決戦 後編
(あの姿、まるでドラゴンじゃねーか!)
俺はふらついた足取りでどうにか立ち上がった。
相手は、頭から二本の角が生えており、背中には巨大な翼。
上半身の服ははちきれ、そこから膨らんだ筋肉と、鱗を覗かせている。
「リザードマンの力が、マセキで増幅されようだな」
「マジか……」
……あんな化け物に、剣で立ち向かえる訳がねぇ!
(……ちょっと待てよ。 考えてみりゃ、俺にもドラゴンの力が備わってるよな!?)
とりあえずこの場を乗り切るには、力を解放するしかなさそうだ。
後で聞かれたら、コスプレでした、とか誤魔化すしかない。
俺は、腕をクロスさせ、コールした。
「ドラゴンの力よ、降臨せよ!」
「……」
体に変化は起きない。
一同が見守る中、今度は違うポーズを試みた。
「変、身!」
「馬鹿か、お前」
ゴシャ、とみぞおちにアッパーを食らう。
そのまま上空に飛ばされ、シャンデリアに引っかかった。
「がああっ……」
……何で変身できねーんだよ!
すると、シャンデリアを釣っていたアンカーが軋み始め、限界に耐えられなくなり、抜けた。
「……!?」
ガシャアアン、というガラスの砕ける音。
(……?)
天井から落ちたのに、俺の体には傷一つ付いていなかった。
「……ワシ以外にも、この力を使える者がおったか」
「……!」
俺の姿は、ドラゴンのそれへと変化していた。
「身を守るために、眠っていた力が呼び覚まされたのか……?」
マコトが呟いた。
「ならば、これじゃ!」
ケイは、口を大きく開いて、何かを準備し始めた。
白い塊のようなものが、喉の奥に見える。
「ドラゴンブレスだっ!」
「……対抗してやるっ」
俺も反射的に口を開いて、ブレスの準備をする。
メラメラと赤い炎が口の中に蓄えられていく。
「だ、ダメだっ! 氷と炎、すなわち、プラスとマイナスの力が衝突したら、ゼロになってしまう! 規模が大きければ、この皇居全体が消滅するぞっ」
会場に招かれていた、客の一人が叫んだ。
(……くそっ)
咄嗟に口を閉じ、ブレスの放出をキャンセル。
俺は、相手のブレスを体で受け止める格好となった。




