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実在の力☆彡

 レイヤー女性は名(コードネーム」)を「火」と名乗った。

 竜は女性と相談事を持ちかけられるのが苦手だ。

 いや、本当は人の相談事にいつものりたいと思っている。

 矛盾するその心を麒麟は見抜いていたようだ。

 火は、眼光強くかなり引き気味の竜の気持ちを貫く。

 「竜ちゃん、私の相談事に乗ってくれると、本当に嬉しいな」

 「あの、ですから……私」

 火は少し頷いて微笑んだ。

 「竜ちゃんは言いたい事が、言葉にできないのかな?」

 「ああ、いえ」

 「じゃあ、竜ちゃんは言いたい事が言えないのかな?」

 「そ、……そう言われると」

 「違う? そうでもない?」

 「そうなのかも」

 「そうだよね……それなら、私にだったら何でも言ってくれて構わないよ」

 火は、ニッコリ。

 「あぁ、あの。私、姉妹かぞく関係とか、女友達関係とかで、いつも誤解されるような事ばかり言ってるから嫌われるんだよって言われた事があって。男性からの相談事であれば普通に対応――それでも、怒られる事の方が多いけど。女性の相談には、あの……ごめんなさい。怖くて」

 「うん、それも知ってるよ。だからこそ。実験台に私を使ってよ。私、竜ちゃんに何を言われたって動じない自信はあるよ」

 火はコードネームからして、情熱的でそれでいて麒麟が認めた女性だけあって落ち着いた雰囲気が凄く素敵だ。

 「ウププ、なんだかその言い方、うちの虎時さんにそっくりです」

 思わず、竜は噴き出した。「俺にだったら、何言ったって良いから。竜ちゃんに何を言われたって俺、別に気にならないのであります☆」と、言われた事を思い出した。火が言っている意味と、虎時が竜を観察して言った呟きの意味合いは違うかもしれないが。

 「――っていう、前提で私の相談に乗ってくれるかな? 竜ちゃん」

 「前提って……。もう、火さん。はい……本当に後悔しないで下さいね」

 「うん、全く後悔なんてするつもりないから」

 竜は、額から汗が一筋ながれた。

 「ねえ、竜ちゃん。いちばん後悔する事ってなんだと思う?」

 火は突如として、低い声で呟く。

 「いちばん後悔する事、ですか?」

 「そう、人生で一番後悔すること」

 竜は紅茶を少し飲み考えた。「うーーん。火さんは女性だしさ。女性の後悔する事って? ……ン、なんだろう? 火さんは見ため二十代前半から後半。このくらい若い女性が後悔する事ってなんだろう? ……行きたかったフェスに行けなかったとか? 買いたかった服が売り切れていたとか? でも、これって人生で後悔する事ではないどころか、目の前にいるじょせいは美しいから何でも着れば似合うだろうし。この感じだと、友人関係も良好に築けている様な気がする……となると、本当は就きたかった仕事に就かなかったとか? 大好きだった彼氏とつい最近別れたけど、別れたく無かったとか?」考えれば考える程ドツボにはまってしまいそう。

 「ウフフ、竜ちゃんてば。私はまだ何も言っていないのに妄想していたでしょ?」 

 そう言われて、ハッと我に返った竜。

 「竜ちゃんは、他人の相談に乗ろうとする瞬間に複数のルートを無意識に妄想しているのね」

 「えぇ?? ……アハハ! 火さんこそ、そんなところが、その言い方が虎時さんとそっくりで面白い!」

 火は困ってしまった。苦笑いをして咳払いした。

 竜は恥ずかしいのろけ話をめいいっぱいしてしまったと気が付きうつむいた。

 「竜ちゃん……私、最近キッパリ失恋したの」

 「し、失恋ですか??」

 「ええ、そうなの。失恋も失恋! 大恋愛だったんだから!!」

 「だい、恋愛ですか?」

 「そうよ。私の人生を掛けてあの方を愛していたと……思う」

 竜は手に汗握る、ドラマのワンシーンに出くわした気分で少し身震いした。

 「ふへぇ。私、そんな大恋愛した事がなくて」

 「ハハハッ。いいのよ。そんな竜ちゃんからのお話が私は聞きたいのだから」

 「えぇ……困ります。そう言われると」

 「竜ちゃんは私の相談に乗るしか、ないよね?」

 「あ、はい」

 「それじゃあ!」

 火は、瞳をうるませ竜の手を引き寄せ握った。

 



今日も読んでくれてありがとう☆彡

前作、ー婚活四方山紀行ーも読んでみてね☆彡


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