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転生した魔法少女は、月夜にミートボールスパゲッティの夢を見る  作者: 48610
第一節ー魔法少女はこっちの世界に転生する
1/1

1.1気づいたら路地裏にいて、私も何を言っているのか分からない

「いったー。……なんで体に穴なんて開けられたかな……

 あー魔法が使いたいのに、マナがないから使えないし……

 こんなの昔先生に連れられてマナのない未来に言ったとき以来だよ……」

長い赤い髪を揺らしながら、黒いコートと、ワンピースにしては特徴的な服を着た少女が人のいない街を歩く。

最寄り駅までは徒歩3分程度、都心にほど近いこの駅でも、日が昇る前の時間、1時間程度は人がいなかった。

月が沈んだ世界に薄っすらと星が浮かび、遥か遠くが少しだけ紫色に染まっている。

冷たい風が少女に吹き付ける。

季節は冬、春まではあと数週間はある。

「さ、寒い。穴の空いた服着替えたいけど、学校はどこだろう。

 って、ここどこ!?」

赤い髪がふわふわと揺れ、少し頬が赤い。

……

少女は突然騒ぎ出した。

「なんか書いてあるっぽいけど、なんて書いてあるか読めないし。

 なんか、なんか、いつものほのぼのとした空気?っていうのがないんだけど!

 何この殺伐とした世界!」

少女の上には高速道路。

そこを車が走っていく音と少女の声だが街に響く。

少女の胸と背中に穴の空いた服に風が吹き付け、服が膨らむ。

ワンピースのような服は、不思議な形に揺れていた。

月明かりのない世界。

街灯に照らされる少女はこの世界の住人ではなく物語の中から、

絵本の中から出てきたような……

白い肌、赤い長い髪は美しく、起伏の少ない体型は中性的で

黒いコートと白いワンピースは幻想的で、まるで物語の中の住人に見えた。

突然少女の体から力が抜け、ふわりと浮かんでいた姿が地面に倒れた。

「あ、うん。魔法で無理やり自分自身を蘇生させたけど、流石に体力的にきつい」

芋虫のように動きながら、立ち上がりフラフラと歩いていく。


車の走らない道を歩き、風に揺られてフラフラと少女は街を彷徨い始めた。

狭い路地裏を通りがかったとき、少女の目の前に突然、壁と光が現れた。

景気のいい打撃音と、少女の悲鳴が街に響く。

ドアから出てきた女性がゴミ袋を両手に抱え、慌てながら少女を見る。

「あ、ごめん。君大丈夫?」

「■○▲♪★★」

女性は持っていたゴミ袋を地面に置き少女の近くに屈み込む。

「あー外国人かー

 このあたりは外国人が多いから、ごめんね。

 声かけて出たけど外国人だと、言葉がわからないよね。」

頭を掻きながら、頭を抱えている少女の手を触る。

「見たところ怪我はないみたいだけど……」

グルルというちょっと低いようで高い音が少女から発せられる。

「■○○○■★★★★」

頭を抱える少女は慌てたように距離を取る。

「あ、おなかすいてるの?

 余り物でいいなら食べていく?

 ゴミ捨ててからだけど。」

女性はゴミ袋を持ち上げながら言った。

その顔はとても疲れ切った顔をしていた。


女性が案内したバーは雑居ビルの地下2階にあった。

バーの入口と従業員用の入り口は別になっており、

バー入口の方には「CLOSED」と鏡文字になった看板がかけてあった。

作りはオーセンティックなバーだ。

椅子が8席、テーブル席が2セット。客が入ったとしても15人のこぢんまりとした店だ。

バーカウンターの奥には数々のお酒がこれでもかと置かれていた。

その奥に別室としてキッチンが付いていた。

少女は「CLOSED」の意味はわからなかったが、文字だということは認識できた。

「×××××××××××××××××××××××××××××××」

女性がなにか言っているが少女にはわからない。

女性が椅子を指さしたので少女はそこに座ることにした。

旅立ったときには持っていなかったカバンを何故か自分が持っていたので隣の椅子に置く。

少女の頭の中に、聞き覚えのある声が響く。

【今回の冒険は成功しました。】

(あ、ここ。学校と同じでマナがあるんだ。)

女性はバーカウンターの奥にあるキッチンがある部屋に行く。

少女は空間に手を突っ込むと、一冊の古びたノートを取り出す。

このノートは少女のいた世界では、学生が持っている、個人のステータスが書かれたノートだ。

これを見れば自分の能力値や、スキル等がわかる。

先程の少女の頭の中に響いた音声は、このノートから発せられたものだ。

冒険をこなせばLVが上がりステータスが上がる。

(今回の新しいスキルはなんだろう)

少女は自分のノートのスキルのページを開く。

>魔法使い:本

>憑依精霊の本(魔導書)

>赤き姫と薔薇の騎士(絵本)

>セガール・キャロル(絵本型武器)

>ーーーーーーーーーーーー(本)

最後の部分に読めない文字で書かれたスキルが追加されていた。

いや、そのスキルを確認したとき、読めない文字が読めた。

(異世界の動物と、赤い魔女?)

初めて見る文字が読めたことに少女は驚いた。

「異世界の動物と、赤い魔女」

祈りを込めて小さくつぶやくと少女の目の前にノートと同じサイズの赤い本が生まれた。

サラサラとめくる。

動物と人が描かれた文字のない本だった。

(このスキルの効果は、知らない文字を読めるようになる?

 いや動物たちが仲良くしている姿を見ると、意思の疎通が履かれるようになるかな?

 魔法は何が使えるようになるんだろう?)

赤い本を閉じもう一度スキルノートを見る。

>学生名:出水(でみず) 野薔薇(のばら) 旧:デスノ・チャリオット

>異名:赤い絵本の魔法少女

「え!?」

知らない名前が書いてあった。

(でみず のばら? だれそれ?)

>LV:8

>HP 41 + 35

>体力 1 + 0

>器用 2 + 0

>敏捷 2 + 0

>知力 3 + 4

>感覚 3 + 4

>幸運 9 + 27

少女の世界では生まれ持った能力値を4段階で表す。

今回のLVアップで感覚が伸びていたことに少女は少し喜びを感じながら名前の変化が何故起きたか、確認するために次のページを開く

>世界を滅ぼすものとの戦闘時に心臓を貫かれ即死する。

>同時刻、同座標において出水 野薔薇も心臓を貫かれ即死したため

>蘇生時に世界転送が起きる。

……

「意味がわからない!!」

次のページも見てみる

>その後、彼女の姿を見たものはいない。

>追伸、しばらく野薔薇さんとして生きてください。

>あなたの体にはいま野薔薇さんがいます。(先生より)

そこから先は文字が薄れていて読めなかった。


「えええええ!!」

げほげほげほ……

少女は一応叫んでから、空を見つた。

出水 野薔薇として生きていくことを了承した。


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