表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドクタースイサイド  作者: 多谷昇太
美しき天然
25/26

荒木田看護婦とスカイプ

弁士「あー、どうぞどうぞ、お構いなく。いや、お構えなく。遠慮なさらないで、そのままズーっと手前までお進みなさってください。噛みつきゃあしませんから。どうぞ」

林「え?いや、ちょっと俺は……」

弁士「いや、ちょっとじゃないんです。なんたってお客さんはあなた一人しかいないんだから。ここであなたに行かれちゃっちゃあ、わたしゃおまんまの喰いあげだ。ねえ、荒木田さん」

林(M)『え?荒木田さん?……活動弁士の視線の先にはなんと、スクリーンいっぱいに映った荒木田看護婦の姿があった。しかもこれは……荒木田看護部の眼は……しっかりとこちらを、俺を捉えている。こ、これは、ビデオ通話だ。スカイプだ……』

荒木田「林さん、荒木田です」

林「あ、荒木田さん……」

荒木田「林さん、オタオタしないで。しっかりして。これも錐最戸先生の診療の一環ですから。さあ、腰掛けて!」

林「あ、はい……」


林、ふらふらと前に進み観客席の中央くらいの席に腰掛ける。その靴音や席のきしむ音等。


荒木田「そうそう(軽笑)。林さん、先生が診断されたあなたの病名をお伝えしますね。あなたは解離性同一性障害、多重人格症の一歩手前の段階だそうです。精神分裂の一歩手前ですね。林さん、これはとっても危険ですからね。人生そのものを滅茶苦茶にしかねません。真剣になってこれから直しましょうね。では、文治……もどき師匠、よろしくお願いします」


弁士、ズッこける。


弁士「も、もどきぃ……?(咳払いしたあと荒木田に返礼して)いや、かしこまりました。おまかせください」

林『そんな……お、おまかせくださいって……よろしくお願いしますって……二人で勝手なことを』

荒木田「(林に向き直って)では林さん、私はここまでです。じゃあ、頑張ってね。チャオ、ロミオ(林に手を振る)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ