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東京へ

 引きずるような足取りで、コンビニの脇を通る。

スナック菓子が陳列している棚が目に付いた。


(あん?)


 プリング〇スのキャラと目が合う。


「一文無しはお断りだよん」


「るせぇっ!」


 雑誌の棚でジャ〇プを立ち読みしている少年がびくっ、となった。


(腹が減りすぎて、キャラクターにキレちまった……)


 金が1銭もない状態で遠出なんて、初めての経験だ。

しかも、周りには誰もいねー。

俺は一旦コンビニのベンチに腰掛け、今後の方針を立てることにした。


(……とにかく、実家を目指すか)


 下克上の剣は手元にないし、そもそも、俺が親王になる意味は無くなった。

 さて、東京にある実家に向かうには電車が楽だが、金がない。

ヒッチハイクはどうだ?


(……いやいや、パンクが痛い目見てんだろ。 無しだ)


 以前、パンクがオネエのドライバーに襲われてる。

同じ目に遭うのはゴメンだ。


(……もう人一人殺してんだ。 どってことねぇ)


 俺は椅子から立ち上がり、ある場所に向かった。






 やってきたのは、近所のゲーセンだ。

3階建ての割と広めのゲーセンで、駐輪場には所狭しとチャリが並べられている。


(子供なら、自転車が盗まれやすいってことを知らないやつもいる。 さすがに、原付には鍵かかってるだろーしな)


 チェックを始めると、案の定、すぐに鍵無しの自転車が見つかった。

俺はそれを引き抜いて、とっととその場を離れた。

歩道をチャリで移動しつつ、スマホの地図を開く。


(……この方向であってんな。 143号線を下っていけば、埼玉に入る)


 しかし、スマホのバッテリーが30パーを切っており、慎重に使わないとマズそうだった。


(でも、まだ運は尽きてねぇ!)






 


 道中、畑にあるトマトをかじりつつ、東京を目指す。

汗だくでかなりしんどい上に、こんな貧乏くさいマネまでしなきゃならないなんて……

惨めな気分だが、もう手は選んでられない。

地べたに座り込んで休憩している時だった。


(……!?)


 ラインの着信。

俺は心臓が口から飛び出すかと思うくらい、驚いた。


(ヒロシ!?)

 




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