ブレンダム防衛作戦〈その1〉
レオンとリンネは、ビーディーの鍛冶場を出ると二手に分かれることにした。
リンネは町人の避難誘導と術者の捜索、レオンはゴーレムの足止めだ。
「それじゃあリンネ、頼んだ。ベルのことも見つけてあげてくれ」
「言われなくても分かってるわよ。あんたこそ、死ぬんじゃないわよ」
「ああ。まだ死ぬわけにはいかないからな」
二人は視線を交わし、軽く微笑みあうと別々の方向へと駆けて行った。
レオンはリンネと分かれた後、すぐに『狂戦士化』を使用した。
そうすることによって最短でゴーレムに辿り着き、そのまま戦闘することが可能だからだ。
体力面を考えれば最善策とは言えないが、助けが間に合わなかったことを後悔したくはない。
だから、レオンは多少のデメリットを背負ってでも『狂戦士化』を使って移動することに躊躇いはなかった。
屋根を駆け、宙を飛び、逃げ惑う人々を尻目にレオンがゴーレムの足元まで一直線に駆け抜ける。
その姿は遠い国の『忍者』のようであった。
レオンがゴーレムの足止めを担当するのには、もちろん理由がある。
それはレオンの持つ短剣だ。
ゴーレムの真下に辿り着いたレオンは一目散に飛び上がる。
狙うは胸部のコア、ただそれだけだ。
膝部分に着地すると、崖を上るようにゴーレムの体をよじ登り始める。
そこでゴーレム、もしくは術者は初めて敵であるレオンを認識した。
一方その頃、リンネは町人の避難誘導に奔走していた。
ゴーレムからも“奴”からも離れている場所に集会所があったのは運がよかった。
これなら町人達をどこに誘導すればいいのかも分かりやすい。
そして、リンネはそれと同時に周囲に視線を走らせる。
ベルと術者を探しているのだ。
ベルを見つけられれば手伝ってもらえるし、術者を見つけて無力化できればゴーレムを止めることができるのでそれが一番手っ取り早い。
すると、リンネの視線が止まる。
見つけたのだ。
「ベル!」
リンネが呼びかける。
すると、群衆の中で不安そうな表情を浮かべていたハーフドワーフの少女が振り向いた。




