直接依頼
「「「ギルド長!?」」」
レオンとリンネ、そしてベルが驚愕の声を上げる。
目の前にいる青年が、老人ばかりのギルド上層部の頂点にいる人には見えなかったからだ。
「そう、ギルド長。君たちはもちろん、シンピやビーディーの上司とも言えるね」
「そういうことだ。ビーディー程ではないが私もかなり世話になっている。礼儀はわきまえろよ」
シンピがそう言ってもビーディーは大人しいままなので、本当に色々と世話になったのだろうな、とレオンは思った。
白髪の青年改め、シタンは、そんなシンピの物言いに少し窮屈さを感じて口を開く。
「僕としてはフランクに接してもらっても構わないんだけど……」
「そういうわけにはいきません」
シンピがぴしゃりと言い切ると、シタンは「仕方ないな」と言って軽く笑ってみせた。
「まあいい。今回はそんなことを話しに来たわけじゃない。先ほども言ったように、君たちに頼みたいことがあって来たんだ」
「頼みたいことって……俺たちにですか?」
レオンが問うと、シタンは頷く。
「昨日、東部の森林地帯にて、黒い龍が暴れているとの報告があった」
――東部の、黒い龍
その言葉に、レオンの脳裏にドラクルの姿が浮かぶ。
どうか杞憂であることを祈りつつ、レオンはそのままシタンの話に耳を傾けた。
「今のところ人的被害こそ出ていないが、このまま放っておけばいつ人里に飛来するかわからない……よって君たちには、この龍の討伐を依頼したい」
「それは……なんで、俺たちに?」
「君が適任だからだよ。君ならもしかしたら……いや、今はそんなことはいいんだ。それより、君たちに依頼をするにあたり少し困ったことがあってね」
そう言ってシタンは己の鞄を漁り始める。
「ギルド本部から直接の依頼というのは本来、二級以上の冒険者にしか頼めない。しかし君たちは現在、三級冒険者と四級冒険者だ。これは困ったと思ったんだが……そんな時、君たちがブレンダムの町を救ったという話を聞いてね。お、あったあった」
探し物を見つけたらしく、シタンは何かを取り出す。
「ブレンダムに行って聞き込みをしたんだ。あそこにはギルドがないから直接出向いて検証してね。その結果、君たちを二級冒険者に昇格させることに決めた」
シタンがネックレスを机の上に置く。
その首飾りには、輝く藍色の宝石がついていた。
「ま、僕が決めたんだけどね」
そう言ってシタンはにこやかに笑った。




