表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちこぼれの魔獣狩り  作者: 織田遥季
ブレンダムにて
53/115

ブレンダム防衛作戦〈その5〉

「おや、もう使ってしまったのか」


 戦闘の最中、突如として輝きだしたゴーレムに対し、“奴”ことウルフはそう零した。


「よそ見してんじゃねぇぞ!!!」


 その横顔にビーディーが殴り掛かるが、ウルフは華麗な身のこなしでそれを避ける。

 ここまでしばらく戦い続けてはいるものの、お互い決定的な一撃を喰らわせることは出来ていなかった。


「状況が変わったとでも言うべきか……ここにいたら巻き込まれてしまうからね。悪いが勝負はお預けだよ、ビーディー」


「あ!? てめぇ逃げんのか!」


 食って掛かるビーディーに、ウルフはあくまで涼しげな顔のまま答える。

 その態度が余計、ビーディーの癇に障った。


「逃げるさ。でないと私まで爆発に巻き込まれてしまう」


「爆発……?」


 ビーディーが問うと、待ってましたと言わんばかりにウルフの口角が吊り上がった。


「そう! 爆発だよ。このブレンダムを壊滅させる程のね……()()()()はギギルというドワーフに渡しているんだが、思ったよりも我慢が効かなかったようだね」


「ギギル……!? おい、お前っ……!」


「『愚者の翼(イカロス・ウィング)』」


 ウルフがビーディーの怒鳴りなどどこ吹く風と呪文を唱えると、その背中に大鳥の如き翼が生える。

 大きな翼を羽ばたかせ飛翔すると、ウルフは戦闘中のメルを片手に担いだ。


『眠れ』


 ウルフがそう言うと、暴れていたメルは糸が切れたようにおとなしくなった。


「……! 待てっ!」


 傷だらけのララが大地を蹴り、ウルフに飛びかかる。


「『(アイギス)』」


 しかしその特攻はあっけなくウルフの発動した防御魔法陣によって弾かれた。


「ララッ!」


 ララに駆け寄るビーディーを尻目に笑い、ウルフは飛び去っていく。

 追いかける術を持たないビーディーはただ唇を噛み、その背中を睨みつけることしかできなかった。


「レオン……」


 ララの呟きにハッとして、ビーディーがゴーレムの方を見やる。

 すると、強烈な紫の閃光の中に一つ。

 人影が微かに、しかしはっきりと見えた。


「頼んだぞ、レオン……!」




――なんだ、これ


 突然、レオンの視界が紫色の光に包まれる。

 反射的に閉じた目を薄く開くと、どうやらそれはゴーレムの核から放たれているようであった。

 先程まで一進一退の攻防を繰り広げていたゴーレムは項垂れるようにその動きを止めている。

 なにが起こっているのか、レオンにはわからない。

 ただ、何か良くないことが起きようとしていることは直感的に理解できた。


「今、俺にできることは……」


 レオンは右手に握っている短剣を見やる。

 この短剣にはシンピの魔力が込められている。

 これまで爆破魔法の力のみを使っていたが、短剣に込められた力はそれだけではない。

 高難易度かつシンピの得意魔法が、たった一度だけ使えるようになっている。


――やるしかない


 レオンは覚悟を決め、大きく深呼吸をする。

 ゴーレムの上を自由自在に移動するためには『狂戦士化(バーサーク)』が必須。

 しかし、レオンの身体は既に限界に近かった。

 『狂戦士化(バーサーク)』は意識を戦闘に集中させるための魔法であり、身体を強化する力はない。

 そのため、使用者自身の体力が尽きてしまえば動けなくなることもある。

 今のレオンはその限界をほとんど気合いだけでカバーしている状態だった。


「やるしかない……『狂戦士化(バーサーク)』!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ