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ドクタースイサイド  作者: 多谷昇太
美しき天然
23/26

トーキー映画の呼び込み

林(M)『こここはいったいどこだろう?荒木田看護婦はどこに消えた?第一……ここは地上だ。夜の、どこかの歓楽街だ。雲の上じゃない。まったく、いったいぜんたいこれはどうなっているのだろう……ん?あれはなんだ?芝居小屋か?芝居小屋の口上か』


M(興行用のノスタルジックな音楽)※「美しき天然」のことです。下を貼って聞いてください。

https://youtu.be/idNnHctJAlU?si=4fiOTSV1gOGpFfx-


木戸番の男「さあ、いらはい、いらはい。お代は見てのお帰りだよ!世にもめずらしい霊界映画だ。近所そこらにある安もんの映画や芝居とは分けが違う。なにしろ当演芸場の弁士はあの名人の桂文治師匠!……にそっくりの弁士だ。(文治を真似て)〝あー、どうぞお構いなく〟のあの文治師匠。ねーえ。あ、ちょっと、ちょっと、あんた。通りかかったそこの旦那さん!素通りしちゃっちゃあダメだよ。ねえ、あなた」

林「(苦笑しながら)えー?俺かい?」

木戸番の男「そう、あなた。浅草浅草寺の浮気まいり、中の素見通すけんつうじゃあるまいし、はたまた金盥かなだらいで泣いている御仁にゃあ見、見えないし?この場は勧進帳の〝とくとく、いざない、通~らあれ~よ〟ってえ分けにゃあ行きませんよ。どうぞ入ってください、中に」

林「そう云われてもさ、とても今の俺には芝居見物する気にゃあなれないんでね。悪いけど遠慮させてもらうよ」

木戸番の男「へへへ、そうでございますかと云って行かせちゃっちゃあ木戸番の役は勤まらないんだ。ねえ。いや、ようございますよ、そのままお行きになられても。この先のファッションヘルスに入ろうがピンクサロンに入ろうが、はたまた昨今はやりの黙食に参ろうが旦さんの勝手です。はい。ですが、ですよ。ドクター・スイサイドの診察を受けられた方であるならば、当演芸場に入るのが定番なんです」

林「なに?ドクター・スイサイド?!」

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