表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バトンリレー  作者: 銀世界かけら
第一章 『accel~アクセル~』
8/9

③朱希→  『目覚めの朝』





 肌寒さを覚えて、俺は意識を覚醒させた。低温に支配されて、全身には力が入らず、手先の感覚は麻痺している。まるで自分の身体が自分のもののように、錯覚してしまう。




 首筋をなでるくすぐったい春草と、全身に感じる土の固い感触。


 その違和感を肌に感じ、俺はふと目を開く。




 きらきらと星が瞬く夜空。


 一面の草原。


 辺りを照らす月明かり。


 そして、ぽつん、と一人の寝転んでいる俺の姿。




 ―――そうか



 自分がいるこの場所は、“あの丘”なんだと、俺は強く実感する。



 でも俺は、この光景を信じられないでいた。



 さっきまで俺は、自分の部屋のベットの中で眠りについていたはずだったのに。

 どうしてここにいるのだろう。



 俺は、草むらから身を起こす。


 すると、ひとりでに、目元の窪みに溜まった透明の液体が、行き先を見つけたように、一筋の軌跡を描いてこぼれた。





 ―――あれ? どうして俺は泣いているんだ……




 なぜ泣いているのか、何に泣いているのか。


 必死に思い出そうとしても、どうしてもわからない。自分でもわけがわからず涙が溢れ出てくる。






 ただ、何かを失ったという喪失感と、胸の中に残っている温もりが、漠然と俺の中に残っていた。



 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ