山形 前編
「その写真を撮った本人の電話番号を聞いてるから、連絡を取って合流してくれ。 相手の名前は、パンクだ」
……パンク!?
俺は隣にいたマルコの顔を見た。
「なあ、パンクって、あのヒッチハイカーじゃ……」
「……だろうな」
どうやら、俺はあんまり関わり合いになりたくないやつと縁があるらしい。
どうしようか、と思ったが、ラジオに頼むぞ、と言われてしまった手前、断りにくい。
仕方なく、病室から出て、連絡を取ることにした。
病院の前で、スマホから教えてもらった連絡先にコールをかける。
「……」
3回目のコールで、相手が電話に出た。
耳元でギャーギャーわめかれ、かなりウザかったが、要件を伝え、合流する運びになった。
「どうだった?」
マルコが尋ねてくる。
「すげーハイテンションだったわ。 で、山形の冷やしラーメンの有名店で合流しようって話になったわ。 俺たちがグルメツアーやってるってこと知ってるから、一緒に飯食いたいんだと」
俺たちはラジオに別れを告げて、車に乗り込んだ。
パンクから聞いた栄屋本店という店を検索し、目的地に設定。
船川街道を通り、秋田外環状道路に合流、そのまま南下して山形県に入る。
途中休憩を挟みながら、4時間ほどかけて、目的地付近に到着した。
時刻は丁度昼だ。
車をパーキングに止め、店に向かうと、見覚えのあるシルエットの男が待っていた。
「何日かぶりだね! とりあえず、入ろうよ」
俺たちは、店の中に足を踏み入れた。
店内はよくある中華料理屋、といった風で、テーブル席に案内された。
しばらく待って、運ばれてきた冷やしラーメンには、キュウリ、チャーシュー、のりが乗っている。
レンゲで汁をすする。
「……冷麺だな、これ」
まあ、マズくはないが、はるばる食べに来るようなもんじゃない。
パンクはツイッターに上げるための写メを撮っている。
「よーし、いっただっきまーす!」
……いいから早く食えっての。
俺が内心毒づいていると、マルコが質問した。
「ところでパンク、これから俺たちはどうすればいい?」
「……えーと、釈放の条件として、義勇軍って人たちから頼みごとをされたんだよね。 俺が撮った写真の中に、特定外来種? みたいな生物が映り込んでたらしくてさ。 それを駆除して欲しいんだって。 これ、見てよ」
パンクがデジカメを手渡してきた。
そこには、パンクの顔と、その後ろにフードを着た何者かの姿が映っていた。
「……!?」
そのフードからは、赤い尻尾のようなものがはみ出していた。




