東京
「よし、じゃあ早速、東京の郷土料理から行こうぜ!」
助手席に座ったマルコが、スマホで検索をかける。
「もんじゃ焼きはどうだ? すぐそこにあるインターに入って、首都高を進めば大体40分で月島に着く」
「オッケー、東京っつったら、それしかねーよな!」
マルコがすぐに地図を出してくれたため、素早く車を発進させる。
高速のインターまで時間はかからず、スムーズに乗り入れることができた。
ちなみに、ETCは搭載済みだ。
道は思いのほか空いてて、渋谷、千代田区を横切り、中央区にある月島に、ナビゲーションの予定時刻に到着することができた。
高速を降り、車を路肩に止める。
「この辺りにもんじゃストリートがあるはずだ」
マルコいわく、この住宅街の一角に、もんじゃストリートなる地帯があるらしい。
俺たちはスマホを頼りに、その場所を目指した。
「なあ、マルコ。 今からなんて店に向かうんだ?」
「ひょうたん、という店だ。 ここは朝食でもんじゃが食べられるらしい。 食べログの評価も星3,8と高い」
しばらく進むと、赤いレンガで舗装された通りが姿を現した。
赤い鳥居のようなものに、月島西仲通り、と書かれており、どうやらここが通称もんじゃストリートのようだ。
「あれだ」
マルコの後に付いて行くと、赤い提灯の出ている店が現れた。
一戸建ての一階がもんじゃ焼きの店になっていて、店の看板にひょうたん、と書かれている。
扉を開けると、ほとんど人はいない。
やっぱ、早朝9時に店に来る人間は少ないみたいだ。
「いらっしゃいませ! こちらへどうぞ」
若い女の店員にテーブル席に案内される。
メニューを開くと、変わった名前のもんじゃが目に付いた。
「ブラックもんじゃ、だってよ」
「ああ、それがこの店の名物らしい。 頼んでみるか」
マルコが注文を取り、ブラックもんじゃなるものが目の前に現れた。
目を引くのは具材で、トマト、チーズ、そして黒いタレが器に盛られている。
「何だこの黒いの?」
「それは、イカスミ、です。 お作り致しましょうか?」
「……そうだな。 頼む」
店員がコンロのつまみをひねって火をつける。
しばらく席を外し、鉄板が温まって来たところで戻ってくると、油を塗り、具材を乗せて炒め始めた。
その後、具材を円形に形作って中央に生地を流し込む。
ジュワ、という音と共に香りが立ち込め、それが食欲をそそる。
「うっまそーじゃん!」
俺は子供みたくはしゃいで、小さなヘラでもんじゃにありついた。
しっかりとその様子をスマホのカメラに収め、俺たちは店を後にした。
色々調べないといけないから、くそめんどいw