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運命

すいませんお久しぶりです!

なかなか更新できなくてすいません。

続きがどうにも思い付かなくて。今回は短いですが、なんとか書けたので出します!

 

 夜が明け、朝日が登った。

 そろそろあの子を起こす時間だ。


「ミシェル。朝だよー。起きてー。」


 ベッドの上の、布団の脹らみを揺らしながら声をかける。しかし脹らみは最初「んー。」と拒否の声を上げながら丸くなるばかり。

 そこで私は布団を一気にひっぺがす。

 そこには、体を丸めて微睡む栗毛の少女がいた。年は小学校高学年くらいだろうか。その幼い子は、まだ寝足りないのかいっこうに起きようとしない。

 まあ、いつものことだけれど。


 人間の赤ちゃんを拾ってから、12年の月日が流れた。

 最初はほんとに苦労の連続だったね。何せ私は未婚で、子育てなんてしたことがない。頼れるアドバイザーもいない。さすがにあの図書館にも育児に関しての本は無かった。そのため全てが手探り状態だった。

 まず困ったのは食事。もちろん人形の私にお乳なんて出せるわけがない。一番いいのはそれこそ人間に任せることなんだけど、私の知ってる人間といえばとても質素な暮らしをしている村人ばかり。引き取ってもらえるかわからない。交渉しようにも言葉が通じないからね。


 そこで、山に住んでいた山羊の乳を与えてみた。アレルギーが出ることもなく飲んでくれて安心した。

 一番困ったのはおしめ。もちろんおむつなんて便利な物は無い。そこで代替品として、吸水性抜群の綿を植物から採取。蔦と葉っぱで抑えてなんとか対処。

 それから家を作ったり家具を作ったり服を作ったり、なんやかんやしてたら大きくなって、気づいたら三年経ってた。もう朝から晩まで赤ちゃんのために働きづめで、睡眠が必要無い人形じゃなかったら倒れてたなと。

 そこではたと気づいた。あ、この子日本語話してるなって。

 赤ちゃんが泣くたび、私は魔術で空気を振動させて声をかけていた。もちろん日本語で。そのときは赤ちゃんをあやすのに必死で、特に気にしてなかった。けれどこれはちょっとまずい。この世界で日本語なんて言語を使ってる人達なんて、いるとは思えない。それなのにこの子は日本語しか話せない。まあ私は日本語以外話せないから、最初から気づいててもどうしようもなかったけれどね。

 そう開き直って、私は赤ちゃん…いやもうそんな年じゃないか。物心ついたミシェルに様々なことを教えていった。

 ちなみにミシェルという名前は私が適当につけた。元の名前は分からなかったから、顔を眺めてなんとなくこの子はミシェルだなと思ったからそう名付けた。

 …もっと真剣に考えろって?いーの、第一印象が大事なんだから。


 ミシェルには、魔法や魔術、医学に薬学、そして算術なんかを教えてきた。まあ、ほとんどはこの世界に来てから読んだ本の内容なんだけどね。それを地球の知識で補ったってかんじかな?

 そしてミシェルは、私の教え方が良かったのか、単純にミシェルが天才だったのかは分からないけど、そういった教えたことをするすると吸収していった。私が親バカでなければたぶん後者だね。

 もうね、吸引力の変わらない某掃除機かとおもうぐらい!

 そう!うちの子は天才なのです!


 そんなうちの天才は、朝が弱い。

 揺すっても布団をはがしてもなかなか起きない。だからこうやって、支えてやりながらでも無理矢理起こしてやる必要がある。そうやって支えながら、服を着替えさせたり顔を洗ってやったりしてたら、朝ご飯の時にはなんとか起きてる。


「ふぁ~。おはようお姉ちゃん。」

 顔を洗っい終わったところで、眠い目をこすりながらミシェルがおはようと言ってくる。それに私も「おはよう」と返す。

 ちなみに、私はミシェルには姉と呼ばせている。姉がどういう意味かとは、詳しくは医学を教える時に教えたから本当の姉妹ではないことは伝えてある。けれどミシェルは、私を本当の姉のように慕ってくれる。

 もちろん私もミシェルを、本当の妹のように愛してるよ。


「いただきまーす。

 うん。今日もお姉ちゃんの料理はおいしいね。」

「ふふふ、ありがとう。」


 ミシェルは好き嫌いも少なく、いつも笑顔で美味しそうに食べてくれる。

 ミシェルが笑顔でいると、とてもうれしい。ミシェルの笑顔を見ると、なんだか元気になるような気がする。だから私は、ミシェルがいつも笑顔でいられるようがんばるんだ。

 そして、ずっとこんな幸せな毎日が続けばいいなと思う。


 けれど、私は知らなかった。この子が、とてつもない運命を背負っていることを。彼女の本当の母親の出自、そしてその出身となる国が抱える問題。それによりまさか、ミシェルが世界最大の国家の命運を背負うことになるなど、この時の私は思いもしなかった。


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