魔女の家にて〈後編〉
次話辺りから本番って感じです。たぶん。
よければお付き合いください。ブクマとかいただけると幸いです。
作者の書くパワーになります。
「俺の親が魔獣王? あの、魔獣を従える力を持つっていう……」
レオンは驚き、食事の手を止める。
「ああ、知っていたか」
「知ってるもなにも、連邦形成の立役者になった獣人じゃないですか。連邦の人間なら誰でも知っています」
「まあそうだろうな……そしてその魔獣を従える力はおまえも持っている。昨日トロルを退けたのもその力だ」
「……そうですか」
静かにレオンが事実を受け入れると、シンピは一見無表情のまま話し続ける。
「驚かないんだな」
「まあ……驚いてないってわけじゃないんですけど……」
告げられた真実は、たしかにレオンにとって衝撃的なものであった。
しかし、どこか合点がいったのも事実。
それはきっとトロルを退けた時、なにか確信のようなものがあったからだ。
まさに自分が自分でなくなるような、そんな感覚だった。
「そうか。それで話の続きだが……“奴”はお前の力を利用、もしくは処分するためにテディーレの町を襲った。奴も同じ力を持っているからだ」
レオンが眉をひそめる。
「どうして“奴”が同じ力を?」
「“奴”がティガーの双子の兄だからだ。お前にとっては叔父にあたるな」
シンピの話に、レオンは今度こそ愕然とした。
――あの化け物と血がつながってるだと
「……噓だろ」
「残念ながら本当だよ。言うなれば“奴”は魔獣王の悪の部分だ。厄介なことに魔獣を従えて連邦、ひいては隣国の統一を目論んでいる」
シンピがスープをすする。
レオンはもうシンピに黙っていてほしいとすら思った。
彼女が口を開けば、絶望的な真実ばかり知ることになる。
「そこで魔獣を従えることのできるもう一人、レオン。お前の存在を“奴”は察知した。それが昨日の件の発端だな」
「ちょっ、師匠! なにもそんな言い方……!」
今まで黙って聞いていたエルフの少女が見かねて苦言を呈する。
しかしシンピは眉一つ動かすことはなかった。
「リンネ、私は真実を伝えたまでだ」
「シンピさんの言う通りです……俺は、大丈夫ですから」
力なくレオンが言うと、リンネと呼ばれた彼女は辛そうに口を閉じた。
エルフは共感性の高い種族だ。
レオンのせいでテディーレが滅んだともとれるシンピの言い方に、きっと思うところがあったのだろう。
「それで……シンピさん、これから俺はどうすればいいですか」
シンピは口に含んでいた鹿肉を飲み込むと、レオンの問いに答えた。
「そうだな。お前は強くならなくてはいけない」
その眼差しは真剣にレオンを見据える……食べかすは口についたままだったが。
「私に弟子入りしろ。レオン・ハルベルト」




