相談事は☆の数ほどあるのですが……☆彡
虎時は、麒麟に紫色の風呂敷に包まれた何かを手渡され途方に暮れる。
玄武も虎時に十束の剣を渡し、走り出した。
虎時も走り出さないと仕方がない。そんな気がするが。
「さて、どうしたものか」
虎時は、新妻竜も探さなければならないのだ。
竜は、レイヤー女性に再びその場に座るよう引き留められた。
「ねぇ、竜ちゃん。私、悩み事があるのだけれど。少しだけ、私の話を聞いてくれると嬉しいな」
レイヤー女性はそう言うと、クッキーをひとくち口に含んだ。
「え、えぇ?」
竜は、ビックリした「私は普段から人の相談に乗りたいとは思っているけれども――スナック桜草でもいいきになって、相談を受けていつもお客さんに怒鳴られたりしたから。私が人の相談に乗るわけにはいかないんだよね」竜は、レイヤー女性の視線から目をそらした。
目を合わせたら、相談の深みにはまってしまいそうで嫌なのだ。
「ウフフ、竜ちゃんって、麒麟さんが言っていた通り。分かりやすいひとなんだね」
「えっ、麒麟さんが私の何が分かりやすいって、貴女に言っていたのですか?」
レイヤー女性は、口元を袖で覆って言った。
「ウフフ、『竜ちゃんは、本当にやりたい事を嫌がる癖がある……魂の命に背く。魂の命こそ背徳とし、逃げる』って、言われていたわ」
「はぁ? 私の魂の命、それに背くですって?」
「ええ、背徳だと思っているって。――私こそ、竜ちゃんのそんな気持ちに一度でもなってみたいと思うのよ」
レイヤー女性はクスッと微笑んだ。
「一度でも、私の背徳感……、気持ちになってみたいって、どっ、どういうことですか?」
「私なら、無心でやれるわ。そんなこと」
二人の間の空気がキリのように鋭く痛い。
「あの……」
「ああ、そうそう。言ってなかったわね。竜ちゃん、私の名前は……『火』。麒麟さんからしたら、コードネームらしいです」
「ひ?」
「そう、炎の様に燃える情熱の天使ってところかしら」
「炎の天使……ちゃん、さん?」
「ウフフ、火ちゃんでいいよ――、竜ちゃんは、竜ちゃんだし」
「ああ、あの、竜はれっきとした、私の名前です!」
レイヤー女性は笑った。
「ええ!! それ、本当?? 私人の四神のうちの一人なら、コードネームで呼び合っているのだから、本名は伏せているのだと思ってたよ」
「すみません。一人だけ、本名で」
「う――ん。あぁ……」
レイヤー女性は目を宙に泳がせた。
「――ごめんなさい」
「良いです別に、気にしていませんから」
「そう――、じゃあ」
「ダメです、私は良いアドバイスとか、本当っ――に無理ですから……私が相談されて、アドバイスなんてすると、みんな途端に怒ってしまって。自分でもどうして怒られているのか分からないぐらいドジなんだ」
「フ――ン。竜ちゃんって、ドジなんだ」
レイヤー女性は身を乗り出して竜の顔をまじまじと見つめた。
「竜ちゃん……実は、私――」
いつも読んでくれてありがとう☆彡
深谷量子でございます。
前編の―婚活四方山紀行ーも是非とも読んでくれたら、嬉しいっす☆
しおりも、はさめてちょ。