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茨城

 俺たちは、北関東自動車道から、常磐自動車に乗り入れ、約1時間かけて北茨城にある「うぐいす谷温泉 竹の葉」に到着した。

駐車場は少し離れた所にあり、徒歩で坂道を進んだ先に、その旅館はあった。


「あれだ」


 マルコが指差した先に、こじんまりとした木造2階建ての建物がある。


「なんか、隠れ家みてーだな」


 引き戸を開け、受付に向かう。

予約した山下卓です、と告げると、店の女将と思しき人物が現れて部屋に案内された。


「こちらの、山百合の間、でございます。 早速、お料理をお持ちしますが、先に、お風呂になさいますか?」


「……まあ、焼そばも食ったし、先に風呂行くか?」


「……そうだな」


 俺たちは女将にそう言って、男湯に向かった。

銭湯は部屋のすぐ隣で、更衣室で服を脱ぎ、湯に浸かる。


「ふーっ、いい景色だわ」


 浴槽は檜で作られていて、眼前には青々とした竹がライトアップされている。

湯から上がり、部屋に戻ると、既に料理が準備されていた。

女将が料理の説明をする。


「魚の造り、常陸(ひたち)牛、岩牡蠣、あんこう鍋でございます」


 テーブルの上には所狭しと料理が並べられている。


「マルコ、あんこう鍋があるぜ」


「そちらは、身、皮、肝、ひれ、などといった部位がございますので、それぞれ違った食感をお楽しみ下さい」


 あんこう鍋は味噌で味付けされており、かなりうまい。

マルコは何やら日本酒を飲んでいる。


「それ、何て日本酒だよ?」

 

郷乃誉(さとのほまれ)、という茨城の地酒だ」


 透明なグラスについでもらい、俺も一口飲む。


「……これ、うめぇ! 日本酒臭くないってか…… 飲んだ瞬間は甘くて、後味スッキリみたいな」


「ああ」


 料理を平らげると、俺たちは瞬く間に眠りに着いた。





 ブブブ、という携帯のバイブで、俺は目を覚ました。


「今何時だよ……」


 時刻は早朝7時。

マルコの姿はなく、どうやら朝風呂に行ってるらしい。


「せっかくだから風呂行くか……」


 旅館に来て朝風呂に入らない手はない。

そう思って体を起こすと、ラインが入っていることに気がついた。


「……って、またヒロシかよ」


 一応確認する。

そこには、こう書かれていた。





 おはよう!

ところで、またどこかで合流しないかい?

今、福島にいるんだけど、双葉町で見せたいものがあるから、そこにしようよ。

途中、検問に引っかかると思うけど、無視して入っちゃってね。





 ……双葉町?

なんか聞いたことある気がするな。


 



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