追求
スマホの着信は鳴り続ける。
(本当にヒロシか!?)
どうする?
もし本当にヒロシなら、俺は殺人を犯さずにすんだことになる。
傷害の罪には問われるかもだが、そっちの方が数段マシだ。
(……このままじゃ、気になって仕方ねぇ!)
俺は思い切って着信に出た。
「……はい」
「あっ、ヒカリ? 良かった~、生きてたのね!」
……ヒロシじゃねぇ。
むしろ…… ニシノ!?
「ニシノさんっすか?」
「そうよ、ヒロシさんが山中で遺体で発見されて、パンクが高速で事故ったニュースを聞いたのよ。 君たち、みんなトカゲになったかと思ってたからさ」
……おいおい、ちょっと待て。
情報を頭の中で処理しきれない。
ヒロシは死んだ。
ってことは、どうやってヒロシに辿り着いたんだ?
その事を問うと、ニシノは、ヒロシから死に際にメールがあったことを明かした。
「自分の居場所の住所が送られて来たのよ。 多分、事切れる寸前だったと思う」
……そういうことか。
不謹慎だが、ほっとしてしまった自分もいた。
俺がヒロシを射殺したことまではバレていない。
あとは……
「パンクが、事故ったんですか?」
「ええ、昨夜ね。 カーブを曲がりきれないで、壁に激突。 調べを進めて、乗っていたのはパンク一人だったから、あなたとマルコのことが気になったってわけ」
「……マルコは、色々あって離脱しました。 パンクはどうなったんすか?」
「……死んだわ」
……くっ。
あの馬鹿野郎……
「……あなたは、今までどうしてたの?」
ここで本当のことを言えば、ムショ行きだ。
俺は咄嗟に嘘をついた。
「……パンクがヒロシさんを殺して、俺は脅されてたんです。 お前も共犯だって。 でも、隙を見て何とか逃げ出したんすよ」
「……やっぱり、パンクはニュースで報道されてた通りの凶悪犯だったのね。 あなたが無事で良かったわ」
……何とか、誤魔化せたか。
パンクが死んだことで、口封じになり、真実は闇に消える。
だが、一つ気になることがある。
「あ、最後に聞いておきたいんですけど…… 事故ったベンツから、何か見つかりませんでしたか?」
もし、あの剣が見つかっていたら、少し厄介なことになる。
冬篠宮マコト。
真実を知る人間は、まだ一人だけ残っている。
「……あなた達、あの剣をどこで見つけたの? あれは、皇室に伝わる由緒ある剣よ」
……マズいな。
トカゲの捜索でマコトと義勇軍が接触する可能性は高い。
マコトに真実を話させないようにするには、今一度あの剣を取り戻して、氷室ケイと戦わなきゃならない。
(……結局、やるしかねぇのか)




