子孫繁栄☆商売繁盛
「竜ちゃん、俺、ちょっとコンビニへ行って来る」
虎時は振り下ろした、十束の剣をセンターテーブルのソファーにずしりと置くとそのまま家を出ようと玄関に行った。
「虎時さん、今から行くの?」
そうなのだ、もう時刻は深夜九時を過ぎていた。
「大丈夫です、直ぐ近くのコンビニに行くだけですから、俺の事が心配なのですか?」
「だって、もう夜遅いし――ラーメンのびちゃうよ」
「あっ、そうですね。それでは、食べてから竜ちゃんも一緒に行きますか?」
「うん……。あっ、でも。その前にあ――れ――ってやってみたい!! ねぇ、やってよ! 虎時さん! さあ、こっち、こっち!!」
「いえ、でも……俺、そんな……」
竜は、強引に虎時を和室に連れ込んだ。
パタン!
「俺はそんな乱暴な事を竜ちゃんには出来ません!」
真剣に竜に呼びかけた。
それでも、竜はお構いなしだ。
「えッ――大丈夫だってば虎時さんっ! 私の決意は固まっています」
暗がりの中でもハッキリ竜がほくそ笑んでいるのが見て取れる。
「いや、竜ちゃんのどこかが固まったのかは存じませんが、俺は怖いのであります……」
しおらしく、なよなよと怖がり後ずさる虎時。
「嘘でしょう? 虎時さん! さあ、こちらにおいでになって!! きっと、楽しいよ! やろうよ! あ――れ――って!」
竜は、帯締めをサッとほどき、虎時の手をとりそっとわきの下の袋帯にあてがった。
「袋帯の上からでも、竜ちゃんの温もりを感じます」
「アハハ! そうだよね――。私もびっくりした! 私ってけっこう体温高いのかな?」
虎時は無言で頷いた。
「はい、その通りだと思います」
「それじゃあ、虎時さん! あ――れ――やろ!!」
虎時は、竜の腰元から胸元、首元、肩を見て、ふうっとため息をついた。
「帯回しですか……ですが、俺……クズ男です。竜ちゃんを犯すにはもう少し立派なクズ男になって出直して参りますゆえに、今しばしお待ちになって☆」
虎時は本心では、こうやって下劣に誘われるより、しっぽりアニメを見ながらお菓子を食べつつ、それとなく、しかしはっきりと囁かれたい。
「もう寝ましょう!!」
つい、うっかり言葉に出てしまった。
竜は、うんうん唸っている。
「エ――、寝るのぉ? だったら、もういいや、このままコンビニへ行って家帰ったら着替えてお風呂入って寝ようよ!」
「ええ、それならば」
竜がほどいた帯締めを結び直し、二人は家を出た。
今日も読んでくれてありがとう☆彡