イーグルは狙った獲物は確実に捕える⭐︎
飛び込み自殺について自由意識だと言う虎時。
竜は言葉を失いそうだ。
「少しは減った方が良いのですよ」
ガタッと再びアナウンスと共に動き出した車体の音にかき消されそうになったが、竜はハッキリ虎時の声を聞いた。
虎時は悪びれる素振りも見せない。「真顔でかすかに笑ってるの? 虎時さんは実は悪い人なの?」竜はキッと虎時を睨んだ。
不謹慎この上ない。
「虎時さん、本気でそう思うの?」
「ああ、本気も本気。最近人工※火定(じんこうかじょう)だって言われていますし」
「それって、世界的に見るとでしょ!」
「そもそも、飛び込み自殺をそれを選んだのは本人……だろう」
「その人の自由だからって事?」
「世界の石」
「は? また、ぶっ飛んだ事を言うのね、虎時さんてば」
竜は虎時の右ほっぺたを掴んで引っ張ると、虎時はニヤニヤして振り払った。
「……紙のご石のあるままに……」
虎時は神妙な面持ちで手を合わせる。
「虎時さんの言う、神って…」
「紙だよ」
「うーーん?」
人身事故が二人の乗った電車ではどうやら無かったらしいが、竜の目の前をいつも通りのスピードで流れていく車窓の景色。「電車に飛び込む人もいれば、この住宅ひとつひとつに、人間が住んでいて、色んな人生を過ごして死んでいくんだよね……」目の前で軽く腕組みをして笑えないブラックジョークをさらりと言う虎時も、私も今こうやって生きているけどと、竜は瞬時に想いに浸ってしまう。
「苦しい……」
竜の胸がキュッと閉まる。
「いったん、電車降りますか?」
「ううん、大丈夫。ちょっと、考えごとしててさ」
虎時は頭をかいて、さも、すまなそうに微笑んだ。
ぐう。
竜のお腹が鳴った。
「アキバに着いたら、ケーキでも買いましょう。それとも、クレープを食べませんか?」
虎時は、親切にそう言ってくれた。
「クレープじゃなくて、もっと、お腹に溜まるものが食べたいな!」
「豚太郎ラーメンでも食べますか? 女性の竜ちゃんには少し量が多いかもしれませんが」
「それって、美味しいの?」
「はい、アキバのラーメンは他にも色々美味しいお店はありますが……俺は、どっちかと言うとゴーゴー・イーグル・カレーが好きですね! よく食べに行きます」
「カレーもいいね♪」
一気に竜の頭の中では美味しいカレーを食べている情景で埋め尽くされた。
虎時は、朱雀にイベント会場へ行くとメールを入れた。
アキバのベルサール秋葉原イベント会場で虎時のメールを受けた、「ガラスの白竜娘とその婿」婿のコスプレをした玄武が苦笑いして十束の剣を振り下ろした。
今日も読んでくれてありがとうございます♪
深谷量子でございます。
前作ー婚活四方山紀行ーも読んでみて下さい⭐︎
栞も大歓迎!
書く気力がわきます。
※火定とは、仏道の修行者が、火の中に自らの身を投げて死ぬこと。火中で入定すること。