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落ちこぼれの魔獣狩り  作者: 織田遥季
崩壊、そして
3/115

運命の日〈急〉


「この家から出ていけ……!」


 レオンがそう言うと、トロルはピタリと動きを止める。


「え……」


 そしてなにかに取りつかれたかのように踵を返すと、あっけなく家から出ていった。


「なんだったんだ……?」


「お前の能力だよ。レオン・ハルベルト」


 そう言って壊れた戸口から入ってきたのは、白銀の髪が地面につきそうな程に長い、一人の魔女だった。


「はじめまして、私の名前はシンピ。単刀直入に言う。この町は滅びた。私と一緒に来い」


「は……?」


 唐突に告げられた事実に、レオンは動揺を隠せなかった。


「噓だ! あんなトロル一体にテディーレが滅ぼされるわけ……!」


 レオンは必死に否定するが、シンピと名乗る魔女は淡々と告げる。


「一体じゃない。奴ら魔獣は徒党を組んでこの町を襲った」


「トロルが徒党を組むなんて聞いたことが……」


「それができる奴がいる……細かい話は後だ。行くぞ」


 そう言って、シンピは背を向ける。

 しかし、レオンはこの魔女を信じるべきか悩んでいた。

 それに気づいたシンピは歩みを止めた。


「そいつ、メル・ハルベルトの怪我だが」


 表情を変えないまま、シンピはメルを指差す。


「命に関わるものではない。だが、このままここにいれば、また魔獣共が来る……その時、お前は一人でこいつを守り切れるのか?」


「それはっ……!」


 返す言葉がなかった。

 さっきはなぜかトロルが引いてくれたが、あんな奇跡は二度も起こらない。

 そのことは、他ならぬレオンが一番理解していた。


「……わかった。あんたに賭けるよ」


 レオンが決断すると、シンピの表情が少しだけ緩んだ。


「利口な決断だ。行くぞ」




 メルを抱えて立ち上がり、外に出たレオンは、自分の育った家を振り返る。


「ありがとう……」


「おーい、レオン!」


 その時、背後から聞きなれた声が聞こえてきた。


「ミスト神父っ!?」


 振りむくと、そこには見慣れたミスト神父の姿があった。


「よかった、生きてたんですね!」


 喜びのあまり、レオンは神父のもとへと一目散に駆け出した。


「戻れレオン・ハルベルトっ! そいつは偽物だ!」


「え?」


 シンピの声に足を止めるも、もう遅い。

 “奴”はレオンのすぐそばまで迫っていた。


「『蛇の目(メデューサ・アイ)』……レオン、いい子だ……!」


 奴の手が、レオンに向かって伸びてくる。

 危機を感じたレオンが必死に逃げようとしても、どうしてだか足が固まって動けない。


「くそっ……! 『引き寄せ転移(ダウニング・ワープ)!』」


 シンピが呪文を唱えると同時に、レオンの体がシンピの方へと引き寄せられていく。


「チッ! 『影の手(シャドウハンド)』!」


 奴から出た影のような腕がレオン目掛けて伸びてくる。

 しかし、その腕が掴んだのはレオンではなく、腕の中のメルだった。


「メル!」


 取り戻そうと必死に手を伸ばすが、あと少し、届かなかった。

 引き寄せられた先で、レオンはシンピの腕の中に収まる。


「諦めろレオン・ハルベルト! 悪いがお前を失うわけにはいかない……! 『帰還転移リ・ワープ』!」


「やめろっ……! メル! メルーーー!!!」


 転移の直前、レオンの目に映ったのは奴の腕に抱えられるメルの姿と、その背後で高く燃えあがる炎だった。


「殺してやる……魔獣を、一体残らず殺してやる!」

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