第六回 ー愛の逃避行ー&ーKen and Maryー
ー愛の逃避行ー
ふたり二階の部屋
首から肩にかけての
火傷のあとを見た
わたしをかばってできた
悲鳴のあと
気がつけば泣いていた
混乱して
ふるえていた
特別養子縁組
そして
戸籍を生みの親に戻すと言う
知らない生みの親
わたしは
なに?
「行こう」
ケンがわたしの手を引く
「どこへ?」
ケンは笑っていったわ
「ふたりだけの世界さ」
わたしたちは
漆黒の闇に
駆け出した
ーKen and Maryー
窓から非常はしごで
逃げ出す
すぐに鳴り出す
携帯
「はやっ」
お母さんから
「あれ先生だ」
立ち止まるケン
その先の駅に先生の姿
「めっちゃ早すぎ」
「俺に考えがある」
ケンが手を引く
港に続く二車線の一本道
その脇道の公園
「いた!テイキベン」
定期便のトラック
運転手は用足し中
そっと後ろの扉を開ける
息を殺す
走り出したトラック
「ごめんね」
顔をおおって泣くわたしを
温かな空気が包む
いつからかわたしを抜いた
背の高い
その広い胸に抱かれる
大きな手のひらは
わたしをつかんで離さない
安心する
「メリーは俺が守る」
血が繋がらない兄妹
「ずっと好きだった」
それを知っていたケン
秘めた想いをぶつけるケンを
わたしも抱きしめた
「死ぬほど好きっ!」