その48 左町さんは仮想世界で……
「もう一つ、よろしいでしょうか……。揺り籠はこのランドルト王国では問題視すらされないほどの常識です。彼らを踏みにじることでしかランドルト王国の今の繁栄は保てません。少なくとも人々はそう思っています。……サマチ様ならどうなさいますか?」
難しい質問だな……権力にゃ弱いからなぁ……卑屈な笑顔で乗り切るのが社会人のたしなみだぜ。でも……
「まあ……例えば、ドクトゥス君が踏まれてたなら『その足退けろよ』くらいは言ってやるけどね。オレは……」
キョトンとした顔でこちらの顔を見るとブッっと噴き出した。
「『足を退けろ』ですか? ハハハ!」
「え? え? 仲間がそんな目に遭ってたら、そんくらいの文句言わん?」
「そう……そうですね。そう言ってやれたらよかったのでしょうね。なるほど……」
どうにも的外れな解答だったようだが、妙にスッキリとした顔で納得している。
とはいえだ。彼らにとって揺り籠の問題は軽視出来るようなものではないはずだ。
もし、モウスがドクトゥス君に相談していたとしたら……今頃はどうなっていたのだろう。手を差し伸べていたのだろうか、それとも……
考えてもしかたのない事だ。モウスはもういないのだから。ああ、そうだ。モウスのことで一つ思い出した。
「ああ。そうだった……。最後にモウスがドクトゥス君に……」
そこまで口にしてドクトゥス君の表情の変化に気付き、言葉を止める。
「? ……えっと……最後に、何を申されるのですか?」
ドクトゥス君の中からモウスが消えた。
「そうですね。もう遅いですし……明日は闘技会です。ゆっくり体をお休めになって下さい。それでは……」
「ああ。おやすみ」
ベンチに座ったままドクトゥス君を見送る。
モウスの最後の言葉。唇の動きからおよその想像はつく。
ま、謝罪くらい自分でしろってんだ。なんでオレが謝んなくちゃならんのだ。
一つ……この世界を救う、お金以外の目的が出来たな。
しかし……全てのプレイヤーを救うまで、一体あとどのくらいかかるのか……。
そもそもこの世界を普通のおっさんが救うことなど出来るのだろうか?
明日に備えて早く眠ってしまいたいが、さすがに今日は色々とありすぎた。
仮想世界の左町さんは今日も夢を見れそうにない
ここで一旦完結とさせていただきます。
また書きためたら……半年後くらいに再挑戦出来たらいいなーと思います。
このままじゃ、色々と投げっぱなし過ぎなんで……
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