自分☆彡
「私のどんな事でも許してくれる虎時さん」
「ええ、そうなのでありますか?」
「うん」
竜は思っていた事があった。
「虎時さんはどうしてそんなに素直なの?」
「俺が素直?」
「そして、実直なのね」
虎時は少し考えるように竜を見つめ言った。
「俺が素直であり、実直だと竜ちゃんが思ってくれるのは、『俺』だからですね」
「いや、――よく分からないよ」
「いえ、それは、簡単なことですよ」
「虎時さん。それのなにが、簡単なことなの?」
「それは、俺は誰に何を言われたとしても俺は俺の好きなように生きているからだよ。俺は、どんなに竜ちゃんが否定しようとも俺は竜ちゃんの事が好きなように。俺は常日頃そう思っているよ。誰に何と言われようとも。俺は好きなように生きているだけ。俺の好きなように生きるとは簡単な事なのであります」
「私の好きなように生きる……ね」
「俺は俺だから、竜ちゃんは竜ちゃんだろう。誰に何と言われようとも、これが自分なのだとのたまえる自分。もし、誰かに自分を否定されたとしたら、言い返せるように。自分を持つと良いとおもいます」
「私は……自分を……」
竜は言葉につまった。「目の前にいる虎時さんが遊びに行こうと誘ってくれているのだから、行った方が良いよね。でも、何だか、疲れているし、休みたい」竜は、虎時の疲れ知らずの行動力に圧倒される。
虎時だけではない。麒麟達も、計画の実行力が半端なく。「気の向くまま、風の吹くままに生きている私とは正反対なのだ」「一日中、寝ていたい」とも思うし。「虎時さんより、二十も若いのに寝ていたいとか甘えでしかない」のだろう。
火に借りた着物も返さなければならない。
「虎時さんとのお出かけも良いけれども……私、どうしよう」
何から選択すれば良いのか分からない。
何かを選択したとしたら、何かを失う。
それが、目の前に不甲斐ない自分と真っ向から向き合ってくれる大人な虎時を失いう恐れもある。
そう竜は、自分の弱さを選択した多くの場合で人間関係に暗雲が立ち込めてしまっていた。
だからこそ、自分の力量以上に頑張ってしまう。
「竜ちゃん」
食事を取る事も厭わず、いつもの優しい瞳で竜を見つめる虎時。「こんなにも、私に優しくしてくれる虎時の期待を裏切る事は出来ない」「私だけを見つめてくれる、愛しい虎時さん」「どうしよう」竜はなかなか、素直に返事が出来ず。
ふと、竜はお尻に硬くて冷たいモノがある事を思い出した。
思い出した瞬間、触覚はリアルにそのモノの硬さと重厚な冷たさを感じさせるのだ。




