マセキ採掘 後編
「パンク、大丈夫かーーっ」
俺は頭を抱えながら、そう叫んだ。
「お、俺は…… でもっ、ゴンドラが!」
ゴンドラがどうしたって?
……まさか!
急いで駆け寄ると、案の定、ゴンドラは止まっていた。
「……振動でブレーカーが落ちちまったのか」
「ど、どうしよう……」
こんな山奥だ。
誰かが通りがかるのだって奇跡に違いない。
(ブレーカーに気づくやつなんて、いるわけねーよな……)
くそ、とへたり込む。
地震は止まったが、帰り道がない。
入り口だって、来たとき塞がれてたのを確認した。
……とくれば、後はよじ登るしかない。
「……パンク、このマセキ、持っとけ」
パンクの方にこぶし大のマセキを放り投げた。
「わっ! ……えっ、ヒカリ?」
俺は上着と靴下を脱いだ。
トカゲ化が進行してくれたのが、ここで幸いするとは。
「この岩肌をよじ登って、ブレーカーを入れてくる。 お前はゴンドラに乗って待っとけ」
「……分かった」
爪が発達したお陰で、取っかかりがあまりなくても岩を掴める。
足の方も、手の指みたく自由に動かせるため、登るのが全く苦にならない。
俺はそのままスルスルと地上を目指した。
「……っし」
どうにか地上に這い上がる事が出来た。
灯りが無かったが、ゴンドラ付近にブレーカーがあったハズだ。
目を凝らすと、暗闇に白く浮かび上がる動力盤を見つけた。
フタを開けて、落ちているブレーカーに手を掛けた、その時。
「マセキはどこにある?」
背後から声がし、振り向くと、白髪の30代くらいの男が立っていた。
しかも、妙ちくりんな鎧を身につけている。
俺は冷や汗をかいた。
「……義勇軍か? マセキは手元にねーよ」
こんな短時間で見つかるとは……
予想外過ぎて、逃げる手だてを考えていない。
そう思った矢先、男は以外な事を口にした。
「私は義勇軍とは関係ない。 私の名は皇室第二位、冬篠宮マコト、親王だ」
「……は?」
皇室?
冬篠宮……
冬篠宮だと!?
聞きたいことは山ほどあるが……
「……どうやって俺たちに辿り着いた? 何で皇室の人間がマセキを探してる?」
「私は国の最高権力だ。 どんなサーバーにもアクセスできる権限がある。 義勇軍の持つ極秘データから、パンク君とマセキの情報を知り、君らの居場所に関しては、地道に街の監視カメラから現在地を割り出したまでだ」
……マジか。




