新潟 後編
目的地を小島屋総本店にし、俺は車を走らせた。
店は国道8号線沿いにあり、到着したのは夜の7時。
駐車場は広く、適当に車を止め、店内に入ると、すぐに店員が出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ、本日は2名様でよろしいでしょうか?」
「ああ」
座敷に案内され、俺はへぎそばと天ぷらを注文、パンクも同じやつを頼んだ。
しばらくスマホをいじっていると、そばが運ばれてきた。
「おっ、結構量あるな」
へぎそばは中々のボリュームで、俺は満足して店を後にした。
「パンク、ちょっと金おろしてくっから、車で待っててくれねーか」
「了解っ!」
近くのコンビニで3万をおろしたが、残高を見て不安がよぎった。
(マジか…… あと10万しか残ってねえ)
ここまであまり金を気にしないできたから、そのしわ寄せがきてる。
暢気にうまいもんなんて食ってる場合じゃないのかも知れない。
今日から、できるだけ節約していかないとダメかもな……
「……とりあえず、シャワーだけは浴びときてーけど」
ビジネスホテルは高すぎる。
満喫なら、深夜5時間パックとかで、2千円もあれば泊まれるはずだ。
そんなことを考えながら車に戻ると、パンクの様子がおかしいことに気が付いた。
恍惚とした表情で、椅子にもたれている。
「……何だ、こりゃ」
フロントガラスのすぐ下のスペースに、白い粉のようなものが散乱していた。
「おい、ここで何してた?」
「……〇△☆%」
……こいつ。
何言ってんのか分かんねーし、茹でダコみたいにふにゃふにゃだ。
「オイ、まさか薬やったんじゃねえだろな?」
「ヒカリもやる? ぶっ飛ぶよ?」
パンクはおもむろにポケットから石のようなものを取り出した。
「これ、マセキって言って、すごい効くんだ。 粉末にして鼻から吸えばいいよ」
俺はとうとうブチ切れて、パンクを車から引きずり下ろした。
「この、クソ野郎がっ!」
ドシャリ、とパンクの体が地面に横たわる。
その時、足が引っかかって、ダッシュボードが弾みで開いた。
「……ん?」
何気なく中を覗くと、そこには一冊のノートが収められていた。
「……何だこれ? ヒロシの私物か?」
表には、日記、と書かれている。
少し気になって、俺は中を開いた。
2017年8月1日(曇り) 21:00
ナイトファンタジーで、ヒカリ、マルコの2人が辞めると聞いて、内心とてもがっかりした。
彼らは良きライバルであり、私のモチベーションだったからだ。
私もやめることを考えていた時、ヒカリの旅の計画のことを知った。
しかし、素直に旅に同行すると言っても、彼が了承するとは思えない。
だから、彼のライバルという形で、旅に同行しようと思う。




