秋田 後編
港から少し離れた小島に、カッパが2匹いる。
1匹が筒を構え、もう1匹がヒモに点火し、花火を放つ、という役割分担のようだ。
「早速出たな! 数年前からカッパの目撃証言が何度かあったが、奴らは恐らく……」
そう言い切る前に、カッパがこちらに筒を向けて来た。
「……! やべえっ」
俺が叫んだと同時に、客が一斉にその場から駆け出す。
その流れに押され、リサが転倒した。
「キャアッ!」
……間に合わない!
ヒモに火がつけられ、ドオン! という音がした。
陸地に花火が着弾、物凄い爆音がし、鮮やかな火花が辺りに散る。
俺とマルコはどうにか爆発に巻き込まれずに済んだが、残りの2人の安否が分からない。
「ラジオさんっ! リサっ!」
立ち込めた煙が晴れると、背中に大やけどを負ったラジオが、リサを守るようにして立っていた。
「お兄ちゃん!」
ラジオの巨体は地面に崩れ落ちた。
リサが泣き叫ぶ中、ラジオは絞り出すようにつぶやいた。
「客を…… 守らねー、と……」
生きているのを確認し、俺は安堵したが、どうやってあの離島まで行けばいい?
「ヒカリ、あれに乗り込もう!」
……船か!
俺たちは港に着けてある船に乗り込み、船長に離島に向かうよう頼んだ。
カッパに気付かれないよう、迂回しながら進み、島に乗り込む。
ゆっくり背面から近づいたが、数メーターのところで気づかれた。
「ギエエエッ!」
「おらあっ」
相手も二人、こっちも二人だ。
マルコはボクシングの構えで、ジグザグに進んで距離を詰め、ジャブを見舞った。
相手がひるんでる隙に、頭にある皿を奪い、チャクラムを飛ばす要領でカッパの首を切断。
片や、俺は相手の爪による攻撃をスマホでガードしていた。
「くそっ」
暗くてよく見えない上に、中々素早い動きだ。
「……そうだっ!」
俺はあることを閃いた。
指の感覚でスマホの音声認証アプリを起動。
ライト、と叫ぶと、LEDが点滅、それを相手に向けた。
「ギエッ!?」
目がくらんだのを見計らい、俺は相手の皿に右ストレートを撃ちおろした。
騒ぎが収束し、俺たちは男鹿にある診療医の所にいた。
奥の部屋で、ラジオが寝かされている。
「だらしねえ所見せちまったな」
「……体で妹を守るなんて、男っすよ」
まんざらでもなさそうな顔で、ラジオはふん、と鼻を鳴らした。
「……そんなことより、お前らに頼みがある」
ラジオは、放射能で突然変異をした生物を追う任についていたらしく、最近刑務所に入れられた男の持っていたカメラに、それらしきものが映り込んでいたらしい。
「俺の代わりに追ってほしい。 この先にある山形県に、その男が待っている」




