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【★完結★妻シリーズ第二弾】バーサーカーの妻になりまして!  作者: うどん五段
第一章 バーサーカーと出会いまして!
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第1話 異世界転生審査課からスタートでした。

妻シリーズの第二弾となります!

毎日出来るだけ更新していきますので応援よろしくお願いします(`・ω・´)ゞ

本日は3話一気に更新です。

 白いマーメイドラインの美しいウエディングドレス。

 長いヴェールで顔を隠し、隣に歩む男性は――今世の【夫】となる人。


「どうしてこうなったのかしら」


 思わずつぶやいた言葉は隣で幸せそうな夫には届かない。

 けれど――不思議とあの時のような嫌な気はしなかった………。






 今泉サチヨ。

 それが、前世の私の名前だった。

 年齢は40歳、花屋勤務で既婚者。

 既婚者と言えば聞こえはいいけれど、別居婚だった。

 結婚生活は、ほんの数日。彼は直ぐに彼女のもとへと向かった。

 形だけの夫婦、そこに愛なんて存在しない。

 生活費だって入れてくれず、親の経営する花屋で自分の生活費を稼いだ。

 親は、私にあの人との結婚を勧めた張本人。だから表立って私にアレコレ言うことは無くなったし、愛人の許から帰ってこない日々の生活は私にとっては充実した日々だった。

 あの日までは――。



 その日、珍しく夫が帰宅し、二人で食事に行こうと誘われた。

「夫婦の義務」だの「これから話し合いだ」の喚いていたので、碌な事じゃないことは直ぐにわかった。

 ――はいはい、いくらでも離婚の判子押しますよ。

 ――いい加減私も疲れたし。

 そう彼に言うと、顔を真っ赤にしながら「家政婦が!」と私の頭を殴った。

 絶対離婚してやる。

 こんな奴と一緒にいると人生が腐ったものになってしまう。

 結婚なんて地獄のようなものよ。

 そんな事を思いながら車に乗り込み、お盆間近の帰省ラッシュが始まった頃、突然横から突っ込んできたトラックで、私はあっけなくこの世を去った。



 ――結婚は地獄。

 ――もう二度と結婚はごめんだわ。

 ――でも、子供がいなかったのは一番の幸いね。



 消えゆく意識の中で、来世は絶対この男とは会いたくないと切実に思った。







 そして、気が付くと私は市役所のような場所に立っていた。

 係員に案内されて向かった先は【異世界転生審査課】と呼ばれる場所。



「異世界転生……」



 沢山読み漁った小説の一つで、この世界ではない違う場所へと転生する話が好きだった。

 もしや、夫も近くに!?

 そう思って周りを見渡したけれど、夫らしき人は見当たらなかった。



「大変遅れて申し訳ありません。これより審査を行いたいと思いますので、扉の奥にお進みくださ~い!」



 元気よく現れた女の子に言われ、私は扉を開けて中に入った。

 そこには先ほどの女の子を含め、4人の審査員が座っていて、私はポツンと置かれたパイプ椅子に腰かける。



「今泉サチヨさんで間違いないですか?」

「はい」

「貴方のこれまでの生き方から、異世界転生と言う道を選べると判断された為、この場を設けました。ご希望は何かございますか?」



 そう聞いてきた若い男性に、私は暫く沈黙したのち、これらの事を語った。



「そうですね、一つ、生き甲斐だった花屋関係の仕事に就きたいと思います。二つ、戦争のない平和な国が良いです。三つ、夫とは絶対関わりたいくないです」

「ふむふむ……理由は聞かずとも書類に書いてありますが、まぁ何とも糞のような男性だったようで、心中お察しします。では、最も選ぶとしたら三つ目の願いですか?」

「はい」

「そのリスクとして、貴女の転生先の人生は、最初は少々ハードモードとなりますが宜しいでしょうか? もし仮に、夫と出くわした場合、こちらの別の課にて対応させていただきます」

「えっと……可能なんですか? 転生したら神様は間に入らないって本では読みましたけど」

「境遇等にもよります。貴方が三つの中から一つだけ強く望むものは、夫と会いたくない、関わりたくないと言う事ですよね? でしたら、これは契約事項としては強いものとなります。よって、貴女の身の安全は出来うる限り守らせていただきますよ」



 その言葉にホッと安堵の息が出た。

 もう二度とあのクズとは異世界転生しても会うことがないんだ。

 もし出会ってしまったとしても、何かしら対応してくれるって解ったから。



「とはいえ、強制力はそう強くありません。ですが……三回の忠告を無視した場合は、強制的に貴女の前から消えてもらうことにします」

「是非お願いします」

「分かりました。ではその通りに手続きをさせて頂きます。貴方にとって、望む形の来世になると良いですね」

「有難うございます」

「話は以上です。貴方の書類に目を通した限り、まじめに仕事をして一般的な常識も持ち合わせているようなので、直ぐにでも転生できますよ。此処にいては、何時その夫に見つかるかもしれませんから、早めの転生をお勧めします」

「では、早めの転生をお願いしたいです」



 そう言うと、新人っぽい女の子が私の許へやってくると「どうぞこちらへ」と私を大きな扉の前に案内してくれた。



「この扉を潜ったら、来世となります。どうぞ、良い旅を」

「ありがとう、お嬢さん」



 優しく微笑み彼女の頭を一撫ですると、私は後ろを振り返ることもなく光の中へと進んだ。





 ――次に目を覚ました時には、赤子になっていた。

 最初からハードモードだと言っていたけれど、どうハードモードなのかと思っていたら、まさかの親から捨てられると言うハードモード。

 夫への恨み言を口にしながら、泣きながら私を捨てた母に同情しながら、私は孤児院の門の前で泣くこともなく過ごしていると、近所の人が見つけてくれて孤児院に入ることが出来た。


 最初から孤児スタート。

 何とも斬新だと思ったけれど、前世の記憶があるのは多分……夫と会わないようにするための処置かなと思った。

 それからの日々は、孤児院の院長夫妻に可愛がってもらいながら幼少期を過ごし、同じ年の友人も出来た。



 マーガレットは気が強くて姉御肌。

 面倒見のいいソバカスが可愛い女の子だった。


 アリミアは無口な子だけど、心根はとても優しい子。

 可愛い栗色の癖の強い髪を三つ編みに結うのが私の役目。



 二人とも、娘だったら目に入れてもいたくない程可愛がれる自信があるほどに可愛かった。

 こんな友人に囲まれ、スクスクと成長していくにつれ、院長先生の奥さんが病気で亡くなり、それを追うように院長先生も弱り……特別老人院へ入ることになった。

 新しい院長先生は厳しいけれど、優しい人でもあったから安心できたけれど、その頃私たちはもう既に孤児院を出る年齢になっていて、就職先を決めなくてはならない時、いつの間にか王都となったこの場所で、王妃であるリコネル様の経営している花屋に三人揃って就職することが出来た。




もう少し続きます。

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