表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちこぼれの魔獣狩り  作者: 織田遥季
ブレンダムにて
56/115

わしらにもわかる

 レオンは中空で身を翻し、ゴーレムの脚部に手を引っ掛ける。

 そして落下の勢いそのままに回転すると、腕の力を使いコアに向かって飛んだ。

 レオンが瞬時に自分の右手を確認する。

 すると執念だろうか、短剣は変わらず握りしめられていた。


「やるじゃん、俺」


 からかうように笑って、崩れ始めたゴーレムの塊から塊へ飛び移りコアを目指す。

 その間、レオンは既に限界を迎えている足を使うことは一切なかった。

 そうして紫の閃光の源に辿り着いたレオンは短剣を突き出す。


――転移先は、はるか上空


座標転移(ポイント・ワープ)!」


 刃の切っ先がコアに突き刺さった瞬間、レオンが魔法を唱える。

 すると短剣はたちまちのうちに崩れ去り、眼前のコアは消え去った。

 否、正しく表現するのなら消え去ったのではなく、転移したのだ。

 はるか上空に。

 崩れ去るゴーレムの身体と共に落下しつつ、レオンが天を見上げる。

 そこには、二つ目の太陽のように輝くコアがあった。


「爆ぜろ」


 コアが爆発するタイミングを知ってか知らずか、レオンが呟くと天空のコアは一層強烈な閃光を放ち、消え去った。


「はは……アハハハハ!!」


 その光を見て、レオンは笑った。

 まるで悪魔のように。




 そして地上では、ギギルが絶望に満ちた表情で硬直していた。


「う、そだ……噓だっ! 僕のゴーレムの『核崩壊(コア・ブレイク)』が、なんで! どうして!?」


「ギギル」


 そんなギギルに声をかけたのは、ビーディーだった。

 ギギルはゆっくりと振り返ると、憎らし気にビーディーを睨みつける。


「ビーディー……お前、帰ってたのか……! そうか。お前のせいか! お前があのコアを……」


 訳知り顔で話すギギルに対し、ビーディーは首を横に振る。


「私じゃない」


「なんだと……? じゃあ誰が……」


 ビーディーは懐から葉巻を取り出した。

 火をつけ、煙をくゆらせながらゆっくりとギギルに言い聞かせる。


「……たまたま来てた、よそ者の冒険者だよ。そいつがあのゴーレムをなんとかしてみせたんだ」


 その答えにギギルは頭を抱える。


「よそ者の冒険者……!? そ、そんななんでもないような奴にぼ、僕のゴーレムが……? う、噓だっ! 噓をつくな!」


「噓じゃねぇよ」


 ビーディーが静かに言い放つと、ギギルはがっくりとその肩を落とした。

 大きく煙を吐き、ビーディーはギギルに問いを投げかけた。


「なぁギギル。お前、自分の力を認めてもらいたかったのか?」


 すっかり落ち込んだ肩がピクリと動く。

 ビーディーが宙に揺蕩う煙と戯れながら答えを待っていると、ギギルは小さく答えた。


「お前らみたいな低俗な奴らには、どうせ僕の才能は理解できないよ……」


「それは……」


「それは違う!」


 ビーディーが答えるよりも先に、ドグマが大きな声で割り込んでくる。

 その老ドワーフの眼には後悔の色が浮かんでいた。

 ドグマは壊れゆく巨大ゴーレムを指差し、続ける。


「……お前の造ったあのゴーレム。その用途は褒められたもんじゃねぇ」


 その言葉に、ギギルは唇を噛む。


「はっ! やっぱりくそじじぃに僕の才能は……」


「じゃが!!」


 気迫の籠った大声によって、ギギルの発言は遮られる。


「一切の狂いなくあれを造りきった技術、そして根性! それらは称賛されて然るべき、大したもんだ……それは、わしらにもわかる」


 ドグマがそう言うと、周りの弟子達も、それに賛同するかのように頷いた。

 ギギルはなにか言い返そうとしたけれど、言葉に詰まって、やめた。

 段々、嬉しいような、悲しいような感情が奥底から湧き上がってきて、ギギルはただ、泣いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ