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落ちこぼれの魔獣狩り  作者: 織田遥季
魔龍動乱
82/115

決別

「どういうことだ……?」


 この地に必要なのは連邦ではなく魔獣。

 理解しがたいウルフの発言に、シンピは問答の継続を選んだ。


「言葉通りだよ。一種族が台頭するくらいなら、すべて魔獣によって滅ぼされる方がいいに決まってる……その方が平等じゃないか」


「理解できない。それの何が良い? 隣国の食い物になる未来と何が違う?」


「違うさ! 無駄な争いもなく、魔獣の闊歩する原初に回帰するんだ。人同士で争いあう未来よりも余程美しいッ……!」


 そう話すウルフの表情はどこか恍惚としていて。

 狂信的にすら思えるその様子には、なにか底知れぬ恐ろしさがあった。


「狂ってやがる……」


 ビーディーの呟きが風に乗ってさらわれる。

 シンピは、どこか諦めたように、残念そうに「そうか」と言った。


「もう、ウルフはいないんだな」


「……なにか言ったか?」


「いや、なんでもないさ。聞きたいことは聞けたし、これ以上お前に構っている暇はない……『転移(ザ・ワープ)』」


 そう言って、シンピはビーディーのところまで転移する。


「行こう、ビーディー」


「え? あ、ああ……」


 戸惑いつつも、ビーディーはシンピの手を握る。

 一緒になって転移するためだ。

 二人を見やるウルフの表情はどこか悲しげだった。


「そうか……共感してもらえなかったか」


「共感してもらえると思っていたことが驚きだな。なにがあったかは知らんが、お前はもう……あの時のウルフじゃない」


「まさか! 私はあの時のままさ。君は賢い人だと思っていたから残念だよ」


「残念なのはこっちだ……じゃあな。次会った時は、殺す」


「ははっ。君には無理だよ」


「無理でも殺す、それだけだ。『転移(ザ・ワープ)』」


 シンピとビーディーの姿がその場から消える。

 ウルフはひとつ、ため息をついて天を仰いだ。


「さようならだな……シンピ」


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