ひみつのけんきゅうじょ
家の掃除をしていたら投稿が少し遅めになりました。
この章は「落ちこぼれ狩人」の第二のテーマにかなり関わっているのかなと思います。
第二のテーマが何なのかは、よければ是非考えてみてくださいね。
「それじゃあ、お前はその研究所から逃げてきたのか」
戦闘が終了し、レオンはシンピの家に獣人らしき女性――ララというらしい――を連れてきていた。
彼女の話によると、研究所という所からここまで逃げてきたそうだ。
「この辺りに研究所なんかなかったと思うんだがな……」
「ひみつのけんきゅうじょって、ママがいってた」
やはり見た目に似合わない幼い声でララが言う。
すると、シンピの反応が少し変わった。
「もしかするとあの魔法か……? レオン、この子は魔獣に追われていたんだな?」
「はい。二体のオークに追われていました」
「ふむ」とシンピは少し考えた後にまたすぐ口を開いた。
「……“奴”と関係があると考えて間違いないだろうな。〈魔獣王〉以外に魔獣を使役する力はないし、私の目をかいくぐって研究所を造るなど“奴”しかできない」
「じゃあ、“奴”もそこに……」
「可能性はゼロじゃないが、おそらくそれはない。この短期間でテディーレからここまで移動する手段は持ってないはずだ」
「ねえ……ママをたすけてほしいの」
二人で話していると、ララが割り込んでくる。
「……そうだな。よしレオン、リンネを呼んできてくれ。少し早いが、最終試験だ」
その研究所は森を抜けた先の、深い霧に包まれた谷にあった。
「やはり『神隠しの濃霧』がかけられているな。道案内ありがとう、ララ」
「うん!」
元気よく返事をするララは一見、妙齢の綺麗な獣人のように見える。
しかしララは大人でも、ましてや獣人でもなかった。
「……正直信じられないわね」
リンネが呟く。
それもそのはずだ。
一番はじめにララと出会ったレオンでも未だに事情を吞み込めずにいた。
きっと、当たり前のように適応出来ているシンピが異常なのだろう。
「あんた、信じれる? あの人が四歳の女の子で、それも……」
リンネがララを見つめる。
その眼にははっきりと動揺の色が浮かんでいた。
「魔獣と人間との間に産まれた子なんて」
「……信じられない。だけど」
レオンは出会った時のことを思い出していた。
『止まれ』というレオンの声に従っていたララのことを。
「俺の〈魔獣王〉スキルに反応していた。だから本当なんだろうな……それより、今は『最終試験』に集中しよう」
そう言うものの、レオン自身集中できていなかった。
「全ての魔獣を殺す」そう決めた心が、目の前の少女の姿によって揺らいでいるのだ。
リンネも、そんなレオンの気持ちを察したからこそ、それ以上ララについてなにか言うことはやめておいた。
「まあ……それもそうね。ヘマして怪我するんじゃないわよ?」
「はは……善処するよ」
レオンが力なく笑う。
『最終試験』は、もう間近に迫っていた。




