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落ちこぼれの魔獣狩り  作者: 織田遥季
魔龍動乱
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時間稼ぎ

「『転移(ザ・ワープ)』!」


 シンピが魔龍の目と鼻の先にワープする。

 その右の掌は真っ直ぐ魔龍へと向けられていた。


「『爆裂弾エクスプロージョン・ショット』」


 唱えた瞬間、シンピの掌から炎にも似た魔法の弾丸が放たれる。

 魔龍はすぐそこ。

 外すはずもなく、魔法の弾は魔龍の鼻先に着弾し爆発した。


「今だ! 行くぞレオン!」


 ビーディーが魔龍の視界から外れるように駆け出す。

 レオンは何も言わずそれに続いた。


「あたしらが狙うべきは不意打ちだ。ドラクルは一度シンピに任せて裏手に回る。そこからは挟み撃ちの形だ。あいつの攻撃を分散させる」


 駆ける足を止めずにビーディーがレオンに伝える。


「わかった」


「おし。んなら急ぐぞ!」


 二人がそうして姿を隠した頃、とっくに怯みから回復していた魔龍はシンピへの攻撃を開始していた。


「『転移(ザ・ワープ)』!」


 連続の転移でシンピは避け続けているが、魔龍の攻撃も段々とその速度が上がってきている。

 このままでは直撃するのも時間の問題だ。

 しかし、魔龍の気を引くためにもシンピが距離をとることは許されない。


――ならば


 シンピが転移を止める。

 凄まじい魔龍のブレスが迫ってきているにも関わらず、避ける様子もない。

 されどその瞳に、諦めの色は一切なかった。

 迫りくるブレスに向け、シンピがその手をかざした。


「『(アイギス)』」


 呟くと、その掌を中心に小型の防御魔法陣が展開される。

 すると魔龍のブレスは魔法陣を砕くことなく防がれてしまった。


「『爆裂弾エクスプロージョン・ショット』!」


 無傷のシンピは、攻撃を防ぐことによって生まれた隙を逃すことなく渾身の一撃を撃ち込む。

 弾は魔龍の足元に着弾し大きな砂埃を巻き上げる。

 魔龍へのダメージはあまりないかもしれないが、時間稼ぎにはうってつけの一手だ。


「くっ……!」


 砂煙の中、シンピが膝を着く。

 その呼吸は荒く、額には大粒の汗が浮かんでいた。


「やはり(アイギス)は消耗が激しいな……できればもう使いたくはないが……」


 砂埃が少しずつ薄くなり、シンピの眼に魔龍の姿が映る。

 閉じられていた双眸は見開かれ、視界の端に映ったシンピを凄まじい圧で睨みつける。


「……そうも言ってられないか」


 脚に力を入れ、シンピがゆっくりと立ち上がる。

 実のところ(アイギス)の後、シンピの残り少ない魔力はほぼすべて爆裂弾エクスプロージョン・ショットに注ぎ込まれていた。

 今のシンピは、とても戦える状態ではない。

 しかし――


「かかってこいドラクル……私達が殺してやる」


 彼女の目には、強い希望の光が宿っていた。

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