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1ー4

半年も放置して申し訳ございません。

書き込みの途中で、書けない状態になっておりました。


仕事の業務を増やして事業を拡大したり

身内に不幸があったり

その挙句に交通事故で右手を骨折…


本厄って、マジ怖い。


通常は復帰まで一年以上の治療とリハビリが必要と言われていたのを

約半年で治してきました。


投稿をお待ちくださった皆様、ご心配をお掛けしましたが

本日より復帰です!


とは言え、本業の仕事も山積み…

確定申告もありますので、今年度中は不定期更新になってしまいますが

何卒よろしくお願い致します。

「すまんなぁ…。E9エルフナイン

ヨシキが俺たちの相棒であるマークXの助手席側のフェンダーを撫でながら呟く。

「痛かったやろう。でも、ありがとうな」

俺もルーフの運転席の上辺りを撫でながら呟く。

「はぁ…」

二人同時に溜息を吐く。


俺たちのパトカーは遊撃隊専用装備だ。

しかしながら、遊撃隊の内部で使い回してはいない。

人間は二人一組でコンビを組んで仕事をするのが遊撃隊だが、パトカーを含めてトリオの扱いになる。

つまり、この車を使用するのはヨシキと俺の二人だけだ。

なので、警察庁から車両それぞれに個体識別番号が与えられている。

俺たちのマークXは「E9」という番号なので、ヨシキと俺は愛称として「エルフ・ナイン」と呼んでいる。

俺が好きなアニメの登場人物から貰った名前でもある。


これより数時間前ーーー、

ハルカスの案件を片付けた後に俺たちが向かった先は、テロの本陣だった。

深夜ではあったが、周辺には人も多かったので敢えて犯人グループを逃走させた。

人質を取られたり、周辺の民間人に危害が及ぶことを思えば遥かにマシだと判断した。

しかし、ただ逃した訳ではない。

機動隊や交通機動隊、所轄まで動員しての大誘導作戦。

北浜きたはまから大阪南港まで追い込んで、じっくり逮捕する。


作戦そのものは実に上手く行った。

抵抗もある程度は想定していた。

が…、一つだけ想定していない事態が起きた。


射手になり得る運転手以外の乗員を北浜で狙撃する予定だったのだが、所轄の制止を振り切ったマスコミが現場に雪崩れ込み、狙撃手の射線上に入ってしまった。

そのために狙撃手は作戦の中断を余儀なくされてしまった。


ここまでならまだ良い。

「プランB」に移行すれば問題無い。

が…、ここでも問題が発生。

逃走を開始したテログループと追跡を開始した俺たちのカーチェイスに、マスコミの中継車が付いてきてしまった。

俺たちの車両のナンバープレートや俺たちの姿を報道されるわけにはいかない。

中継車と俺たちの間に所轄のパトカーに入ってもらったが、マスコミの連中は何を考えているのか次から次へとバイクや乗用車までも投入して来る。挙句には自転車や原チャリに乗ったユーチューバーまでも割り込んできた。

このインフォメーションジャンキーたちの排除に手間取った。

所轄の交通課や交通機動隊はよくやってくれたと思う。

各警察署の地域課の青バイ部隊もよく動いてくれた。

最近の報道は加熱する一方で、こういう無茶なことをよくやって来る。

俺たちはこれも「テロリズムの一種」だと思うようになってきている。


テログループを先頭にした一大パレードのような車列が出来上がった頃、最悪の事態になった。


テログループが窓から身を乗り出し、発砲を開始し始めた。

用意した逃走ルート上は民間人の出入りをずいぶん手前から規制してるので、問題無い。

しかし…問題は後ろに付いてきているマスコミだ。

テログループもそれが気に食わなかったのか、そちらに向けて発砲している。

流れ弾で死傷者が発生しかねない危険な状態に陥ってしまった。


刑事ドラマや映画みたいに俺たちも応射すれば良いと言われそうだが…

俺たちは車両の窓から身を乗り出して発砲することを法律で禁止されている。

台本や演出のある世界のように、そんなに都合よく当たる訳でもないし。

しかし、出来るだけ民間人であるマスコミに損害が発生しないようにしなければならない。


テログループの射手が発砲を始めようとするたびに、遊撃隊の車両でフェイントを仕掛けて挑発する。

その度に銃口はこちらに向く。


「ガンガンガン!バスン!」


発砲を受けるたびにそんな不快な音が車内に響く。

遊撃隊のパトカー「POLICE INTERCEPTER」は、防弾仕様になっている。

通常のパトカーと同じなら、俺とヨシキは既に蜂の巣になっていてもおかしくない。

天井の赤色灯や防弾性の無いミラーなどは、最初の銃撃で破壊された。

助手席のサンバイザーに仕込んだ簡易のLED警光灯で代用にしてあるが、視界の邪魔でしかない。

この車の防弾仕様は信頼しているが、この音は不快でしかない。

それに、目的地までこのガード性能を維持できるかも定かではない。

いくら防弾仕様でも、持ち堪えられるダメージにも限界はある。


「アーチャー2よりギルガメッシュ1へ。宴の準備は整ったか?」

先行させていたギルガメッシュにヨシキが電話を入れる。

無線のアンテナもとっくに撃たれて無くなっている。だから電話なのだ。

「こちらギルガメッシュ1。アーチャー1ほどの腕は期待しないでもらいたいですが、OKです」

謙遜するな。俺とお前は府警本部でのコンクールで優勝争いをしたじゃないか。

俺が勝ったけどな。

「了解した。ポイントWウイスキーまでに見物客を排除する。仕掛けるのはポイントYヤンキースやぞ!」

「了解です!」

サイレンアンプを使って、周囲のパトカーに合図を送る。

遊撃隊以外のパトカーが一斉に停止し、マスコミやユーチューバーたちの足を止める。

ちなみにだが、これに従わない場合は公務執行妨害とテロ共謀罪に問われることになる。

それで検挙されるジャーナリストも多くなってしまったのは、今の日本の悲しい現実だ。

新聞社やテレビ局によっては、テロ活動を擁護する立場を貫いている所もあるくらいだ。


「こちらギルガメッシュ1。目標を視認。発砲を開始する。周囲の警察車両は少し車間を取れ。

三、二、一…発砲開始!」


一キロほど前方のビルから発射炎が見えた。


それとほぼ同時に、目標のエリシオンのルーフに無数の弾丸が雨の如く降り注ぐ。

鉄板を貫く雨だけどな。

真横でその成果を確認する。

後部座席の六名は絶命したようだ。


「アベンジャーより全サーバントへ告げる。目標グループ八名のうち、六名の沈黙を確認。残る二名は対応三で願う。よろし?」


俺たちの無線は既に使えない状態なので、アベンジャーと通話接続した俺のPフォンをスピーカーモードにして、ダッシュボード上に置いてある。

そんな事が可能になった今の時代は、本当に便利になったもんだと思う。

おかげで無線が使えなくても、各移動局ともリアルタイムで話せるし、意思の疎通も可能だなんだもんな。

そうなってくると、無線の果たす役割ってなんだ?

と思いがちだが、無線は無線で色々と役に立つのもまた事実だ。

だからこそ、この絶えずなにがしかの電波が飛び交い、無線傍受が容易出来てしまう時代になっても警察無線は健在なのだ。

まぁ、遊撃隊が使う周波数はかなり複雑なアルゴリズムのスクランブルが掛かっているので傍受不可だし、それどころか通常の警察無線の受令機でも傍受出来ないのだけれども。


携帯受令機は俺たちも当然装備してるけれども、乗車中に使う事が出来ない。

理由は多いが、代表的な理由の一例は

「アンテナが無いから車両の中では使いづらい」

「パトカーの無線機と混信する」

「スイッチを切り忘れて乗車して積載受令機に受信が有ると、ハウリングを起こしてしまう」

などなどだ。

そんな理由などで、俺たちは無線ではなくPフォンを使ってるわけだ。


「ギルガメッシュ1よりキャスター。目標車両のエンジンの破壊を愚申しますが、いかがか?送れ」


なるほど、懸命な措置だ。

『生かして捕らえろ』という指令を受けている以上、それ以上の最善の策は無いと俺も思う。


「キャスターよりアーチャー1。どうよ?送れ」


小暮隊長…。また俺ですか…。そうですか。はいそうですか。


「良い策です。ギルガメッシュ各員に告げる。それぞれ一発で仕留めろ。お前らなら可能や。送れ」

「ギルガメッシュ1よりアーチャー1。ハードルを上げないでください。でも、やってみせます。発砲は五秒後。通信終わり」


運転席の俺は目標車両の動きに合わせて回避する必要が有るので、ハンドルを握りなおし身構える。

ヨシキはあらかじめ用意してあった俺のMP5と自分が使うM870MCS(ショットガン)を抱えて膝をダッシュボードに押し付けて回避運動に備えて身構えている。

停車させた後の反撃も容易に想像出来るが、それをさせないために必要な武装だ。

相手が相当なアホでも無い限り、こちらの狙撃手の腕がどれほどの物かは分かっているはずなので、無駄な抵抗はしないでくれる事を祈る。


「発砲!」

「弾着…今!」

ギルガメッシュ各員の発砲を確認したアベンジャーが弾着の瞬間を告げる。

距離や気温で弾着の時間は変わるが、現場にいないのに正確に弾着を予測する。

情報社会の技術ってすごいなぁ。


エンジンに二発。各車輪に一発ずつ。正確に命中させ、強制的なエンジンブレーキに驚いた目標の運転手は急ブレーキを踏む。

タイヤがパンクした状態で急ブレーキは危険だよ?教習所で教わってないのかい?

目標車両は見事なまでに予想通りの軌道でバランスを崩して、横転。

間髪入れずに、こちらも四方から取り囲む形で停止する。

ヨシキからMP5を受け取り、防弾装備が施されたドアを盾にして構える。

目標車両の横転停止確認からここまで三秒ほどだが、俺たちからすれば遅いくらいだ。


一斉に取り囲んで

「武器を棄て両手を頭の上に組んで投降しろ!」

と警告する。


飛んで行ったフロントガラスが有ったはずの場所からAKの銃身が動くのが見えたので、ボンネットに向けて発砲する。


「これ以上の抵抗をするならば即座に射殺する!」


その一言で目標の二人は泣きながら警告に応じて投降した。


遊撃隊各員がこれを確保し、武器、危険物を所持していない事を確認して速やかに公安捜査官(エージェント)に身柄を引き渡し、所轄警察官が現場保全を行い、それを見届けて即座に撤収。

この間、時間にすると一分ほどだ。


が…


残念ながら、ヨシキと俺は遊撃隊の車庫までE9を戻す事は出来なかった。

受けた銃弾の一発がラジエターを貫いていたためだ。

市販車や一般パトカーと違い、遊撃隊専用車両はそんな場合に備えて強制冷却装置を搭載しているが、飽くまでも非常用なので使用にも時間的な限界がある。

有る程度の時間が経過したりコントロールユニットが『限界!』と判断したら、エンジン本体が致命傷を負う寸前にエンジンを強制停止してしまう。

道路の真ん中でいきなり停止すると危険なので、モーター駆動に切り替わって安全な場所まで移動出来るが、ハイブリッド車では無いので移動できるのはごくわずかな距離だ。

こうなってしまうと、遊撃隊専属のメンテナンストラックの荷台に収容されて帰るしかない。


「よく頑張ったなE9」


そう言ってシフトをパーキングに入れて、メンテナンストラックの到着を待った。


そして冒頭の時間に話が戻る。




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