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【天界?女神?テンプレ転生?】

次に目を覚ましたとき、二人は白く輝く空間にいた。

「ここは……?」

まるで雲の上にいるかのような不思議な空間。

空気は澄み切り、心地よい光が全方位から降り注ぐ。

無限に広がる空間の中心に、神々しい光を纏った女性が立っていた。

長い豊かな金髪が輝きを放ち、母なる大地を彷彿させる包容力に満ちた姿。

流れるような白と金のローブが、彼女の威厳と優雅さを際立たせる。

その存在感は、ただ美しいだけでなく、まるで世界そのものを象徴するかのような神秘性を漂わせていた。

「天界へようこそ」

響き渡るその声は、どこか親しみやすさも感じさせる。

しかし、優しさの裏に強い威厳と決意がにじみ出ていた。

「天界……?」

「そうよ。あなたたちは不運にも、自分たちの世界でトラックに轢かれて命を落とした。本来ならば、生前の世界で転生の輪に組み込まれ、新たな生を待つはずだったの。でもね、私はあなたたちに救ってほしい世界があるのよ、だからあなたたちの魂を天界へ招待したのよ。」

混乱しながらも悠真はその言葉に耳を傾ける。

隣では龍華が冷静な表情で状況を分析している。

「……あなたは一体、何者ですか?」

龍華は、目の前の女性が敵か味方かを見極めるべく鋭い視線を向けながら、さりげなく悠真をかばうように身を寄せる。

それを感じ取ったのか、天界に招いたその存在は穏やかに微笑みながら言う。

「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。私はこの世界を統べる存在、アストライア。人の世界では神や女神と呼ばれることもあるけれど、役目としては世界の管理者といったところかしら。」

アストライアは二人をまっすぐに見据え、その瞳は全てを見通すかのような神秘と威厳を放っていた。

「今、この世界は混沌と戦乱の渦中にある。あなたたちには、小さな王国を救い、ひいてはこの世界に平和をもたらしてもらいたいのよ。」

それを聞いて悠真は腕を組んで考え込む。異世界、王国、戦乱……平和な日本に住んでいた彼らにとっては、信じがたい話だ。

「これはもしかして、いわゆる最近はやりの『異世界転生』というものなのか?」

「異世界転生……?」

龍華は冗談か本気か判断しかねる表情でその言葉を反芻した。

「そうね。わかりやすく言えば、あなたの言う通り、これは異世界転生よ。」

「ということは、あのトラックもあなたの仕業ということか?」

悠真の問いの意味を瞬時に理解した龍華は臨戦態勢に入る。

武器は持っていないが、返答次第で徒手で相手を制する気である。

「勘違いしないでほしいの。あなたたちの世界で流行っている『異世界転生物』では、神と呼ばれる存在がトラックを操ることもあるらしいわね。でも、私はそんなことはしていない。あなたたちは『偶然』命を落としてここにいるのよ。」

悠真はその真意を測りかねながらも、これ以上の問答は無意味だと判断し、アイコンタクトで龍華に制止の合図を送る。

「わかった。あなたを信用することにしよう。俺たちは『偶然』の事故でここに来てしまった。龍華もそれでいいな?」

龍華は納得しきれない様子ながらも、しぶしぶ首を縦に振る。

「これもまたテンプレかもしれないけど、あなたたちには各々の性格や性質、身体能力に応じた『スキル』という特別な力を授けるつもりよ。もちろん、もし希望するスキルがあるなら、この世界の理を壊すようなものでなければ相談に乗るわ。」

龍華が口を開く。

「テンプレというのが何かはよくわかりませんが、それだけではメリットが少なすぎるのでは?」

それを受けて悠真も口を挟む。

「確かに。俺たちがこの世界を救ったとして、その後はどうなる? まさか、そのままこの世界で生涯を終えて輪廻に組み込まれるだけなんて、面白くないだろう?」

アストライアは笑顔を崩さず、少しため息交じりに答える。

「さすがに、私が目をつけた人たちね。抜け目がないというか、しっかりしているというか…… 普通の人なら、スキルさえもらえればよろこんで転生してくれるのに。」

「褒められているのか、貶されているのかわからないが、『偶然』にテンプレ通りに死んだとしても、何かを依頼するなら見返りは必要経費というものだろ?」

「わかったわ。この世界を救ってくれた暁には、元いた世界にもう一度転生させてあげる。もちろん、あの事故に遭わなかった世界線でね。」

悠真は龍華と目を合わせ、互いの意思を確認するようにうなずく。

「よし、それでいい。ただ、もうひとつおまけを頼む。」

「これ以上何を望むの?」

アストライアはいぶかしげな顔をする。

「元の世界に戻すとき、異世界で得た経験や知識、記憶をそのまま残してほしい。」

「でも、それだと記憶が混ざって混乱するでしょう?」

「いや、そうとは限らないさ。異世界での知識や経験が、元の世界でさらなる成長に繋がるかもしれないし、新しいビジネスのタネになるかもしれないからな」

「異世界の商人・・・ビジネスマンだったかしら?ビジネスマンとは強欲なものね。良いわ、その条件を飲みましょう。ただし、スキルは残せないわよ?」

「ああ、それでいい、交渉成立だな。龍華もそれでいいか?」

「私に異論はございません。社長の判断はいつも正確ですから。」

「まあ、その正確さも君の情報収集や状況分析があってこその結果だがな。」

二人のやり取りを聞いていたアストライアは

「ほらほら、いちゃついてないで、さっさとスキルを選びなさい……」

「いちゃついてなどしていません! ねえ、社長?」

龍華は顔を真っ赤にして強く反論しながら同意を求めるが、悠真は心の中で(そこまでは言わなくても……)と思いつつ口に出さなかった。


「それで、能力ってどうやって選べばいいんだ?」

「そうね。まずは、あなたたちが元の世界で持っていたスキルを分析しましょうか」

そう言うと、アストライアは二人に手をかざした。彼女が日本語ではない言語らしきものをつぶやくと、暖かい光が二人を包み込むように集まり始めた。

「もう良いわよ」

その言葉が終わるや否や、悠真が口を挟む。

「まさかこれもテンプレ通りに『ステータスオープン』なんて言うんじゃないだろうな?」

と言い終わる前に、悠真の眼前に板状の光が浮かび上がった。

「……」

まさかの出来事に二人とも無言となった。

悠真に至っては苦笑いを浮かべる始末だ。

「あら、物知りなのね? それとも、あなたたちの世界ではそんな物語でもあるのかしら?」

「大抵の異世界転生物のテンプレなんでね・・・」

悠真は苦笑いしながら答えた。

「まあ、口に出しても、心の中で唱えてもいいのだけれど、『ステータスオープン』と言うことで、あなたたちの身体状況やスキルが、そのステータスボードで見ることができるわ。あと、サービスとしてあなたたちの記憶にあった”ゲーム”を参考に『レベル』や『経験値』も数字で確認できるようにしておいたから」

「至れり尽くせりだな」

そう言うと、悠真は自分のステータスを確認した。龍華も、心の中で唱えたのか、ステータスボードを出現させていた。

「なんだ、俺のレベルは1なのか?」

その言葉を聞いて、龍華は自分のステータスを隠そうとした。

「龍華、なんでステータスを隠すんだ?」

「い…いえ、特に意味はありませんよ…」

悠真が無理やり覗き込むと、龍華のレベルは「10」と表示されていた。

「見ましたね……?」

「レベル10……だと……?」

「この世界でのレベルは『戦闘力』を基本にしているから、単純に現時点では龍華の方があなたより強いということね」

アストライアは、いたずらが成功した子供のような笑顔を浮かべた。

「社長……すみません」

「はははは、気にしてなんかいないぞ! 仕方ないじゃないか! ずっと文系だったんだから!」

悠真は自分が現時点で”守られる立場”ということを自覚しながらも、なんだかいたたまれない気持ちになり、少し声がうわずった。

「社長……」

「大丈夫よ。文系だって虚弱体質だって、魔法を覚えればすぐにレベルは覆せるわよ」

2人の微妙な雰囲気を感じ取ったのか、アストライアが助け船をだしてくれた。

「魔法? この世界に魔法があるのか?」

悠真が食い気味に尋ねると、アストライアは少し得意げに答えた。

「当然よ。あなただって『異世界転生』と聞いて、少しは期待していたでしょう? た・だ・し! 魔法を会得したいなら、よく考えてスキル選びをすること。

わかったなら自分のステータスを確認して、新しく取得するスキルを選びなさい。

ああそうそう、現時点で取得しているスキルは、そのステータス画面の2ページ目に記されているわ」

「2ページ目?」

悠真と龍華は目を見合わせた。

「そうよ。そのステータス画面はあなたたちに合わせてカスタマイズしておいたから、使い慣れているスマホのように操作できるはずよ」

悠真が虚空に浮かぶ自分のステータスボードを指でスワイプすると、画面が切り替わった。

「どう? スマホみたいでしょ?」

「なんだか『異世界転生』がいっきにうさん臭くなったな……」

「私も、もう少しファンタジーな物を期待していたのに……」

龍華も少しがっかりした様子だった。

「ほら、そんなことを言っている場合じゃないわ、自分のスキルを確認して、新しく取得するスキルを決めなさい」


悠真が自分のステータスボードの2ページ目を確認すると、そこには【ビジネスの天才】【交渉術】【戦略眼】と記されていた。龍華のボードを見ると、【万能秘書】【戦闘スキル】【冷静沈着】と表示されている。

龍華は自分のスキルを確認した後、口を開いた。

「あの、『万能秘書』とはどんなスキルなのですか?」

「ああ、そのスキルは私にもよくわからないの。元の世界のあなたをこちらの世界の基準に当てはめて、秀でた部分をスキルとして登録したときに自動生成されたのよ」

「それでは、あなたでもどういうスキルか分からないと?」

「そうよ。そもそも、こちらの世界には『秘書』という職業が存在しないもの」

「そんな適当な……」

「『秘書』に近い職業と言えば『執事』だけど、たぶん『執事』の上位版だと思うの。まあ、害のあるスキルではなさそうだし、どんなスキルか自分で解明してみなさい」

龍華は納得いかない顔をしながらも、渋々とうなずいた。

悠真が助け舟を出すように言った。

「俺にとって、龍華といえば秘書だし、お前以上の秘書は元の世界にもこの世界にもいないと信じている」

「社長……ありがとうございます! 必ずやこの【万能秘書】のスキルで、社長のお役に立ってみせます!」

天界とやらに来てから、龍華はいつもより元気が無いように見えていたが、その一言で初めて笑顔を見せたきがする。

「お熱いところを悪いのだけど、そろそろスキルを決定して、さっさと旅立ってくれないかしら? イチャイチャは異世界でってテンプレとやらで決まってるんでしょ?」

「イチャイチャなどしていません! ねえ、社長?」

アストライアは龍華の弁明など聞き流し話を進める

「今あるスキル以外に与えられるのは2つだけよ。ステータスボードの横に新たなウィンドウを開いて、取得可能なスキルを表示するから、そこから選びなさい。ちなみに、スキルを長押しすると概要が見られるから、参考にするといいわ。」

それを聞いて龍華は自分のステータスボード上の【万能秘書】を長押しするが、

「そのスキルは長押ししても概要は表示されないわ。そもそも、私自身がよく理解していないんだから……」

と、少しがっかりしながらも、スキル選択を始めた。

龍華はしばらくステータス画面とにらめっこし、独り言をつぶやいたりしている。

集中しているようだ。

悠真も数百あるスキルの中から気になるものを長押しで詳細を確認しながら、あれこれと悩んでいる。

その間、アストライアはどこからか玉座のような椅子を取り出し、足を組んでゆったりと座っている。時折組んだ足をブラブラとさせ、まるでお預けにあった子供のような様子で時々アドバイスをしてくれる。

「言い忘れたけど、スキルはレベルアップ時に低確率で追加取得できることもあるわ。」

それを聞いて龍華が問い返す。

「それには何か条件のようなものでも?」と聞き返す。

「あるといえばあるわ。たとえば、よく訓練された動きや技術はスキルになりやすい傾向があるみたいね。」

「では、ここで『魔法』のスキルを取らなくても、後から取得できる可能性は?」

「それは無いわ。『魔法』を覚えるには、そもそも素養が必要だから。もし欲しいのなら、今ここで取っておくことよ。」

「なるほど……」

龍華はそのやり取りで何かを決めたようだ。

それからしばらく、約1時間ほど経っただろうか、時計も太陽の移動も感じられない時が流れているのかすら怪しいこの空間ではわからないが。

悠真と龍華はほぼ同時にステータス画面から顔を上げた。

それを見たアストライアは、暇そうな表情から一転、明るい顔に変わる。

「決まったのね?」

問いに、二人は同時にうなずく。

「参考までに、どんなスキルを選んだか教えてちょうだい?」

悠真は自分のスキル欄を見つめながら、

「もちろん『魔法』は取得した。あとは面白そうだし役に立ちそうだから『コピー(模倣)』を選んでみたよ。」

「コピー?」

「コピーですか?」

アストライアと龍華は同時に驚きの声を上げる。

「ああ、コピーだ。面白そうだろ?」

アストライアは怪訝な顔で何かを考える。

「どうした、アストライア? 納得がいかない顔をしているが…」

「いや……私は『コピー』というスキルを設定した記憶がないのよ……」

「なんだって? しかし取得可能スキル欄にあったぞ。」

「スキル名を長押ししてみた?」

「ああ、もちろん。概要には『対象の動きやスキルを模倣する』とだけ書いてあった。」

「申し訳ないのだけど、やはりそのようなスキルを設定した記憶はないわ。」

「だが、取得できてしまったし、問題はない。つまり、俺がこのスキルを使いこなせばいいだけだ。」

「まあ、あなたがそれで良いのなら、私は何も言わないわ……しかし、『コピー』とは一体どんなスキルなのかしら。龍華の『万能秘書』といい、本当に不思議な転生者ね。」

アストライアは納得のいかない表情を浮かべるが、悠真は全く後悔の色もなく清々しい顔をしている。

龍華は悠真のその顔を見て何かを悟ったように、

「なるほど、社長らしいご判断です。」

「ありがとう。俺はこのスキルでこの世界を救ってみせるぞ! ところで、龍華は何を選んだ?」

「私は『操糸術』と『ストレージ』を取得しました。」

「『ストレージ』は異世界テンプレだから想像はつくが、『操糸術』とは?」

「文字通り”糸”を操る術だそうです」

「糸?糸ってあの針と糸の”糸”か?」

悠真の頭の上に?がいくつも浮かんでいるのが想像に難くない

暇そうにしていたアストライアが口を開く。

「『操糸術』は、この世界でも取得している人が最も少ないスキルよ。その名の通り、”糸”を操るのだけど、”糸”のような形状であれば、金属製だろうと普通の糸や鎖だろうと、もちろんクモの糸や刺繍糸、毛糸など、あらゆるものを操れるの。」

悠真は何かを思い出したような驚いた顔で、

「龍華……もしかして、某吸血鬼漫画を読んだことがあるのか?」

「なんです? 吸血鬼の漫画ですか?」

「だって、お前……本当に読んだことがないのか? それで『操糸術』を選んだというのか?」

「はい。あいにく、吸血鬼が登場する漫画は読んだことがありません。」

アストライアは口元を手で押さえ、笑いをこらえている。

どうやらアストライアは読んだことがあるらしい。

というより、俺の記憶から読んで知っているのだろう。

悠真はまだ信じられない様子で、

「そ……そうか、もしアレを知らないのなら、なおさら『操糸術』を取った理由がわからないな。」

「理由ですか・・・これから行く異世界の文明や文化、礼儀や服装は予想がつきません。武装に関しても同じですが、”糸”であれば、どこにでも持ち歩けるという利点があるのですから。」

「なるほど、暗器として使うということか。」

「はい。私の第一使命は社長をお守りすることです。たとえそれがどんな場所や環境でもです。」

「なるほど、龍華らしい冷静な分析からそのスキルを選んだのなら間違いはなさそうだな。」

そのやり取りを見ていたアストライアは、満足げに笑顔を浮かべる。

「『コピー』に『操糸術』……。あなたたち、本当に面白い人たちね。どうやら当分、退屈することはなさそうだわ!」

そう言い、彼女は椅子から立ち上がると、数歩前に進んで虚空に両手を広げ、何やら詠唱を始めた。

アストライアの詠唱が終わると、虚空の向こうに、人が一人通れるほどの空間がぼんやりと広がった。

「まずは、この世界に慣れてもらうため、王国から少し離れた草原に転移させるわ。王国へは、森や小さな街を経由して辿り着くはずだから、その間にこの世界の文化や文明、生活に慣れるのよ。」

「そういえば、聞いてなかったが、この世界にはモンスターはいるのか?」

「あなた、テンプレが好きなんでしょ? 安心して。モンスターもいれば魔王もいるわよ。」

それを聞いた龍華の顔が一瞬硬直する。

「モンスターに魔王ですか? まさか、私たちがその魔王を討伐しなければならないのですか?」

「魔王の討伐は必須ではないわ。ただし、あなたたちの行動次第では、彼も動き出すかもしれない。そうなった場合、戦闘は避けられなくなるでしょう。」

「そうならないように行動すればいいさ。だが、もし魔王が俺たちの邪魔をするなら、こちらから仕掛けても構わないんだろ?」

「社長……また、余計な敵を増やすようなことを……」

「まあ、魔王の行動原理は単純よ。人間の世界が混乱すれば、世界の均衡を保つために人間を消し去ろうとするだけ。だから、あなたたちが彼が動き出す前にこの世界に平和をもたらせば、彼と敵対することはないはずよ。」

「面白いシステムだな。いずれにせよ、俺たちの行動次第で運命が変えられるとわかっただけでも、やる気が出たよ。」

「社長は……自信家すぎますよ……」

「さあ、いつまでもここで情報収集をしてないで、そろそろ行きなさい。実際にその目で見ないと理解できない事もたくさんあるわ」

「ああ、俺も異世界に興味が湧いてきた!」

「私はまだ不安です。もう少し情報を集めたいのですが……」

「しかし、アストライアはこれ以上教えてくれなさそうだし、ここにいても情報は限られているぞ?」

「百聞は一見に如かず……ですね。社長、行きましょう!」

「さあ、旅立つ準備が整った。さあ、ゲートから行きなさい。あなたたちが救うべき世界へ!」

「よし、行くか! 龍華!」

「はい、社長! どこまでもお供します!」

悠真は微笑みながら龍華を見つめ、二人は同時にゲートへと足を踏み入れた。

アストライアは複雑な表情を浮かべながらも、

「あなたたちの活躍に期待しているわよ」

と、最後の声を響かせると、二人は光に包まれ、そして消えていった。

ゲートは役目を終えると、そのまま消滅し、あたりは少し暗くなった。天界に残されたアストライアは独り言のように呟く。

「今度こそ、幸せになってもらいたいものだわ……」

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