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膨大な魔力を持つ俺は、魔法の才能が無い  作者: そら
魔剣覚醒と闘技大会
3/37

読心の魔女

今回は戦闘もありますよ!よ!

「へぇ!カサドまで行ったこともあるんですね!」


ティアーナが目を輝かせて話をしている。


 二日前、俺はしぶしぶ商人の護衛の依頼を受けることにした。

グリム団長に代わりに行ってくれと頼んではみたが


「ティアーナはお前に頼んだのだろう?ならば、俺がお前の代わりに行くのは違うんじゃあないか?もちろん、それでティアーナが納得しているのなら構わないが。どうせ話もしていないんだろう。」


図星である。


 団長に断られた時点で、選択肢は一つ。

馬車一つの護衛とはいっても、さすがに女の子一人で護衛の仕事はさせられない。


「まぁ、家に寄らなけりゃいいさ」


どうしても気は進まないが、半ば諦めるように腹をくくった。


 そうして今は、ガルガンディの街を目指している。

アルゴという商人とティアーナが馬車の前部座席、後部座席にはアルゴの息子、フィーが座っている。

俺は荷台に座り込み、襲撃を警戒している。


「カサドでは、ビーラに果実を漬け込むんだ。あぁ、木の実やハーブなんかも漬けてたなぁ」


ふむ、カサドか。話を聞いていると、田舎の村のようだが、なかなか興味深い話だ。


「へぇ、果実を!ふふっ、ヴェルトはビーラには目が無くて、いろいろな発酵方法とか、水の種類でも味が違う!なんて言うのです。今だって、聞き耳を立てて…」


そう言ってチラリとこちらを見る。


「ああ、興味がある。少なくともガルガンディよりもよっぽど行きたいね」


と、手をヒラヒラさせて答えた。


「ははは、無事にガルガンディに着いたら、報酬の上乗せでパープルベリーのビーラをくれてやる!酒場で一杯やろう」


それを聞いて一気にやる気になった。我ながら現金なものだ。


「ふふっ、ずいぶん張り切ってますね、ヴェルト」


「当然だ。飲んだことのないビーラ。俺の知らないビーラが待ってるんだ」


言葉と同時に立ち上がる。

後部座席に座っていたフィーが「危ないから座って!」と嗜める。

十二、三歳の少年に怒られてしまった。


 「よし、ガルガンディまであと1時間ほどだ」


―ビーラまであと1時間か。楽しみで仕方がない。


「ヴェルト、顔がニヤついてますよ」


「まぁそう言うなよ。おかげで里帰りも悪くないと思ってきたとこ……アルゴさん、馬の速度を少しずつ落として」


 ―魔力を感知した。数は・・・前方左に二、前方右に一、左右に一つずつ。全員森の中に身を隠している、か。


「少なくとも五人いる。ティア、馬に物理抵抗(レジスタ)を二重にかけろ。アルゴさんは、いつでも馬を出せるようにしていてくれ。フィーは座席の下に伏せていてくれ」


全員が頷く。


 左右から、魔法で威力強化された矢が飛んでくる。馬に当たる寸前で、レジスタに弾かれ消滅した。

第二撃が来る前に、俺とティアーナは馬車から降りる。


「ティア、ここは任せるぞ。やれるな?」


「任せて。そっちも気を付けて」


返事もせず、俺は剣を抜きながら右の森に駆けだし、魔力の痕跡を追う。が、徐々に魔力は弱くなっていく。

純魔隠匿(ロスト)の魔法だろう。

魔力の移動がピタリと止まる。ほぼ同時に魔力も消えた。

俺は少し慎重にその地点へ近づく。

その間に、俺は思考を張り巡らせる。


 ―俺が敵の立場なら、選択肢は二つだ。


 一つは仲間との合流。俺たちの足を殺して逃げ道を奪うことに失敗した今、別々に動く必要性はないだろう。戦える人数も、五対二だ。数的優位は向こうにある。


 もう一つは隠れて隙を突く。今の俺は、純魔隠匿のピアスの効果で、相手が俺に感じている魔力は子供同然だろう。実力差があるのだから、確実に俺を殺すことを選択してもおかしくはない。


 敵の魔力が消えた地点に着いた。辺りを見渡すがやはり、敵の姿はない。

俺は目を閉じ、周りの魔力感知に集中する。

 馬車の方角では、ティアーナの魔力と二つの魔力が衝突している。もう一人は最初の位置から動いていない。

 左の森にいた奴の魔力は、ティアーナの魔力が混ざり、濁っているような感覚だ。恐らく聖鎖拘束(ジェイルバンド)で体を縛っているのだろう。


 もうじき日が落ちる。一際強い風が吹き、木々がざわめきだした。


「っ!?」


 俺は違和感を感じて振り返った。奥の方で何かが光った。瞬時に俺をめがけて矢が飛んでくる。

ギリギリで躱すと同時に、敵に向かって走り出す。

完全に捉えたと思っていたようで、動き出しが遅かった。俺は素早く足を切りつける。

男の膝が地面に折れる。俺は素早く男を拘束し、馬車へと走り出した。


 ギイィィン、ギイィィンと、激しい衝突音が鳴り響く。


「頑張るじゃねぇか、お姉ちゃん!うるぁ!」


ギイィィン!と、長身の男の剣撃を、杖で張り続けている物理抵抗(レジスタ)が弾き返す。


「だがよぉ、このまま防戦一方じゃ、いずれお嬢ちゃんの魔力が尽きてしまうぜぇ?」


もう一人の大男が言い放ちニヤリと笑う。


「おとなしくっ!降参したほうがっ!身の為っ!だぜえっ!」


 渾身の力で斧で連撃を放つと、ティアーナを覆っていた物理抵抗(レジスタ)が破られる。だが、その瞬間に新しく物理抵抗が張り巡らされる。


「いいえ、これでいいのです。私はただの時間稼ぎですから」


にこっと笑いかけて、余裕の表情を見せる。


「あん?あぁ、さっき森に入ってったガキが助けに来るってかぁ?残念だがそれはねぇな。あんなチンケな魔力じゃ、俺たちの誰一人にだって、勝てやしねぇさ。諦めな」


「わたしは信じているわ。いいえ、確信してる。もうすぐ彼はここにやってきて、あなたたちを倒すわ。それに、聞いたことはない?」


()()()()()()()()()()って・・・!!」


 一人の人影が馬車の上から大男に飛び掛かり、思い切り剣を振り下ろす。

同時にティアーナが杖を突きだし、長身の男に魔法を放つ。


「でやあああぁっ!!」「聖戟(イ・リオス)っ!」


着地すると同時に、二人は最後の一人の元へ駆け出そうとするが、ピタリ、と足が止まる。


「あらあら、そんなに急いで、どこへ行くのかしら?」


馬車の上で、女が嗤う。


(―この場にいた全員の誰もが気が付かずにここまで移動しただと・・・いつからそこにいた?どうやって?)


「君が馬車を飛び越えた時にはもう、そっちのお嬢ちゃんの後ろにいたわよ?えーっと、こうやって」


女は俺の真後ろにいた。首筋に爪を這わせる。脈がドクドクと波打っているのがわかる。


(―心を読んだ?同調読心(コネクト)か?)


 ティアーナが杖を向けるが、恐らく打てない。俺が人質になっているこの状況もそうだが、何より恐怖が勝ってしまっている。


「そう警戒しないで?もう君たちを襲おうなんて思ってないから。いま興味があるのは、君だけよ?お姉さんとお話ししましょう?」


そう言って俺を解放する。

すると彼女は瞬時に俺たちの後方へ移動し、何一つ躊躇いも無く自らの仲間を刺殺した。


(―こいつ!?自分の仲間を殺した?なぜだ?いったい何者なんだ…)


「あらあらあら、質問の多い子ねぇ。いいわ。君、可愛いから特別に全部答えてあげる。」


俺は女から二歩下がり間合いを取る。


「私の名前は(ラン)。この子たちは仲間じゃないの。だから、生きて連れてかれて情報を吐かれると面倒だから殺したの。私が何者かは、そうねえ」


ゆっくりと近づく彼女に、俺は剣を構え警戒する。


「もっと仲良くなったら、教えてあげるわぁ」


再び俺の背後に詰め寄り、俺の耳から首筋にかけて、指の腹を這わせる。

『いつでも殺せる』…そんな威嚇に恐怖した俺は、剣を横に薙ぎ払ったが、彼女はそれを難なく躱す。


「照れなくてもいいじゃない。ま、そんな君も可愛いと思うわあ。じゃ、今度はこっちの質問ね」


「あなた、最初の一人はどうやって倒したの?人は見かけによらないってそこのお嬢ちゃんは言ったケド、そこのデカいのの言う通り、とても覆せる魔力差じゃないわよねぇ?今日連れてきた中では、一番強い男だったもの」


 舐るように女は俺を見る。背筋がぞわぞわする。


「…森に入ったとき、敵の姿を捉えきれなかった時点で俺に勝算はほぼ無かった」


うんうん、と蘭と名乗った女は相槌を打つ。


「森に入って四十二秒後に魔力感知を使ってたわよね?あれは単純にこっちの情報を大雑把に知るため?」


「…それもある。が、どんな些細な変化も見逃すまいと集中した結果、というのが一番だった。まぁ、効果は殆どなかったよ」


「じゃあ、どうやってあの子を倒せたのかしら?」


「強い風が吹いた。その風が男の居場所を教えてくれたんだ。今日お前たちは、()()()()()()()()()()()人を殺したな?その血の匂いが、教えてくれたのさ」


へえ、と蘭が目を大きく開いて俺を見つめる。


「大した集中力だね。うん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()ハンデを背負い、それでも尚、一流に勝利する。カッコいいじゃないか!ますます気に入ったよ!それに…」


蘭がティアーナに振り向く。


「分の悪い賭けをしている彼が勝つ事を微塵も疑わなかった君も、大したもんだよ。見ていてチョット、嫉妬しちゃったくらいに、ねえ?」


 ティアーナが身構える。俺は二人の視線の間に割って入った。


「話し合いは満足か?一応聞いておくが、お前たちの目的は何だ?まだ俺たちと戦り合うつもりか?」


「あははっ、さっきも言ったと思うけど、今日はもう、戦う気はないわよ。まっ、次にあったらどうなるか分からないケド。目的は単純よ」


そう言って再び馬車の上に飛び乗る。中から「ヒイッ」と声がした。


「この中においしそうな匂いがしただけさ。うーん、それにしてもみんな怖がりすぎじゃないかな?こーんなにかわいいお姉さんを目の前にして、失礼すぎじゃない?まあいいや。最後に君の名前を教えてよ」


「次に会ったら敵かもしれないんだろう?易々と情報は流せないな」

つれないなー、とぼやきながら馬車から降りて歩き出す。


「ま、敵として出会わないことを()()()()()と二人で祈るといいよ、()()()()()!」

日が沈み、彼女は闇夜の森に消えていった。生ぬるい風が吹き、血の匂いを運んできた。

強くて可愛いお姉さんが登場!

でも気を付けて。彼女の前では浮気がバレバレ!

次回もお楽しみに~

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