ける俺にようやくケタロスさんは顔を上げてくれた。


「ありがとう。佐藤勝利くん!君はスワンナが言うようにいいやつだね!」

「いえ……」

「でも本当に悪いと思ってるんだよ?こっちの勝手な都合で君をこの世界に呼び寄せたわけだし」

「その……なんで俺はこの世界に移転させられたんですか?」


そう。俺が聞きたいのはそれだ。

ケタロスさんは勝手な都合というが、いったいどんな理由で俺はこの世界に呼ばれたのだろうか?


ケタロスさんは着席しながら大きく頷いた。


「うん。まどろっこしいのは嫌いだから単刀直入に言うけど、君には邪神、ボムバ・ヌクリアの再封印をしてほしいんだよ」

「邪神……?」

「うーん。何から説明したらいいものか……」


そう言ってケタロスさんはテーブルに置かれているジュースを飲んだ。

テーブルには朝食とジュースが置かれている。

君も好きに食べてね?っと言ってケタロスさんは続けた。


「邪神、ボムバ・ヌクリアはね、邪神っと言ってもその実態は核爆弾のようなものでね」

「核爆弾……」


この世界にも核爆弾があるのだろうか?

俺の世界でも核爆弾が最初に登場したのは1945年ぐらいの、第二次世界大戦の末期のはずだ。

こう言ってはなんだが、俺の世界でも比較的新しい兵器である核爆弾がこの世界に馴染みがあるのはなんだかちぐはぐに感じてしまう。

勝手にこの世界はファンタジーの世界だと思い込んでいたが、昨日元素の事を知っていたシアンもそうだし、この世界は科学が意外と発達しているみたいだ。


そう言えば昨日復旧作業をしている警備隊の人たちも、背中にライフル、腰には自動拳銃を持っていた。

街には車(かなりレトロ風だったけど)も走っていたし、どちらかというと現代に近い世界なのかもしれない。

そんなことを考えこんでいると、ケタロスさんが笑いながら言った。


「核爆弾知ってるのが意外かい?」

「ええっと……まあ……」

「だろうねぇ。君たちの世界から来た人は、大体この世界は君たちでいうファンタジーの世界だと思っているからね!」


そう言って笑いながらケタロスさんは続ける。


「この技術進歩はね!君たちの世界のお陰なのさ!」

「え?俺たちの世界の?」

「そう!君たちの世界の科学進歩は非常に素晴らしい!俺たちは神術、魔術でいろいろ進歩してきたけど、君たちはそう言った類の力を持っていない!だと言うのに君たちの世界は俺たちの世界を優に上回る技術力を持っていた!」

「……」

「人間族たちの力の一つに、移転とは別に覗き見の能力を持っているやつらがいてね」

「覗き見……」

「その力で君たちの世界を覗いて、彼らはその技術を学習してきた」


特にドワーフたちなんてすごかったよ。

と笑いながらケタロスさんは言った。


「そのおかげでこの世界は、今は君たちでいう第二次世界大戦ぐらいかな?その時代ぐらいの技術力を持っている」


まあそれでも君たちより100年は遅れてるし、魔力とかあるから技術進歩のしかたがちょっと違うけどね?と締めくくってケタロスさんは笑った。


「話が逸れてしまったね!ともかく邪神、ボムバ・ヌクリアは核爆弾みたいな存在でね!」


「復活したと同時に大爆発をおこして、そのあたり一帯を吹き飛ばしてしまうのさ」

「!!!」

「爆発範囲は1000キロにも及び、衝撃波で10万キロ圏内のものを吹き飛ばす」

「そんなに……!?」

「それだけに止まらず、その衝撃波を浴びたものは例外なく魔力病におちいる」

「魔力病?」

「自分自身の魔力が体内で暴走して魔力が毒素を持って体を蝕む」


「そしてその病気で死んだ人間を発症元に毒素はどんどん感染していく」

「……」

「そして地上は死の大地となるのさ」


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