表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

錬金術と魔道具作製

 もちろんこの300年、魔法や魔術ばかりやってたわけじゃない。

 ちゃんと他の技術の練習もしてる。

 その一つに、錬金術がある。

 鉄を金に変えたり、賢者の石を作ったりするあれだ。まあ、この世界の錬金術では、鉄を金に変えることはできなかったらしいけどね。

 それでも、錬金術がすごい技術であることに変わりはない。とんでもなく固いのに、すごく軽い物質を作ったり。どんな物質でも溶かす液体を作ったり。温度や圧力を変えることなく物質の状態を変えたり。

 その可能性は無限大。極めれば、不老不死を得ることも可能だとか!…私にはあんまり関係ないな。

 この錬金術、実は魔術の一種なんだけど、物質を変質させて、様々な物を生み出すという特異性から、ほぼ別ものとして扱われているらしい。


 他にも似たような技術に、魔道具作製というのがある。これは、ものに魔術式を書き込んで、その道具に魔術的効果を付与する技術だね。

 え?魔術式って何って?

 んー、簡単に言えば、魔術陣の親戚みたいなものかな。魔術陣は基本的に、火や水を出したり、現象を外に放出することが多いんだけど、魔術式は、魔術式を書いたものに効果を発揮することが多いかな。まあ、例外はあるから、一概には言えないんだけどね。

 やっぱり最大の違いは、その形かな?魔術陣はなんというか、幾何学模様に字が入った感じのが多い。例えるなら、設計図が近いかな。

 けれど魔術式は、単一の文字や、文章にで書く感じ。

 まあ、明確な違いは無いんだけど、全く同じとは言い切れないから、とりあえず分類したみたいなところがあるらしいし、なんとなくのイメージで分ければいいんじゃないかな?


 まあ、こんな風に、新しい物を生み出す技術も練習してたんだよ。

 …え?結局魔術じゃんて?一応別ものだからセーフ。


 それに、この錬金術は私と相性がいい。なんせ私は人形。錬金術で体を改造することができる!私の体はかなり頑丈だ。もともとは、樹脂なんかで補強していたとはいえ、木材なんだけどなあ。まあ、そこはいいや。とにかく、私の体をさらに頑丈にすれば、より死ににくくなる!問題は、今のところ私の体に適した、より頑丈な物質を作れてないってことなんだよなぁ。

 なんせ材料が無いんだもの。仕方ないよね。

 炭素を使って、なんとかならないかとも思ったけど、うまくいってない。というか私の体が高性能すぎる。材質その物の強化は、当分先かな。


 でも、私の体の改造はできた。私の体は人形。しかも中は空洞ときてる。それなら、中に色々仕込めるんじゃない?て思ったわけよ。

 そこで魔道具作製の出番。思ったとおり、色々仕込めた。

 まず、腕に刃を仕込んだ。手首を開くと出せるようになってる。ちなみに刃は、使わない道具類をばらして、錬金術で再利用して作った。それでもけっこう頑丈だし、超音波振動の魔術式を刻んでるから、たいていのものは切れる。さらに、レールガンの術式で飛ばせるようにもなってる。予備の刃を二の腕にも仕込んだから、両手合わせて4回打てる。

 他にも、体の内側に強度強化や結界の術式を刻んで、さらに防御力を上げようと思ったけど、ある程度の効果を常に発動させるのは効率が悪いから、断念。不朽魔法はけっこう強い効果を常時発揮させても、負担にならないんだけどなぁ。その代わり、緊急時強力な効果を任意ですぐに発動できるようにした。


 それから、目にもかなりの改造を施した。可視光線だけでなく、マイクロ波やエックス線なんかも見れるようにした。これで熱を感知でき、壁の向こうまで見透すことができる。さらに魔力を可視化させて、より魔力を精確に認識できるようになった。


 改造したのは体だけじゃない。服も改造した。

 実はこの300年間、服を換えてない。あのフリフリの甘ロリドレスだ。不朽魔法がなかったら、今ごろとっくに朽ちてただろうね。

 もしそうなってたら、私は今ごろどんな服を着てたのかな?…全裸とか?いやさすがにそれは…ああでも、隠すべきものなんてないしなぁ。あり得るのか。

 まあ、それはおいとこう。そんなたらればの話をしても仕方ない。

 とにかく、服を改造したわけだね。こっちは錬金術がとっても役に立ったよ。布や材木なんかから繊維を取り出したり作ったりして、炭素を混ぜて強靭に。それをドレスの繊維と融合させたり編み込んだりした。多少黒い線が入ったりして色合いが少し変わったけど、これはこれでなかなか可愛い。

 汚れを弾くようにもしようと思ったけど、不朽魔法で綺麗にできるからやめた。


 そうそう、時空魔法で空間認識能力が上がって、高性能な目を持ったことで、色んな発見があった。

 実はあの書庫、隠し部屋があった。そこにもいくつかの本があったんだけど、その中の一つにこんな本があった。


『進化の石作製実験記録』


 進化の石というのは、生物を生きたまま進化させる石。どうやらこの本の著者は、この進化の石を使って寿命の長い、より高位の生物になろうとしていたみたい。けれど、何度も失敗して、ようやくそれらしきものができて、後は実験でその効果を確かめるだけ…というところでこの本は終わってる。

 そして問題は、その完成していたかもしれない進化の石。それがあの日、私が食べようとしたあげく割っちゃった石に似てるんだよねぇ。

 というかほぼ間違いないと思う。現に私は、人間という百年ちょっとしかいきられない生き物から、自動人形という何百年と生きる生き物?になったわけだしね。

 それでたぶんこの本の著者って、ここの元家主だと思うんだよね。この本が中途半端なところで終わってるのは、途中で元家主が死んじゃったからじゃないかと思うんだ。まあ、だからなんだという感じではあるけども。


 そうそう、私が自分を自動人形だと言ってるのには、実はわけがある。

 錬金術と魔道具作製を組合わせて作れる物の中に、設定した通りの動きをする人形がある。それが自動人形と呼ばれる。

 自動人形は魔力さえあれば、動き続けることができる。ただ、設定した通りの動きしかできないし、再設定はとても難しい。よほど腕のいい人でないと、最初から作りなおす方が楽な上早いという欠点がある。

 似たようなものに、ゴーレムというのがある。これは魔法や魔術で作る人形。基本的に魔力が切れると壊れるから使い捨てなんだけど、魔力タンクみたいなのをつけると動き続けることができるし、命令の上書きが楽。一言命令するだけでいい。

 じゃあなんでゴーレムじゃなくて自動人形なんだと思うかもしれない。

 いくつか理由があるんだけど、一つはあのデッサン人形。あのデッサン人形が自動人形だったんだ。そのデッサン人形なんだけど、最初は2体いたはずなのに、今では一体しかいない。

 たぶん、私に吸収されたんじゃないかと思ってる。あの進化の石を砕いた時、デッサン人形もすぐ近くにいた。目覚めたらいなくなってたけど、それからデッサン人形は一体しか見ていない。

 進化の過程で私に吸収されたなら、色々納得がいく。そもそも人間が進化したら人形になるっていうのがおかしい。体のしくみなんて全く違う。でも、自動人形であるデッサン人形を吸収したなら、説明はいちようつく。

 つまり、自動人形の仕組みで動いてるなら、私は自動人形なんじゃないの?てこと。

 他にも、錬金術と魔道具作製で作られた人形は自動人形と呼ばれるから、錬金術で作られた進化の石によって人形になったんだから、自動人形と言えるんじゃないか?とか、単純に人形という言葉が好きだからっていうのもあるけど、デッサン人形を吸収したからっていうのが、理由としては大きいかな。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ