決戦 中編
「全員、動くな!」
キーン、とマイクの音が鳴り響く。
(あれは……)
会場が一瞬にして凍り付いた。
司会者のマイクを奪ったのが、冬篠宮マコトだからだ。
「彼の持っている剣が、由緒ある下克上の剣ならば、しきたりに従ってもらうぞ、氷室ケイ!」
「……」
マコトがこちらに近づいてくる。
警察の制止を振り切り、俺の剣を受け取ると、それを天井に掲げてまじまじと観察した。
(本物だって分かってるのに、ナイス演技だぜ)
「……驚いたな、これは紛れもなく本物。 戦いは成立する!」
会場がどよめきに包まれる。
「……これは、お兄様が仕組まれたんですかい? ワシのことが、そんなに気に入らんのですか」
「……」
氷室ケイとマコトがにらみ合う。
すると、今回の席の主役、冬篠宮マコがこちらに歩み出てきた。
「兄様、そんなしきたりは時代遅れです。 戦う必要など、ありません」
「マコ……」
戦いに勝った所で、相手に拒絶されたら意味がない。
ここまでか?
「……仕方ねぇのう」
しかし、沈黙を破ったのは、意外な男だった。
(氷室、ケイ!)
「この勝負、受けてやりますとも。 お兄様も、これでワシが勝てば、文句はありますまい」
「……ああ」
……予想外だ。
こいつ、意外と男気のあるやつかも知れない。
デブのおっさんだけど。
「……勝算はあるのかよ?」
俺は、切っ先を相手の喉元に向けた。
「……」
その瞬間、目の前のおっさんに変化が起きた。
突如、背中に巨大な翼が生え、風を巻き起こして俺の方に向かって来た。
「がはっ……」
拳で殴られ、テーブルに激突する。
会場は一気にパニックに陥った。
「勝算があるから、戦うんじゃい!」




