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17 オスマン・デコア

───間一髪だった……


ファルデア王国筆頭軍3番隊隊長、オスマン・デコアは助けた女性を抱きしめながら思った。



早朝、相棒の飛竜と共に空からパトロールをしていたオスマンは町はずれの集会場のような場所に目を止めた。

おそらく炊出しな何かをしているのだろうが、集会場にはポツリと一人男が立っているだけだった。


───なにか違和感を感じる……


そう思って集会場を見ていると、その男に一人の女性が近づいて行くのが見えた。

その瞬間自身の危機感が警報を鳴らす。

培ってきた経験でオスマンは男が危険であることを察してすぐに女性を助けるため飛竜を駆る。

背中に背負っている自分専用のライフルに電撃の魔力を乗せ男に標準を合わせる。

すると男は体の一部を液体状に変化させ、一気に女性を飲み込もうとした。


───させるか!


引き金を引くと同時に轟音が鳴り響き、電撃を帯びた弾丸が男に着弾する。

液状の体は弾け飛び、驚愕の表情で男はオスマンをとらえた。


オスマンはすぐさまライフルを投げ、腰に差している剣に電撃の魔力を乗せ、飛竜から飛び出し男を十字に切り裂いた。

切り裂かれた男は体をグネグネを変化させ、浅黒いスライムへと変化する。


───見たことのないスライムだ……!


襲われていた女性を抱きしめて、片手で剣を構えながらオスマンは油断なくスライムを観察した。


スライムとは本来、魔物の中でもそこまで厄介な魔物ではない。

液体状の体で獲物を包み込み、ゆっくりと消化していくのだが、スライム自体の速度も消化速度も大して速くはないため、基本的に死骸などを食べて生活している。

大きさも大きくて最大50センチ程度で、決して巨大な魔物ではない。

しかし目の前のスライムは人一人を簡単に飲み込めそうな大きさをしている。

目算で2メートル近くに巨大になっているスライムを見てオスマンは思考を走らせる。


突然変異。


昨日のディオスパイダーも突然変異の群れだと聞いていた。

二度の突然変異種が連続で同じ街を襲うことなどありえるのか?


───否。


この二つの事件は間違えなく同一で、裏でそれを手引きしている犯人たちがいる。

そしてその犯人たちの目的はブルリカの制圧だけでは無く、恐らくファルデア王国の陥落。

そしてその犯人たちは恐らく革命軍『ル・ルシエ』。

最近噂を耳にした、三界情勢崩壊を望むテロリストたちだ。


「君はあの飛竜に乗って逃げて!」


女性を飛竜まで向かわせながらスライムからは目を離さずオスマンは油断なく剣を構える。

魔力探知をした所、どうやらスライムは一匹のようだ。

ならば早めに女性を避難させ、全力でスライムを叩く。


先ほどのライフルの音で警備隊や筆頭軍、アークエンジェルズたちが駆けつけてくるだろう。

もし自分一人で倒しきれなくても、それまで足止めは出来るはずだ。

それに……


───もしかしたらあの魔族の少女も来てくれるかもしれない……


ディオスパイダーを蹂躙した魔族の少女の助力を心で願いながら、オスマンは剣を振り上げる。

雷の魔力を纏った剣で牽制しながら、先ほど投げたライフルの元まで移動する。

ボトルアクション方式のライフルで、弾はあと3発残っている。

非常に威力が高いライフルで、下手な魔術師の大型演唱魔術よりも手軽に威力が出せるオスマンの必殺武器だ。

ただリロードに1秒、電撃チャージに3秒ほどかかってしまうため、この様な油断や隙を許されない戦闘においては致命的な隙になってしまう。


───どうにか隙を作る!


「隊長!!」


そう思って気合を入れなおしたオスマンに、聞きなれた声が届いた。

副隊長のアナシスだ。


「アナシス!油断するな!突然変異のスライムだ!」


スライムから目を離さず、剣で牽制しながらアナシスに叫ぶ。


───突破口が見えた!


スライムは戦闘経験が浅いのか、電撃を嫌がってか攻めあぐねていた。

ならばアナシスに前衛をまかせ、すぐさまライフルをチャージ。

至近距離でスライムを吹き飛ばす!



胸に灼熱の痛みを感じたのはその時である。


「………え?」

「ごめんなさい……。隊長……」


次の瞬間、口からゴプリと血が溢れた。


「アナ……シス……?」

「あなたに恨みはないのですよ?でも全ては我ら、真の安定なる世界のため……」

「……!」

(わたくし)のために死んでくださいな?隊長……!」


背中から刺した剣を横に振りぬき、その後さらに後ろから切りつける。


「あなたの相棒も先ほどの彼女も、先にあなたの向かう場所にいますわよ!!」

「アナシス……おまえぇ!」

「食べなさい!ダークスライム!!」


次の瞬間スライムの液体状の体がオスマンの左手を捕らえた。


「くうおおおおお!」


一瞬でオスマンの体に纏わりつきながら消化しようとするスライムに、オスマンは最後の抵抗で体から電撃を発する。

左腕は食べられたが、電撃に痺れたスライムは一瞬拘束を緩めた。

その隙を見逃さず、オスマンは瀕死の体を動かし高速で離脱する。


「逃がしませんわ!!」


止めを刺そうとするアナシスにオスマンは右手の剣を投てきする。

アナシスが剣を弾いてる隙に、オスマンは近くの川に飛び込んだ。


「……っち……なんて往生際の悪いお方……!」

「二げられタのカ?」

「まぁ、あの重症では川に飛び込んでも自殺と同じですわ」

「……?」


スライムはいまいち意味が分かっていないようで首を傾げる。


───それにしてもよかったですわ……

───あのお方から頂いたブレスレットのお陰でスライムからは捕食対象にされていないようですわね……


あのお方から連絡を受け、すぐさま現場に向かったアナシスは途中オスマンの飛竜につかまって逃げている女性を見つけた。

現場の事態を察したアナシスはオスマンの飛竜を呼び寄せると首を刎ねた。

驚く女性の首も刎ね、現場に到着したアナシスが視たのは今にも敗北しそうなダークスライムであった。


───万が一のことを考えて自分の飛竜で来なくて正解でしたわね……


あともう少しでアークエンジェルたちが到着するだろう。

その前に計画を変更して……。


「ダークスライム。あなたオスマン隊長に変身はできますか?」

「むずカしいガ……やれル……」

「ではこの飛竜のコアクリスタルも食べなさい」


そうしてオスマンの飛竜のコアクリスタルを食べるスライムを見て、アナシスはこれからの計画を考える。


───うまくいけばあの魔族を……!


新たな計画を思いつき、アナシスはほくそ笑むのであった。


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