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王城へと着いてすぐ、ウィーク達は城の兵士に連れられて謁見の間へと訪れていた。礼や作法などを教えてもらう間もなかったウィークは、緊張の面持ちで謁見の間を見渡す。
謁見の間にいたのは玉座に座る小太りの男と、その隣で跪く甲冑の男だった。
「ふむ、やっと来たか。して、お前が惰弱の紋章を持つとかいうウィークとやらか」
玉座に座った小太りの男がじろじろとウィークを見下ろして小さく笑う。ウィークでさえ、誰に教えてもらわずともその人物こそがこの国を統べる王だとわかった。
小太りで鈍そうながらも、その身に宿す命力は部屋の中の誰よりも強い。王族は精霊に認められた英雄の一族の血が受け継がれているとウィークは聞かされていたが、その話も納得できるほどに王には圧があった。
「流石は惰弱に認められただけはある。吹けば散りそうな塵芥ではないか。なぁ、オーダンよ」
「はっ、その通りかと。陛下」
王が横に控える甲冑の男に声をかけると、男は敬礼を交えて肯定を示す。
その男もまたウィークとは比べ物にならないほどの命力をその身に宿していた。王の言う通り、オーダンに息を吹きかけられただけでウィークは吹き飛ばされるだろう。そう理解できるほどに、オーダンと呼ばれたその男が戦いを生業とする者であることは一目瞭然だった。
「にしても、異形共が全てこのような塵芥となるわけか。くくっ、我々の勝利は約束されたようなものではないか!」
「陛下のおっしゃる通りです」
「殲滅さえ終われば、後は我々の天下だ。そうなれば我々はーー」
王が高らかに笑いながら話し、オーダンがそれを肯定する。二人は最初からウィークやナレーのことなど気にした様子もなく会話をしていた。