千葉
もんじゃ焼きはちょっと変わった味だったが、そこそこうまかった。
俺たちは車に乗り込み、次の目的地を探すことにした。
「マルコ、千葉の郷土料理って何か思いつくか?」
「……そうだな。 郷土料理と言われるとパッと思いつかないが、確か落花生、なめろうなんかが有名だったはずだ」
なめろうは前に居酒屋で食ったことがある。
アジみたいな魚に、シソとかを加えてミンチにした料理だ。
マルコがスマホで検索をかけると、そのなめろうを使った料理の店が見つかった。
「なめろうラーメンを出す店があるな。 場所は千葉の先端だが…… ここから2時間もあればつく」
「オッケー、少し時間おきてーし、丁度いいんじゃねーか。 そこ行こうぜ」
俺たちは、月島から江東区を抜け、豊洲インターから首都高湾岸線に乗り入れた。
そこから羽田方面に道なりに進み、工場地帯、アクアラインを通過し、千葉県に突入。
マルコの指示を頼りに、田舎道をひたすら進むと、ようやく目的地についた。
例のごとく、車を路肩に止める。
「着いたーっ!」
ここまでおよそ2時間の道のりだ。
普段長距離を運転しない俺にとっては、結構疲れる。
「あれだ」
マルコが指さした先には赤い建物があり、看板には、房州ラーメン、と書かれている。
中は雑然としており、人ん家のリビングみたいだ。
席に通され、注文を取る。
「なめろうラーメン2つ」
注文を取りに来たのは、エプロンをしたおばちゃんだ。
しばらく待っていると、らーめんが2つ運ばれてきた。
「おっ、中々うまそーじゃん!」
ラーメンは油っこい汁の上に、メンマ、厚めに切ったチャーシュー、刻みタマネギ、団子が乗せられている。
「このイワシの団子みたいなやつがなめろうか?」
「ああ、食べてみよう」
麺は中太麺で、汁を絡ませながら一気にすする。
口の中に魚介の味が広がり、なめろうの団子もうまい。
食べ終わる前に、スマホで写メを撮り、瞬く間に完食した。
「もう食えねえ……」
もんじゃ、ラーメンを昼になる前に食べ、俺の腹はかなり限界だ。
会計を済ませ、店を出る。
「マルコ、さすがにもう食えねーわ」
「……まだ始まったばかりだぞ。 だったら、次はスイーツくらいにしておくか」
マルコが再びスマホで検索をかける。
……あんまり食い物のことは考えたくねーんだが。
「……東京に戻って、川越を目指すか。 菓子屋横丁に向かおう」