誓う
「そもそも〈魔獣王〉とはその名の通り、王のスキルだ」
ドラクルはその穏やかな声色のままで、されど厳かに話し始める。
「そのため、王に必要なもの……それが〈魔獣王〉を最大限に活用するための鍵となる」
「王に必要なもの……」
「ん~……王冠?」
どこか的外れなララの発言に、ドラクルはニヤリと笑う。
「残念ながら違う。正解は忠誠だ」
「忠誠?」
「ああ。心からの忠誠を誓いついて来る者がおらねば王とは言えぬ……真の忠誠を手に入れたとき初めて、〈魔獣王〉は王としての真の力を発揮するだろう」
「……つまりどういうこと?」
なにも理解できていないララがドラクルに問うと、彼は苛立つこともなく答える。
「お前は王に忠誠を誓うべきだということだ」
「王って、レオンに?」
「ああ。今のお前は、王……レオンと契約しているだけの状態だ。それでは強くはなれん。力を引き出すためには忠誠を誓い、レオンを王にせねばならん」
「忠誠を……」
ララの視線がレオンへと移る。
なんとなく見定められているような気がして、レオンは俄かに緊張してしまった。
「……うん。レオンなら、いいかな」
「え?」
「いいよ。レオンに忠誠、誓ってあげる」
「いや、お前そんな簡単に……そもそも忠誠ってどういう意味か分かってるのか?」
「わかってるよそのくらい。それに忠誠誓わないと強くなれないんでしょ? なら迷う意味なんて……」
そこまで話したところで、突如二人の体が赤いオーラに包まれる。
しかしララに驚いたような素振りは見られなかった。
「ないんだよ」
ララが言い切ったか否かというところで赤いオーラはララに集まり、吸収されるかのように収束し、弾け消えていった。
「今のは……?」
唐突に起こった超現象に、レオンは驚愕を隠せなかった。
「……! ララっ!」
レオンは先程の光景を思い出し即座にララを見やるも、ララ自身にどこか変わった様子は見受けられなかった。
「だ、大丈夫か!?」
「大丈夫だよレオン。なんともないから」
笑って答えるララに、レオンは安心を覚える。
すると、黙って見守っていたドラクルが口を開いた。
「心配はない。忠誠を誓ったことにより〈魔獣王〉の力が与えられたのだ……しかし驚いたな。ああも簡単に忠誠を捧げてしまえるとは」
「〈魔獣王〉の力が……!?」
「じゃあ私、強くなったの?」
ドラクルがその温かな目で頷く。
「ああ。今は実感がないかもしれんが、いずれわかる……だが気をつけろよ。お前が忠誠の心を忘れれば〈魔獣王〉の力はその鎖を外れ、暴れ狂うだろう」
「うん。わかった」
ララはそう言って、軽く握った拳を見据える。
「そっか……私、強くなったんだ」




