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落ちこぼれの魔獣狩り  作者: 織田遥季
王と忠誠
72/115

模擬戦〈その2〉

「『転移(ザ・ワープ)』……『爆裂弾エクスプロージョン・ショット』」


 転移と共にシンピの指先から爆裂弾が放たれる。

 レオンは飛び回るシンピを〈殺気〉で捕らえようとするが、避けなければならない『爆裂弾エクスプロージョン・ショット』と一瞬にして姿を消す『転移(ザ・ワープ)』の組み合わせにより、その姿を認識することすらままならなくなっていた。


「くっそ……! 早すぎるだろ!」


 転移魔法使いのシンピと近接攻撃と〈殺気〉以外の戦い方を持たないレオン。

 状況はあまりにも一方的で、勝負は見えている。

 しかし、レオンの脳は勝つための手段を模索し続けていた。


「『狂戦士化(バーサーク)』は……ダメだ。暴走の危険があるし、状況の根本的な解決にはならない。なら打開策になりうるのはやっぱり……」


 レオンが唐突に足を動かすことをやめ、己の周囲へとその意識を集中させる。

 その意外な行動にシンピは驚いたが、攻撃の手を止めはしなかった。


「……! ……『爆裂弾エクスプロージョン・ショット』」


「上手くいってくれよ……!」


 目を閉じ、レオンは目線の先に〈殺気〉を放つことを止める。


「レオン、危ない!」


 傍から見ていたリンネが声を上げる。

 シンピの放った『爆裂弾エクスプロージョン・ショット』は、立ち止まったレオンへと真っ直ぐに飛んでいく。

 しかし、それでもレオンは動かなかった。


「殺そうという気持ちを……作る!」


 瞬間、レオンの全身から鋭い〈殺気〉が放たれる。


――その手があったか


 転移を繰り返していたシンピの身体はもちろん、少し離れた場所で見ていたリンネとベルの身体も、その〈殺気〉を感じ硬直した。

 されど当然『爆裂弾エクスプロージョン・ショット』の軌道は変わらず、レオンに直撃した。


「レオン!」


 〈殺気〉から解放されたリンネがすぐさまレオンに駆け寄る。

 砂埃の中、レオンは倒れてこそいたもののはっきりと意識があり、心配そうなリンネにも軽く笑って答えてみせた。


「リンネ、大丈夫だよ」


 その声に、リンネは胸をなでおろす。


「よかった……まったく。心配させるんじゃないわよ」


「はは、ごめん」


 二人が会話を交わしていると、シンピがすぐ近くに転移してくる。


「師匠……完敗でした。俺、まだまだですね」


 レオンが苦笑交じりに言うと、シンピは少しだけ間を置いて答えた。


「……いや、そうでもない。その短剣と〈殺気〉には恐ろしいとすら思えるものを感じた……おそらく、斬撃が当たりさえしていれば私が負けていた。成長したな、レオン」


 予想だにしていなかった師匠からの言葉に、レオンは喜びを覚える。

 だからだろう。

 隣に立つリンネの表情に焦りの色が見えたが、レオンはそれに気がつくことはなかった。


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